見出し画像

文化の日。

ウィキペディア日本語版「文化庁」によると、文化庁は、

日本の行政機関のひとつ。所在地は京都府京都市上京区。文化に関する施策の推進、国際文化交流の振興、博物館による社会教育の振興、宗教に関する行政事務を所管する文部科学省の外局である。

とあります。

文化庁は毎年3月、「文化に関する世論調査」を発表しています。

この世論調査を読み解くことは、なかなか難しいのですが、「文化芸術の鑑賞活動」に限って言うと、この報告書では調査結果概要として次のように述べています。

この 1 年間に、文化芸術イベントを外出を伴う形で鑑賞したことがあるか尋ねたところ、鑑賞したことがあると回答した人(「鑑賞したものはない」と回答した人を除く)の割合は 45.3%と令和4年度(52.2%)より減少している。ジャンルとしては「映画(アニメーション映画を除く)」(19.0%)、「歴史的な建物や遺跡」(15.1%)、「美術」(13.9%)、が上位に並ぶ。(Q1)

「鑑賞したものはない」と回答した人に、鑑賞しなかった理由を尋ねたところ、「特にない・分からない」を除き、「関心がない」(23.6%)が最も高く、次いで、「近所で公演や展覧会などが行われていない」(15.6%)、「入場料・交通費など費用がかかり過ぎる」(14.0%)が挙げられた。令和4年度の回答割合が 29.0%と最も多かった「新型コロナウイルス感染症の影響により、公演や展覧会などが中止になった、又は外出を控えたから」の割合は今回調査では 9.1%まで減少している。(Q1SQ1)

この 1 年間に、文化芸術イベントを書籍、テレビ、ラジオ、CD・DVD、インターネット配信等により鑑賞したことがあるか尋ねたところ、鑑賞したことがあると回答した人(「鑑賞したものはない」と回答した人を除く)の割合は 57.5%と令和4年度(73.3%)より大きく減少している。ジャンルとしては「映画(アニメーション映画を除く)」(28.6%)、「ポップス、ロック、ジャズ、歌謡曲、演歌、民族音楽など」(27.2%)「アニメーション」(19.0%)、が上位に並ぶ。(Q2)

文化の日に際して、いくつかの新聞は社説や主張を発表しています。

産経新聞の主張では特に文化庁の世論調査には触れていませんが、以下のように文化に触れることを勧めています。

「文化の日」を迎えた。この日を挟んだ7日までの「教育・文化週間」は、各地でさまざまな催しが行われている。改めて文化に触れる時間を過ごしてほしい。
同週間では、全国の美術館、博物館、動物園や水族館などで入館を無料にしたりイベントを開催したりと、特別な催しがある。文化庁のホームページに一覧が掲載されており、気軽に利用できる機会だ。

また、日常の小さな文化を発見することも勧めています。

[産経新聞 2024/11/3 05:00]

一方、しんぶん赤旗では文化庁の世論調査結果から以下のようなことを読み取っています。

文化庁の「文化に関する世論調査」(3月発表)によると、昨年1年間に「文化芸術イベントを外出を伴う形で鑑賞したことはありますか」という質問に対して「ある」と回答した人は45・3%で、前年度比6・9ポイントも減少しています。

 「ない」と回答した人に理由を聞くと、最も多いのは「関心がない」(23・6%)ですが、次いで「近所で公演や展覧会などが行われていない」(15・6%)「入場料・交通費など費用がかかりすぎる」(14・0%)です。つまり“遠くて高い”ことが人びとから文化・芸術を遠ざけています。

 日本の長時間労働も人びとから文化を楽しむ自由時間を奪っています。賃上げとセットで労働時間短縮を進めることが不可欠です。

見過ごせないのは、子どもが「文化・芸術を外出を伴う形で鑑賞したことがあるか」という質問に対して「ない」が約6割に達し、世帯年収が低いほどその比率が高いことです。経済格差が子どもの芸術に接する機会の格差を生んでいます。

[しんぶん赤旗 主張 2024年11月3日(日)]

私のイメージでは産経新聞としんぶん赤旗はその主張やスタンスにおいて対極にいるイメージがありますが、文化に触れあうことの大切さを主張しているという点では共通しているようです。

かたや文化を広くとらえて、私たちのまわりの文化に目を向け、関心を持っていくことの大切さを主張し、かたや文化を楽しむ機会や時間が減っていることの原因を分析し、改善をはかるべきとの提案を行っています。

私も文化に触れることの大切さを感じています。さまざまな側面から文化振興を進める提案を出していってほしいと思います。

ところで、文化庁は2023年3月27日に京都に移転したのですね。中央省庁としては明治以降初めての地方移転とのことです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?