自動車メーカーが性能試験で不正
UAE赴任中はUAE国内で日本車をよく見かけました。現地の同僚も日本車に乗る人は多く、理由を聞くと、品質やサービスの良さ、故障の少なさなどを挙げていて、日本車に対する信頼感の高さを知ることができました。
それだけに、2000年ごろ三菱自動車工業が組織的にリコール隠しを行っていた事件は、当時UAEに赴任してパジェロに乗っていた私にとって、結構衝撃的な事件でした。
この事件はUAEでも大きな話題となり、同僚からも「日本の自動車メーカーでもそんなことするんだ」とちょっとさめたような口調で言われ、UAE国内で並みいる欧米の大石油資本を相手にしのぎを削りながら、堅実・実直に仕事をして信頼を得ようと努力してきた私たち日本企業からの出向者の身としては、この日本企業による不祥事にはがっかりさせられた記憶があります。
このところ、またも日本の自動車メーカーなどの性能試験での不正がニュースになっています。トヨタ、マツダ、ヤマハ、ホンダ、スズキの名前が挙がっています。不正と認識して行っていたのなら、技術者としての倫理観の欠如が、不正と認識せずに性能試験の手法を逸脱していたのなら、技術者としての能力の低下が疑われる事案だと思います。
[NHK NEWS WEB 2024年6月3日 19時58分]
しかしながら、やはり、個々の技術者の問題と言うよりも、「良い製品を届ける」「消費者から信頼される製品をつくる」というモチベーションが働かない、企業としての欠陥が表れているのではないかと感じます。
記事の中で林官房長官の「信頼を損ない、制度の根幹を揺るがす行為であり遺憾だ」とのコメントがでていますが、それこそ自民党の裏金問題にも通じる問題の深さを感じます。
自民党の裏金問題にしても、本来国民のほうを向いて政策を考え実行するべき政治家が、意識を内側に向け、保身や身内のために不正までして奔走する姿を見せつけられました。自動車メーカーの不正にも、消費者のほうを向かず、意識を内側に向けた、自民党裏金問題と同様の空気を感じます。
ちなみに、会社四季報オンラインによると、自民党への献金額が大きい上場企業ランキングTOP20のなかには、今回名前が挙がっている5社のうち、トヨタ自動車(1位)、ホンダ(15位)の2社の名前が見られます。
そして、同じく会社四季報オンラインの自民党(国民政治協会)への献金額が大きい業界団体・宗教団体・政治団体ランキングによると、トヨタ、ホンダ、ヤマハ発動機などが加盟する日本自動車工業会が3位に入っています。これは業界団体の中では1位です。
献金体質は、政党も企業もおかしくするということでしょうか?
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