ドイツ博物館で感じた懐かしさのなぞ
2019年、まだコロナの影響もなく旅行ができたころ、ドイツ旅行をした折にミュンヘンにあるドイツ博物館に立ち寄りました。
ドイツ博物館 “Deutsches Museum” は名前には「科学」も「技術」も付きませんが、科学・技術・産業に関する1925年に開館した伝統ある国立の博物館です。
私は、「博物館」といえば、例えば日本の「東京国立博物館」のように、歴史、民族、民俗、美術・芸術などの文化財を中心に所蔵するところで、科学・技術に特化した博物館は「国立科学博物館」や「科学技術館」などのように、名前の中に「科学」や「技術」が付くものと思っていました。なので、ドイツ博物館が科学・技術・産業に関する博物館だと知って、ドイツらしいなと感じました。
ドイツらしいと感じたのは、私にとってドイツは、明治時代に日本に滞在して日本に近代地質学をもたらしたナウマン博士をはじめ、幕末から戦中にかけて軍事、医学、化学など、日本に強く影響を与えた「科学技術の発展した国」のイメージが強いからだと思います。
ドイツ博物館は体験型博物館で、子供達でも十分楽しめると思います。そして楽しみつくそうと思えばとても1日ではまわり切れない規模でした。
ドイツ博物館内をまわっていて不思議だったのは、鉄道、機械、鉱業などのセクションで重厚な機械類の展示を見ているときに、なぜかものすごく懐かしさを覚えたことです。どこかで見たことあるような、どこかで感じたことのあるような感覚。それが不思議で、どこから感じるものなのか館内を回りながらずっと考えていました。
そしてある機械の前に立ち止まったときに気が付きました。私が感じる懐かしさは、たぶん機械類に張り付けられている銘板 (機械銘板) から来るものだと。
展示されている機械や車両の多くには、製造した会社名や、品名、製造番号、製造年月日などがきれいなデザインで金属板に打ち出された機械銘板や車両銘板が張り付けられています。どんな雰囲気のものかと言いますと、ネットで、「古い機械銘板」や「古い車両銘板」などで画像検索してみてください。
たぶん、これが昔どこかで見た私の記憶を刺激したのだと思います。いくつか思い当たるのは、まだ床が木の板だったころの東武東上線の車両に張り付けられていた車両銘板、そして小学校や中学校の理科室や技術室に置かれていた実験器具や機械に貼られていた銘板です。
特別教室の顕微鏡、望遠鏡、天秤、電流・電圧計、工作機械、そのほか得体のしれない実験道具や機械の入った木箱などなど、銘板が張り付けられているのをみなさんも見ませんでしたか?
ところで、理科の実験器具といえば思い出すのが、中学の理科で理想気体の状態方程式を学んだころに行った、気体の分子運動説明用の実験装置を使った実験です。
気体の分子運動説明器は、透明な管内下部のピストンをモーターで細かく上下運動させることによって、管内に入れた分子に見立てた小さな鉄球が暴れまわって、管の上部のピストンを押し上げる様子を観察する実験器具です。
下部のピストンの上下運動の速さを温度、押し上げられた上部のピストンの高さを体積、上部のピストンを鉄球が押し上げようとする力を圧力と見立てます。
「絶対に上部のピストンを取り付けてからスイッチを入れろよ」と先生が念を押すにもかかわらず、毎年、どこかのクラスのどこかのグループがやらかして、飛び散った小さな鉄球たちを理科室中探し回ることになります。私のクラスもやらかしました。今となっては楽しい?思い出です。おかげで、理想気体の状態方程式、頭に残りました。
実験装置はこんな感じのものでした。
言うこと聞かん子たちの実験の失敗も、危険ではない限り、先生も話のネタにできて楽しそうに話していたのが印象的でした。
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