イギリス研修のあれこれ
入社して数年目に地震探査の研修でイギリスに3ヶ月ほど滞在したことがあります。研修期間中はロンドンの北、列車で一時間弱のベッドフォードという町にホームステイしていました。
ここに地震探査を行うコントラクターのオフィスがあり、12月末から4月初めまでの約3ヶ月間にわたる地震探査の収録、処理、解釈に関する研修を受けました。
南国で海外研修を受けている途中で急遽この研修が決まったため、南国から直接イギリスに行くことになりました。イギリスの冬に耐えられるような冬物の服装をまったく持っていなかったため、南国で購入できる最も暖かそうなジャンパーを1枚購入し、あとはイギリスに着いてからロンドンで数泊する間にそろえればよいということでロンドンに旅立ちました。
南国にいる先輩からは、「ロンドンについたらまず街の売店で『London A-z』という地図を買って、それを頼りにリージェントストリートに行け。『バーバリー』という有名な店があるから、そこでセールで安くなっているコートを買え。それさえあれば夏物のスーツのままでも大丈夫だから。」と言われていました。
まったくイギリスやロンドンについての前知識0だったわたしは、「リージェントストリート??」、「バーバリー??」という状態でしたが、先輩の言葉を頼ることにしました。
ロンドンで泊めていただいた宿のおばさんに、リージェントストリートへの行き方を教えてもらい、地図を手に入れ、リージェントストリートに向かいました。
リージェントストリートを端から歩いていくと、コートを売っている格式の高そうなお店を見つけました。しかし、店名をみるとバーバリーではありませんでした。私は先輩の言葉を守り、とにかくバーバリーのコートが1番良いのだと、バーバリーを探して歩きました。
やっとバーバリーの店をみつけ、中に入り、先輩の言っていた「セールで安くなっているコートを買え」の意味が分かりました。入社数年目の私にはセール品以外手が出なかったのです。
お店の敷居は高そうでしたが、私の事情?を察してくれた店員の方が、セール品の中からなんとか私のサイズに合うコートを探し出してくれて(たいてい大きすぎてぶかぶか)、無事購入することができました。いまでもこのコートは現役です (と言っても南国赴任が長すぎて、その後あまり着る機会がなかったせいもありますが)。
ちなみに、バーバリーの前に見つけたコートのお店は、「アクアスキュータム」という、これまた伝統あるブランドのお店だということは後で知りました。
ロンドンで冬支度を整えて、キングス・クロス駅からベッドフォードに向かいました。まだ「ハリーポッター」も世に表れていない時代です。ハリーポッターでキングス・クロス駅が出てきたときは、ベッドフォードへの移動を懐かしく思い出しました。
ベッドフォードは外国人向けの英会話スクールが沢山あるらしく、語学研修生向けにホームステイ先を斡旋してくれる斡旋所がしっかりしていて、この地震探査研修でも地震探査会社がその斡旋所を通してホームステイ先を探してくれました。
ホームステイ先から会社までは歩いて30分くらいかかります。
ホームステイ先はどこも原則洗濯はしない、洗濯機も貸さないというルールでしたので、近くのコインランドリーまで洗濯に行きました。コインランドリーまでは片道歩いて30分くらいかかります。
コインランドリーで洗濯が終わるまでの間、15分くらい歩いたところにあるパブへ。1杯飲んでコインランドリーに15分歩いて戻って乾燥機に移し、またパブへ行ってもう1杯飲んでコインランドリーに戻って、洗濯物を回収してホームステイ先に歩いて戻ると、一回の洗濯で2時間ちかく歩くことになります。ビール飲みたさも手伝って、週に1~2度洗濯に行きました。
ホームステイ先から駅までは歩いて50分ほどです。週末はロンドンに出て映画館、美術館、博物館、本屋巡りをしていたので、ホームステイ先から駅までの往復100分に加えて、ロンドン市内をよく歩きました。
というわけでこの研修中は本当によく歩きました。
下宿先のおばさんはとても気さくな方でした。
朝食はコーンフレークスなどを勝手に食べていってねと言われ、紅茶を入れてキッチンを勝手にがさがさと探して食べて会社に向かいます。
昼食は会社の食堂で自由にお皿をとって精算するシステム。ここでの食事が1日のメインという感じでした。
夕食はおばさんが用意してくれるのですが、イギリスらしく?比較的質素で、キドニーパイ、チキン、ポテト、豆などが定番でした。金曜日はなんとなくフィッシュアンドチップスの日で、どこかで買ってきたフィッシュアンドチップスを袋からお皿にあけて出してくれるようないい感じにカジュアルな食事でした。
よく歩いて食事もほどほどに抑えられたおかげで、この研修期間中にかなりのダイエットを達成することができました。
そういえば、休日の昼食は原則出ないのですが、研修報告書をまとめるために、ある休日部屋に閉じこもっていたところ、昼食を特別に用意してくれたことがありました。
まえに日本人の語学研修生を泊めたときにインスタント味噌汁をもらったらしいのですが、作り方がわからず困っていたとのことで、「あなたが味噌汁の作り方を教えてくれたら、それで一緒に昼食にしよう」ということで、味噌汁と食パンの昼食となりました。
ホームステイ先には年老いた犬と、わかい猫がいました。猫はよく私の部屋に遊びに来ました。私の部屋にはベッドが2つ置いてあって、いつも私が使っているベッドに乗って私の勉強を見学?していました。
わたしが「ここは私の寝るところだから隣のベッドに行きなよ」といって隣のベッドに移してもすぐに私のベッドに戻ってしまいます。おそらく私が使ってすこしクチャっとした布団が気に入ったのでしょう。
わたしが勉強につかれると、猫とじゃれあって遊びました。わたしが回転椅子から立ち上がるとすぐに椅子に飛び乗って奪いにくるので、回転いすをくるくる回してあげると目を回してよたよたしていました。それでも懲りずに私と椅子の取り合いをしてときどき引っかかれていました。
犬は年老いて目が悪いらしく、ときどきよたよたと壁に体をぶつけていましたが、この若い猫はさりげなくこの犬に寄り添ってあげているようでした。「若いのに見上げたやつだ」と、ますますわたしの部屋に遊びに来る猫と遊んであげた (遊んでもらった)ものです。
イギリスの生活は健康的で楽しいものでした。地震探査の現場研修や他の研修生と行った地質巡検も思い出深いものでした。よろしかったら以下の記事もご覧ください。
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