見出し画像

油層モデル作りのチャンスは手放すべきではない

石油開発で、特に巨大投資が絡む巨大油・ガス田開発においては油層モデルによるシミュレーションが、開発計画を立てたり開発計画を最適化したりしてくための重要なツールとなります。

石油開発のすべてを自社の人員と技術でマネージできるならともかく、多くの石油会社はすべてを自分たちで行うことはしません。必要な人員や技術を自社ですべて抱え込むのは効率的ではないからです。

そのため、石油会社は自社で抱えるべき人員や技術をある程度絞り込む必要があります。限られたリソースをどこにあてるか、「選択と集中」が必要となるわけです。

油層モデルはデータの統合、総合的な解釈の産物です。そしてこのモデルによって開発計画を立て、投資の決断を行うことを考えると、モデルはできるだけ自社で作成し、モデルの中身、質、不確実性を正しく把握し、モデルの信頼性がどの程度あるのか認識したうえで決断に利用すべきです。

だから、多くのパートナーがいるプロジェクトでも、別にオペレーターがいるプロジェクトでも、もし自分たちでモデルを作るチャンスがあるならば、そのチャンスはそれこそお金を払ってでもものにした方が良いと思っています。

石油会社の保有すべきキーテクノロジーにはいろいろな考え方があるとは思いますが、地下関係で言えば、地質モデル・油層シミュレーションモデルの作成は、できるだけ自分たちの会社の社員で行うべきだと考えています。

そして使用に耐えうる地質モデル・油層シミュレーションモデルを作れる技術者を社内で育て維持していくことが重要だと考えています。

もちろん、専門家を一時的に雇うオプションも考えられますが、モデルは一度作ったらおしまいというわけではなく、新しいデータが蓄積されてくれば、適切なアップデートや場合によってはモデルのコンセプトの見直しが必要となります。また、モデルは会社のストラテジーや思想がよくあらわれてくる部分でもあります。

自信を持って決断するためにも、反対に不確実性を把握した上で決断するためにも、「自分たちが開発に携わる油層のモデル作りのチャンスがあるなら決して手放すな」が私の今までの経験で言えることです。

どんな事業でもキーとなる技術や分野はあるはずです。自分たちの力でやるのか、コントラクターなどにまかせて自分たちはクオリティー・コントロールをすればよいのか、あるいは丸投げしても良いのか、しっかり見極める必要があると思います。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?