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赴任先南国の自動車運転事情
途中何度か帰任しているので断続的ではありますが、私は現在南国に赴任して、トータルで約20年になります。
20年ほど前の南国は、自動車免許や車検の更新手続きは混迷を深めていました。
毎回行くたびに窓口の担当者に違うことを言われ、手続きは何が正解なのかわからない状態が続いていました。私よりちょっと前に苦労して手続きを終えた人の経験談を聞いて、そのとおりにしてもどこかでスタックしてしまい、赴任者の間でシェアされている「手続きマニュアル」は毎回誰かによって書き換えられているような状態でした。
あちこちをたらい回しにされた挙げ句、書類不備と言われて時間切れとなり、その日のうちに手続きが終わらないこともよくありました。
気合を入れて手続きに臨んだのに1日で手続きが終わらないとダメージが大きいので、だんだん「1日では手続きは終わらないもの」と覚悟して行くようになります。そしてたまにすべての手続がうまく行って一日で終わってしまうと、嬉しさよりも、驚きとなにか罠があるのではないかと疑ってしまう自分がいました。
しかし、10年ほど前から、この国の自動車関係の手続きは劇的にシステマティックになりました。
車検はいくつかあるレーンに車ごと並んで、自分の順番が来て車を預けると、流れ作業で15分程度でテストが完了します。車のテストに合格すると、合格証が発行され、予め保険会社で保険の更新を行っておけば、保険の情報と車のテストの合格情報がオンラインにアップされ、自動販売機のような機械で車検証のカードが発行されます。早ければ1時間ほどで車検の更新が終わってしまいます。
コロナが流行りだしてからは、車のテストだけ受けに行って、テスト結果の受領を含め、車検更新の手続きはすべてオンラインで家からできるようになりました。車検証のカードはあとから郵送されてきます。
免許証、車検証情報はすべて携帯番号と日本のマイナンバーカードのようなIDカードにタグ付けされます。交通違反の情報もすべて一括管理されています。ついでにいえば銀行口座も、電気・水道代も、健康保険証もすべて携帯番号とIDにタグ付けされています。
おそらく国民の意見とは別に、電子化、オンライン化、情報集約化が一気に進んでしまうところがこの国のすごいところです。オンラインを使いこなせない人たちはどうしているのだろうと心配にもなります。
いずれこの国を離れてしまう私は、正直、個人記録がこの国に蓄積され、どう利用されるかわからないという不安と、慣れないシステムに右往左往してきた時間が短縮されて、いろいろサポートしてもらえるメリットの両面を考えてしまいますが、ここに基盤を置いて生活を続けていく人たちにとって、すべての個人情報を一括管理される生活をどう感じているのか本音を聞きたいところです。
民主主義が国民の中に深く根付いているかどうかも、政府が信頼できるかどうかも、国が歩んできたヒストリーも、国民の感じ方の違いに表れてくるのではないかと思っています。
話がそれてしまいました。
南国では現在、こちらの運転免許証をもとに、なぜか郵便局で国際運転免許証を発行してもらえます(かつては民間団体みたいなところが発行していました)。非常に簡単に発行してもらえるので、海外旅行の際に重宝します。
ただし、こちらの運転免許証は英語でも記載があるので、日本の免許証と違い、そのままこちらの免許証を見せることによって海外でレンタカーを借りられることが多いです。その点、日本の免許は海外で運転を認められる効力がありながら、英語での記載がないためにそのままではなかなか使えないのが不便なところです。
自動車は右側通行。幹線道路や街なかの広い道路を運転している限り、日本よりも運転しやすく感じます。ただし、裏道は狭くてややこしいところもあります。信号による交差点ばかりではなく、ランドアバウトと呼ばれるロータリーによる交差点も結構あります。
制限速度は日本よりやや速めで、一般道で80km、高速で100〜120km、たまに140kmという感じです。一時期、高速道路での20kmオーバーが公式に認められていた時期もありましたが、今は制限速度が上限だと言われています。しかし、罰金覚悟でものすごいスピードを出していく国民もいます。
どこの国にも命知らずはいるのですね。