「はみがき体操」と「健康優良児」
私が小学生の頃は今の学校ではちょっと考えられないようなことが行われていました。
なかでも「歯磨き体操」はなかなかインパクトがありました。
全校生徒が校庭に整列させられ、音楽に合わせてはみがきの真似をしながら、歯磨きのやり方を練習するのです。音楽が耳に残っていてときどき口ずさんでしまいます。
この音楽を探していたのですが、YouTubeにアップされているのを見つけました。
また、LIONのホームページにも歯磨体操の歴史、変遷、そして終焉についてまとめられています。
このページによりますと、私が小学校で指導を受けた際に使われた「歯磨訓練の指導 – はみがき体操 –」は私が生まれるかなり前の1953 (昭和28) 年に土橋啓二さんの作曲により制作されたそうです。号令と指揮の声はラジオ体操で有名になった江木理一さんだそうです。そしてそのレコードのB面には同じ曲でサトウハチローさん作詞による「くまの子りすの子 – 歯磨訓練の歌 –」が収録されていました。
どちらも大変懐かしいです。
大変だったのは、あるとき先生が「実際に歯ブラシと歯磨き粉を使って、この音楽に合わせて歯磨きをしてみよう」と提案されて、全校生徒が校庭で歯ブラシを手にして、この音楽で歯磨きをした時です。
このゆっくりとした音楽で、約3分近く校庭で歯磨きをして、口の中がいっぱいになっても吐き出すこともできず、みんな苦しさのあまりうなり声をあげながら我慢して、音楽が終わると同時に流しにかけつける騒ぎとなりました。体操はあくまでも歯磨きの仕方のシミュレーションだけにしておくべきでした。
その後、歯磨き体操のブームは終わり、ぱったりと学校で聴くことは無くなりました。新しい歯磨き法の普及や、集団的な指導や画一的な指導から「ちゃんと磨けているかの検査」と個別的指導に変化してきたためとのことです。
集団でそろって行う歯磨き体操は、なんとなく戦時とも通じるような「昭和の香り」のする思い出です。ただ音楽を聴くと懐かしく思います。
昭和の小学校の思い出と言えば「健康優良児」の表彰制度もあります。小学校6年生の時に各クラスから男女の候補者が選ばれて、運動能力テストや医師の診断などにより、学校から男女一名ずつ選ばれました。私も選ばれたのですが、その基準は私にとってはあいまいで、不思議な選抜でした。
医師の診断があるということで候補者が教室に集められたことがあったのですが、とくになにも診察されることもなく解散となり、あとで聞いたところ、医師が教室での候補者の様子をそっと観察していたとのことでした。
身長、体重、体型、運動能力、成績など、本人の努力だけとは必ずしも言えないところもあり、今考えると批判が出るのも当たり前かなとも思います。個人の表彰はその後しばらくして廃止されたそうです。こちらも戦時から続く健康や「優良」に対する古い考え方が残っていたのではないかとも思います。
そもそも「健康」は競うものではないですね。
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