「人新世」の国際標準模式地の候補地がカナダに
現在検討中の新しい地質学上の時代区分「人新世」。
国際地質科学連合(IUGS)の作業部会は、人類の活動が地球全体の環境に影響を及ぼしたその痕跡が明瞭に残る「人新世」の代表的な地層を観察・研究しやすい場所「国際標準模式地 (国際標準模式層断面と地点:GSSP)」の候補地として、カナダ・オンタリオ州のクロフォード湖を選定しました。
[JIJI.COM 2023年07月12日05時26分]
ユネスコ(UNESCO)の機関である国際地質科学連合(International Union of Geological Sciences; IUGS)では、地質時代区分の標準化のため、それぞれの地質時代の境界を地球上で最も観察・研究しやすい1箇所を国際標準模式地と認定しています。
日本では2020年1月に地質時代の区分の一つとして77.4万年前から12.9万年前までの期間が「チバニアン」と命名され、千葉県市原市田淵の養老川沿いにある「千葉セクション」が国際標準模式地として認定されたことが記憶に新しいかと思います。
今回の「人新世」の模式地候補には別府湾の海底堆積物なども候補としてあげられていました。別府湾の海底堆積物には愛媛大学などの研究により、1950年代以降、放射性物質が急増しており、60年前後からはマイクロプラスチックが検出されることなどが確認されています。
[朝日新聞 2021年5月31日 17時30分]
人新世の模式地となる候補地では、放射性物質やさまざまな化学物質など人間活動の痕跡が残されています。
人間の活動の痕跡が地層にも記録として残る可能性があるということを念頭に置いて、私たちは未来にどんな地球を残していくのか考えていかなければいけないのかもしれません。
人間活動が地球環境に与えた負の痕跡ばかりではなく、今後、私たちの努力によって地球環境が好転してきたというポジティブな痕跡も未来に残せたらいいなと思ったりしています。
「人新世」自体の認定についても様々な議論があり、今後どうなっていくのか分かりませんが、人間活動が地球環境に与える影響をあらためて考えるきっかけになればよいなと思います。
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