理解することと使いこなすこと
UAEで働いていた時に現地の若いエンジニアの教育に携わっていると、エクセルなどの汎用的なオフィス系ソフトでも、技術系の専門的なソフトでも、「自分はトレーニングコースを受けたことがないから使いこなせないのは当然だ。仕事で使いこなす必要があるなら自分をトレーニングコースに出してほしい。」などと時々訴えられました。
そして高いお金をかけてソフトウェアのトレーニングコースに出しても、やっぱり使いこなせないでいる人を多く見かけました。
私の経験ではトレーニングコースを「受ける」「受けない」と、ソフトウェアを「使いこなせる」「こなせない」とは必ずしもリンクしないようでした。理解できても使いこなせないということなのでしょう。あるいは使いこなせるほど理解できていないということなのかもしれません。
トレーニングコースはソフトウェアの機能を理解するきっかけにはなりますが、ある程度使いこなす (自分で技術データを処理・加工して分析するなど) ためには、ただ例題を使ってマニュアル通りのステップをたどるばかりではなく、自分自身で試行錯誤しながら工夫して自分のデータから分析結果を導き出してみたり、与えられた例題でも、数値を変えてみたり、計算の途中結果を抜き出してチェックしてみたりと、実際に自分で頭と手を使ってやってみるのが一番だと感じます。
例えばエクセルなど一通り使い方を学んだら、例えば人の作った技術計算シートなどを一度自分で解読してどんな計算や処理を行っているのか解読しながら、自分自身で作り直してみたり、再構築してみたりすることが、使いこなすうえで非常に役立ちました。
ただ、現地の若いエンジニアがトレーニングコースに出ていないことを「使いこなせないことの言い訳」にさせないようにするためにも、トレーニングコースには送る必要がありました。
一般のコンピュータースキルも似たようなところがあって、私がせっかく教えても、言われるがままにキーボードをたたいているだけでは一向に何をやっているのか理解できていないことがあります。あとで自分でやり直してみたり、自分自身で工夫してみたりしてくれる人は使いこなせるようになるのも早いようです。