政府のエネルギー基本計画への懸念
政府は今年度、中長期的なエネルギー政策の指針となる「エネルギー基本計画」を見直す方針です。
[NHK 2024年4月1日 6時58分]
現在のエネルギー基本計画は2021年10月に閣議決定された第6次エネルギー基本計画です。今年度見直されると第7次エネルギー基本計画となる見込みです。
第6次エネルギー基本計画では、2030年度の電源構成として以下の目標が掲げられています。
再生可能エネルギー:36~38% (太陽光:14~16%、風力:5%、地熱:1%、水力:11%、バイオマス:5%)
火力発電:41% (LNG:20%、石炭:19%、石油等:2%)
原子力発電:20~22%
水素・アンモニア:1%
[資源エネルギー庁 エネルギー基本計画について]
https://www.enecho.meti.go.jp/category/others/basic_plan/
事故を起こした福島第一原発に関しては、いまだに避難を余儀なくされている人が2万人以上も存在し、現在も全く廃炉の見込みも立てられず、地下水や雨水のデブリ接触による汚染水を発生し続け、これから何十年にもわたって、蓄えられた汚染水を処理・希釈しながら海に流し続けるという、原発としては異常で不健全なオペレーションを続けなければならない状況があるにもかかわらず、いまだに原発と決別できないでいます。
それどころか、「エネルギーコストは産業活動の基盤を支えるものであり、事業活動に加えて企業立地などの事業戦略にも大きな影響を与えるものである。このため、エネルギーコストをできる限り低減することは、日本の産業競争力を維持・強化し、更なる経済成長を実現していく上でも重要な課題である」として、原発の再稼働の推進を表明している岸田政権が策定する次のエネルギー基本計画には、私は懸念しかありません。
地質学的に核のゴミの安全な捨て場所さえ見つけられない日本において、原発はクリーンなエネルギーであるとか、安全であるとか、低コストであるとか、一部の産業界と喜ばすような詭弁的な議論はもうやめて、本当に持続可能な、国際情勢に振り回されず、災害やテロにも強く、地域の発展にも貢献する、地域性に根差した分散型自然エネルギーを軸とするエネルギー政策を推進していく覚悟を持ってほしいと思います。