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安息角 (あんそくかく)

「安息」とは何の心配や苦痛もなく、静かにくつろいで休むことだそうです。

地質学や土質力学などを学んでいると「安息角」という言葉を学びます。砂などの粒子や粉を水平な面の上に静かに山状に積み上げたときに、山の斜面と水平面がなす角度のことです。

安息角は粒子の大きさや粒子の形 (角ばっているか丸みがあるか) によっても変わってきます。

乾いた砂漠の、丸みを帯びたサイズがそろった砂は、だいたい30度から35度くらいの角度となるそうです。これが湿った砂だと45度を超える場合もあります。砂の間の水分によって砂粒同士をくっつける粘着力が強く働きます。完全に水の中だと砂粒同士の摩擦が弱まり安息角も小さくなります。安息角は粉体の流動性の指標にもなります。

そういえば、UAEでの余暇の楽しみ方の一つに「砂漠ドライブ」と「砂漠キャンプ」があります。4WD数台を連ねて砂漠の中に入り、砂丘の斜面を登ったり下りたりしながら迫力あるドライブを楽しみます。夜には満天の星空の下、焚火を囲んでキャンプをします。

キャンプサイトから一山砂丘を超えただけで、人工的な音も光も突然途絶え、空には満天の星。なんだか地球の大きさを感じます。

砂丘を歩いて登るときも、車で超えるときも、「安息角」を思い出します。風に吹かれて自然にたまった砂は、自然に安定する角度で斜面をつくっているので、少し足を踏み入れて登ろうとすると、どんどん崩れてきます。まるで足が空回りするようです。車はエンジンをふかして勢いをつけて斜面を駆け上がる必要があります。

「安息角」はほんのちょっとの自然のバランスで成り立っていることがわかります。人々にとっての「安息」も微妙なバランスの上に成り立っているのでしょうか?つかの間の安息すら与えられず、今、砲弾の下で夜も眠れずにいる人たちにも、文字どおりの「安息」の日々が早く訪れることを願っています。


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