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子供の頃、家の壁にトンネルをあけて鉄道模型を走らせたかった
今日、帰りがけに乗っていた電車が、赤信号で停車した後少しガタンと音を立てて発車しました。
そのとたん、子供の頃に遊んだ鉄道模型のHOゲージのことを思い出しました。
私が小学校の高学年の頃、世の中では鉄道模型が流行っていました。川越の丸広でも、池袋の東武デパートでも西武デパートでも、鉄道模型コーナーがありました。
HOゲージの完成品は子供の私にはとても高くて、やっと1両モーター付きの完成品を買って、畳1畳ぐらいをぐるっと回る程度の線路と、電気を供給してスピードをコントロールするパワーパックと呼ばれるコントローラーをそろえるのが精一杯でした。
その完成品で唯一購入した車両1台は、国鉄のキハ82系の特急型気動車のモーター付きの先頭車両です。電車ではなく気動車の特急型車両がかっこよくて、お小遣いをはたいてでも、1両だけでも購入することにしたのです。
そこまででお金が尽きかけた私は、模型雑誌に載っていた設計図を基に、連結する中間車両を紙で作ることにしました。
ケント紙と呼ばれる表面がすべすべの厚手の画用紙が鉄道模型の工作にはぴったりでした。
この紙に雑誌の設計図をなぞって写し、それを丁寧にカッターで切り抜いて、窓枠や扉がリアルになるように重ねて張り合わせて、専用の本物そっくりに色合いが調整された塗料で着色していきます。不器用だった私にはなかなかハードルが高く、涙を拭きながらそれでもなんとか何両か完成させることが出来ました。
ただ車輪の付いた台車などはどうしても市販のものを買わなければならず、私の貯金箱はなかなか厳しい状態でした。
当時のパワーパックはダイヤル式で、どんなにダイヤルをゆっくり回しても、あるところで、車両が急にガクンと走り出してしまいました。そこがちょっと残念なところでした。
今日の帰り、赤信号で止まっていた電車がガクンと走り出したのをきっかけに、そのことを思い出したのです。しかし、今ではパワーパックやモーターの質も向上したのか、本物の電車のように、ゆっくりぬるりと発射できるような製品も出て来たようです。模型の世界も進歩しているのですね。
当時の鉄道模型の動きはちょっとぎこちなくても、それでも、走ってくる模型車両にギリギリまで顔を近づけてのぞき込むと、模型でも迫力があって、かっこよく見えたものです。
鉄道模型に夢中だった当時、家じゅうの部屋の壁にトンネルの穴をあけて、家じゅうにレールを巡らして、鉄道模型をいくつも走らせるのが夢でした。トンネルを抜けて隣の部屋から模型列車が現れたらどんなに楽しいことでしょう。
そんな夢のような鉄道模型ライフを実現してしまっている人も世の中にはいるらしいです。情熱が続くって素晴らしいですね。