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原子力損害賠償

いまだに原発事故前の暮らしが戻らない福島第一原発周辺の市町村。

東京電力福島第一原子力発電所の事故にともなう賠償の基準となる指針が見直されたのは2022年12月20日、実に9年ぶりのことです。

各地に避難した人たちが起こした、国や東京電力に慰謝料などを求めた集団訴訟で、その時までに7件で基準を上回る賠償額を認める判決が確定していたことが基準の見直しを後押ししたと思われます。

この時の見直しでは補償の対象が見直され拡大されています。

[NHK 2022年12月20日 20時39分]

[TBS NEWS DIG  2022年12月21日(水) 10:22]

これはそれまで、原発による損害賠償の範囲をいかに狭く、小さく見積もって来たかの一つの表れであると思います。

補償の拡大は厳格に人権擁護や住民の権利擁護の観点から言えば「あたりまえ」とも言えますが、それまでそれらの補償を含め、原発事故の影響を過小評価しすぎていたとも言えると思います。原発推進関係者はこの点をしっかり認識する必要があると思います。

そしてこの基準の見直しに伴い、東京電力は3月22日追加賠償の額を約3854億円と見積もった上で、原子力損害賠償・廃炉等支援機構に資金援助を申請したことを公表しました。

[福テレ 2023年03月23日 17:10]

[原子力損害賠償・廃炉等支援機構のホームページ]

損害補償の原資に対して、私たちは直接的、間接的にどれだけ負担を強いられているのでしょうか?そしてお金の問題ばかりではなく、子供たちに残すべき国土・環境に与えた計り知れない影響や損害をどうカウントすればよいのでしょうか?

電力会社自力での補償もままならず、また、いまだに避難を続けたり放射能被害の不安におびえる地域住民や風評被害を懸念する地域住民がいたりする中で、そしてなによりも物理的に事故原発の廃炉すらめどのたたない現状で原発推進を進めるとはどういうことでしょうか。

原子力の専門技術者から原発推進にたいして反省や疑問や見直しの声があがってこないとしたら、技術屋のセンスとしてどうなのだろうと思ってしまいます。自分の技術分野にそんなにゆるぎない自信があるということでしょうか?そうであるなら驕りもいいところです。

防衛議論もそうですが、軍事力に頼らない外交による安全保障の道筋を本気で追及する姿勢が見えないのと同じように、エネルギー政策も原発に頼らない代替エネルギーを確保するための道筋を本気で追及する姿勢を見せないまま、胸を張って原発推進を公言できる神経が、私にはなかなか理解できません。

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