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税の応能負担の原則
日本国憲法14条1項では「すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。」とあります。
時代錯誤感の際立つ自民党の日本国憲法改正草案でも、さすがにこの憲法第十四条は現行憲法から大きく変えられてはいないようです。
[自民党憲法改正実現本部 日本国憲法改正草案(全文)]
https://constitution.jimin.jp/document/draft/
しかし、この意味を正しく、厳格に受け止めて、政治を行っていくということはものすごく覚悟がいることだと思います。
例えば大企業からの企業献金や、政治資金パーティーなどでお金を集め、法をかいくぐり「裏金」まで作り出すような政党に、大企業にその経済的な能力に応じて税を負担させるという、応能負担の原則を貫くことができるのでしょうか?
大企業の法人税実質負担率が中小企業に比べて低いことは、ネットや報道機関を通じて数多く報道されています。
日本の大企業の実質的法人税負担率が法的税率に対して大幅に低くなる原因として、税負担を軽くする租税特別措置や、グループ内企業の黒字と赤字を相殺して税額を減らす連結納税制度など、大企業向けの優遇税制の存在があげられます。
アベノミクスの経済効果は大企業に空前の利益をもたらしたようですが、自民党の体質では、憲法の理念ともいえる平等な利益相応の実質課税率が実現できていないということです。
軍拡など、税金の使い道も大いに議論しなければならない課題ですが、税負担の公平性、つまり「応能負担の原則」という、自民党の憲法草案にも書かれているような大原則を本当に実現できるのはだれか、やはり政党の資金源などから考えて、だれの利益を一番に考えるのかという観点から見ていくと、自民党が法人税の実質課税率の不平等性を放置して、国民に消費税などの形で負担を強いて来た理由も明らかだと思います。
さらに付け加えて言うと、2022年の自民党の政党収入の中で政党交付金、つまり国民の税金などから支払われたお金の割合は64.3%だったそうです。これだけの補助を税金から受けながら、大企業を実質優遇し、「トリクルダウン (富裕者がさらに富裕になると、経済活動が活発化することで低所得の貧困者にも富が浸透し、利益が再分配される) が起こるはず」と企業まかせにした結果がどうなったのか、私たちはしっかり認識する必要があると思います。
ある大手自動車企業は下請けの部品メーカー30社余りに対し、納入時に支払う代金を合わせておよそ30億円、一方的に引き下げていたことがニュースにもなりました。「トリクルダウン」なんて、国民は幻を見せられていたのだなと思ってしまいます。
「税の応能負担の原則」、もう一度真剣に議論し、実現してほしいと思います。このような視点も、今度の選挙の候補者選び、政党選びで考慮していきたいと思っています。