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私のちいさな多肉植物 。エケベリア

多肉植物の一種で、ヘラのような形をした肉厚の葉をもち、全体にロゼット型をした美しい植物、エケベリア。

UAEに赴任している時に、現地の会社でUAE建国記念日の記念品として小さな鉢植えのエケベリアが社員全員に配られました。

小さな説明書きに「お水はあげすぎないでね。1週間に1回ぐらい少しだけ水をあげてね」と書かれていました。

私はオフィスの机の上で、このエケベリアを構いすぎない程度にかわいがっていました。それでも長期休暇に出るときには近くに座る同僚たちに「くれぐれもよろしく」とエケベリアを託しました。休暇から戻ってくると今までと変わらずつやつやしていて、みんなにかわいがってもらえたことがよくわかりました。

一方で同僚たちのエケベリアはと言うと、次々と枯れていき、いつしかまわりの同僚たちの机の上から消えていきました。私の机のエケベリアだけはいつまでもみずみずしいままで、なんだか自慢でした。

UAE国民の女性の中にはこのエケベリアになぜか「マンダラ」と名前を付け、「社員みんなに配られたけどこんなに長く元気なのは珍しい」と、なにかのついでに私の机に立ち寄っては私のエケベリアを見に来てくれる人もいました。

そんなエケベリアですが、コロナが流行りだし、オフィスがクローズされて社員全員がリモートワークすることになり、やむなく家に持ち帰ることにしました。

家でもまったく今まで通りのペースで水をあげたりしていたのですが、なぜか急にひょろひょろと茎がのび始め、マンダラと呼ばれるほどきれいに丸くまとまっていたのが、まったく別の植物のように形を変え始めました。

部屋の温度を変えてみたり、日の当たるところに置いてみたり、反対に日陰においてみたり、いろいろ試したのですが、葉っぱも枯れて落ち始め、最後は茎もぽきんと折れて、コロナでリモートワークをしていた3か月間を乗り切れませんでした。

よほどオフィスの環境が良かったのか、わずかな環境の変化がストレスになったのか?それともコロナで私と同様にストレスを感じていたのか?

なんとなく今ではコロナで犠牲になった小さなひとつの命だと感じています。

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