暑い時にこそ暑さについて学ぶ。熱中症の危険度。
かつて私は「不快指数」という言葉を今より頻繁に聞いたような気がします。
不快指数は気温と湿度から求められるもので、気温が高くなるほど、また湿度が高くなるほど不快に感じる人の割合が増えるという状況を、計算式で表したものです。
しかし、最近の日本の夏の気候をみていると、「不快」に感じる程度ならかわいいものだと感じてしまうほどの暑さです。「不快」を通り越して、「身に危険を感じる」ほどの暑さと言えるかもしれません。
「不快指数」に代わって最近よく耳にするのは「暑さ指数 (WBGT)」という言葉です。
環境省の熱中症予防情報サイトによると、暑さ指数は「湿球黒球温度」とも呼ぶそうで、WBGTとは (湿球黒球温度:Wet Bulb Globe Temperature)の略称です。
[環境省 熱中症予防情報サイト]
熱中症を予防することを目的として1954年にアメリカで提案されたそうで、単位は気温と同じ摂氏度(℃)で示されますが、その値は気温とは異なります。
暑さ指数(WBGT)は人体と外気との熱のやりとり(熱収支)に着目した指標で、人体の熱収支に与える影響の大きい ①湿度、 ②日射・輻射(ふくしゃ)など周辺の熱環境、 ③気温の3つを取り入れた指標です。
暑さ指数を求めるためには、黒球温度、湿球温度、緩急温度が必要となりますが、測定装置の概要や算出式については同じく環境省の以下のページに出ています。
暑さ指数の算出式は日射が当たる屋外と直接日射が当たらない屋内とで違います。
暑さ指数による危険度や指針は、上記環境省熱中症予防情報サイトにあるように、以下のように公表されています。
暑さ指数の計算式からわかる通り、暑さ指数の7割は湿球温度に依存しています。同じ気温でも相対湿度が高いほど湿球温度と乾球温度 (気温) の差は小さくなります。つまり、同じ気温でも相対湿度が高いほど湿球温度が高くなるので、暑さ指数が大きくなります。
日本生気象学会は下記のような熱中症予防のための小冊子を発行しています。
[「日常生活における熱中症予防」小冊子(第3版) 2023/4/7]
https://seikishou.jp/cms/wp-content/uploads/008ab7fdbb0b958314827de9a7b8c74c.pdf
この中で、室内における暑さ指数を気温と相対湿度から簡易的に推定するための換算表が掲載されています (下図)。
湿度が高いと汗が蒸発しにくく放熱しにくくなるため、体温が下がりにくくなり熱中症にかかりやすくなるということを示しています。蒸し暑い日は特に注意が必要です。