【3年・8期生】2022年6月1日春学期第7回ゼミ-『無印都市の社会学 どこにでもある日常空間をフィールドワークする』輪読
こんにちは!明治大学情報コミュニケーション学部の南後ゼミ8期生、S.K.です。
文献輪読も3回目になりました。以前までの文献は都市論や社会学に関する手引きのような要素が強かったため、内容の抽象度も高く、読みこなすのに苦労するものでした。しかし、今回の文献輪読では例外なくゼミ生の誰もが同じことを感じたのではないでしょうか。そう、「読みやすい」。
そんな今回の文献のタイトルは、『無印都市の社会学 どこにでもある日常空間をフィールドワークする』です。僕も以前から気になっていた本だったので、楽しく読み進めることができました!
【活動報告】
本書の構成としては、聞きなれない言葉である「無印都市」についての説明や、都市をフィールドワークする方法について簡単に触れたのちに、コンビニやショッピングモール、家電量販店、ラーメン屋、書店といったようなさまざまな空間のあり方を社会学的・都市論的に論じる、といった感じです。
ここからは、全4班の作成したレジュメに基づいて本の内容をさらっと紹介したいと思います!
◆1班
1章:無印都市とは何か?
・無印都市:複製的な消費装置が並ぶ現代の都市状況の総称
・都市は舞台化から脱舞台化へ
・意識を拡散させ、断片的な情報の流れに触れるような態度〈気散じ〉(ベンヤミン)を身体レベルまで拡張した〈身散じ〉
4章:消費空間のスタイルがせめぎ合う場所[大型家電量販店]
・二つの消費空間のスタイル
①Macコーナー:雑然とした空間の中で唯一シンプルで洗練されたテーマ化された空間
②非Macコーナー:機能性と効率性が押し出されている空間「個人の選択がしやすいべきだ」
☆テーマ化された街において我々は、無意識に街ごとの物語に合わせた消費行動をとっているのではないか?
◆2班
5章:フランフラン 安心・安全なおしゃれ空間
・「つい」を誘発する「時間消費型」空間
・無目的な身体が大量に流動しているような場所でのみ棲息できる
☆フランフランは店舗自体が街の中でアフォーダンスとして機能しているのではないだろうか?
10章:ラーメン屋 味覚のトポグラフィー
・現代都市からすると不気味な「動物臭く」「汚い」ラーメン屋
・「なんでもあり」を許容する融通無碍さや定義し難さの刺激
☆ラーメン屋で重要になる〈身散じ〉の態度は、「目線を合わさない」ということなのではないだろうか?
◆3班
11章:TSUTAYA /ブックオフ 「快適な場所」としての郊外型複合書店
・「本好き」はTSUTAYAやブックオフに抵抗感を感じる
・書物が伝達する情報のみを求める「読者ならざる読者」は、書店に「快適さ」を求めている
☆「書斎化する書店」では快適な場所としての「記号」が消費されているのではないか?
16章:フィットネスクラブ 都市空間を飼いならす
・画一的な目的を持つ都市文化であるフィットネスクラブでは、階層性や世代に担保された排他的な仲間意識が現れている
・階層による「包摂」と世代による「排除」は、客自身によって空間が飼い慣らされた結果の産物
◆4班
18章:すぐそこのアナザーワールド
・現代に生きる我々との関係が希薄になった寺社では、非日常的空間の中で日常の消費空間の感覚を取り戻すことができる
・都市の周縁部である寺社空間で堪能できる「はるばるアウェー感」
19章:構築され消費される聖と癒し
・無印都市では、地域住民が「聖地巡礼」に訪れる観光客を迎え入れる
→大きな経済効果、双方の積極的な交流
・メディアが誘因となりブームとなった「パワースポット」
→現場に赴くことも必要だとして、一定の来訪者を維持
☆YouTuberによる聖地巡りは、新しい聖地巡礼の形なのではないか?
☆「歩くパワースポット」と呼ばれる人の出現、スマホの壁紙等によって、パワースポットはより身近なものになったのではないか?
以上少し長くなりましたが、各班の考察も含め、今回のゼミの活動報告でした!
【都市論ネタ】
◆東京ミッドタウン八重洲
みなさんは東京ミッドタウンをご存知ですか?
2007年に六本木で開業した東京ミッドタウンは、ホテル、文化施設、商業店舗、オフィス、住居、病院、公園などが集約された複合施設です。管理運営者は、この施設を所有している三井不動産の子会社である東京ミッドタウンマネジメント株式会社という企業だそうです。
「JAPAN VALUE」を世界に向けて発信していくため、「DIVERSITY「HOSPITALITY」「 ON THE GREEN」「 CREATIVITY」の4つのコンセプトのもと、包括的なまちづくりをおこなっています。現在では日比谷にも「東京ミッドタウン日比谷」があり、高層ビルが立ち並ぶ赤坂、日比谷エリアでもこれらのビルは一際大きな存在感を放っています。
そんな中、この夏に「東京ミッドタウン八重洲」ができるというのです!
2022年8月に東京駅八重洲口に竣工予定の東京ミッドタウン八重洲では、「ジャパン・プレゼンテーション・フィールド」の施設コンセプトのもと、先述した4つのコンセプトに、新たに「CENTRALITY」「 OPEN MIND」「 HARMONY」の3つの価値を加えたまちづくりがなされるそうです!
従来のようにオフィスや商業施設が入るほか、このビルの中にはなんと、高級宝飾品ブランド「BVLGARI」(ブルガリ)のホテルや、かつてこの地にあった小学校が入居するとか!!
さらに、地下二階には国内最大級のバスターミナルが整備されるようです!その乗り場の数はなんと20!現在地下ではどんな工事が進んでいるのでしょうか・・・
次回のゼミでは久々に地獄の文献輪読から解放されます!こんなことを言っていられるのも束の間のことなのでしょうね笑
ではまた!!
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