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ひたすら出張編集部に持ち込んだ1年の振り返り

年初に「商業漫画家になる!」と決意してから、この一年はひたすら出張編集部で持ち込み&講評を受ける日々でした。
その結果、ありがたいことに、現在2つの編集部でお世話になっています。

出張編集部で画力・漫画力が劇的にアップ!

「百聞は一見にしかず」ということで、まずはこちらを見ていただきたい。

いろんな方から「上達したねぇ」と言われたので、(一般的に画力があるかは別として)「成長できた!」と自負してよいかなと…

これも何より出張編集部でたくさん揉んでいただいたおかげ

そこで、今回は自分の一年の振り返りを通して、漫画上達に最適な出張編集部の魅力と活用方法をお伝えできたらと思っています。
「出張編集部気になる!」「来年は持ち込んでみたい!」という方の背中を押せたら幸いです。


数字で見る出張編集部チャレンジ結果

まずは、この一年の結果を数字で振り返ってみます。

持ち込んだ原稿

  • 24ページ未満…4点

  • 24ページ以上…4点

参加した出張編集部

  • 同人誌即売会系…3回/15社

  • オンライン持ち込みイベント…1回/1社

いただいた名刺

  • 紙雑誌系出版社…3社

  • 電子書籍系出版社…2社

  • 編集プロダクション…1社

定期的に指導を受けている編集部…2社

「ネームを送れる相手先(=名刺もらう)を5社以上、一緒にネームをブラッシュアップしてくださる先を1〜2社」という目標を立ててたのですが、無事達成しました!

出張編集部は、漫画家志望者にとってタイパ・コスパ抜群!

漫画家志望者にとって、最初のハードルはこの「指導してくださる編集の方を見つける」です。
そのためには、就活と同じで「自分にあっていそうな会社に数多く当たる」ことが大切。
たった4回で16社も持ち込めた出張編集部は、まさにコスパ・タイパ最強の場ではないでしょうか?

いただいたアドバイスの変遷

出張編集部 本年度1〜2回目
ストーリー作りよりも「絵を描きたい」が先行していた私は、この頃はコミカライズの作画担当を目指していました。
持ち込んだのは、コミカライズを意識して描いた悪役令嬢モノの短編とグルメ系の短編、応募した作画賞の課題作品2点

  • 良いところ

    • 全体的に読みやすく、特にコマ割りとセリフ回しがよい

  • 改善すべきところ

    • 絵柄の個性が強すぎ

      • ここまでデフォルメされていると、コミカライズとしては(原作者が嫌がって)起用しにくい

    • 背景までデフォルメされているので、没入感が損なわれている

    • 絵柄の割にキャラが弱い

作画担当への夢を早々にポッキリへし折られる…!!
相当にショックだったのですが、あわせて「絵柄の良さを活かすなら、キャラもの漫画がオススメ」「もう少し漫画らしい線と仕上げにブラッシュアップできるなら、検討できそう」と次に目指す方向もあわせてアドバイスしてもらえたので、すぐに気持ちを切り替えられました。

なお、この時でも3枚名刺をいただけ、そのうち1社と新人賞用の作品を作ることに。
もう一社とも、連載を目指して色々企画のネタ出しをみていただけるように
(ただ、ここで私にネタだしセンスがあまりにないことがわかり、「今はもう少し修行させてください」とお休み中)

出張編集部 本年度3回目
上記の新人賞用作品、残念ながら賞には引っ掛からなかったものの気に入っていたので、他の編集部の方の講評もいただきたく持ち込み。
その他、どうしてもグルメ系の漫画が諦められず、前回に引き続きこちらも持ち込むことに。

  • 良いところ

    • 全体的に読みやすい

    • 背景が丁寧に描いてあって、没入できる

    • 演出に起伏と迫力がある

    • キャラの表情が豊か

  • 改善すべきところ

    • エピソードを詰め込みすぎ

    • キャラの言動に不自然なところがある

    • 絵柄のデフォルメが(まだ)きつい。ストーリーと合ってない

    • キャラが弱い

この頃から、明確に「作品の完成度の不足」を指摘されることは減りました。
一方で、今も課題である「キャラの弱さ」と「話がまとまりすぎ(ていて、つまらない)」という指摘をチラホラ受けるように…。

ここでは1社から名刺をいただき、さらに(厳密には出張編集部ではないのですが)もう一社から声をかけていただき、新たに新人賞向けの作品作りをはじめます。

出張編集部 本年度4回目
コミティア150回記念で、最大規模の出張編集部があると聞き、無謀にも2週間前に参加を決意
ただ、目新しい作品がなかったため、ネームだけ切っていた短編とエッセイ漫画(相変わらずグルメものが諦められない)を超特急で仕上げて持ち込むことに
(なんとか前日に完成しました…)
あと、前回の新人賞用作品も引き続き持ち込んでいます

  • 良いところ

    • 視線誘導がきちんとできている

    • セリフ量が適切

    • 冒頭のつかみが、演出・セリフ回しともにバッチリ

    • 見せ場とめくりをきちんと設計できている

    • キャラの表情がよい

  • 改善すべきところ

    • ストーリーにご都合主義感が滲み出ている

    • 線に強弱が足りず、迫力がない

    • 手のデッサンが甘い

    • キャラが弱い、読者を惹きつけるものがない

ここにきてようやく基礎力の足りなさを指摘されることが減り、「もっとおもしろくするにはどうしたらいいか」を中心にアドバイスを受けるように。
「次はこんな練習を」「次回作はこういったテーマ、コンセプトで描いてみてください」と具体的な宿題をいただくこともありました。

おかげさまで、この場でも新人賞にむけて伴走してくださる編集部の方が!
また、日頃お世話になってる編集さんに直接制作中の原稿見てもらえたのも大変嬉しかったです。

この日は朝から飲まず食わずで駆け回り、合計6社回ってヘトヘトでしたが、年内最後の出張編集部として大満足の成果を得ることができました!

出張編集部で成果出すためにやったこと

そもそもの心がまえ

0.出張編集部は、講評をもらう場と心得る
実はこの一年前にも出張編集部に行っていたのですが、「褒め」や「スカウト」を目的に行ってよいアドバイスを得られたことは残念ながら一度もありませんでした。
なにせ、こちらは画力も漫画力もないど素人!よくて幼稚園の先生ばりに「よく描けました」と言っていただけるか、「己の身の程を知りなさい」と喝をいれられるか。
何回かの失敗の後、自分はやっと気がつきました。

今の自分は、(プロの世界ではあまりにも)下手!!

つまり、出張編集部に対し分不相応な期待をしてしまっていたんですね。

褒めてもらったり、スカウトされたいのなら、当然それに見合う実力をつけなくてはいけない。
そのために必要なのは「褒め」ではなく「具体的な改善点」!

というわけで、まずは出張編集部に期待する内容を切り替えることにしました。
出張編集部では、プロによる客観的評価をもとに「伸ばすところ」と「鍛えるところ」を教えてもらう!と。

持ち込み先を決めるためにやったこと

1.専門家からアドバイスをもらった
今年に入るまで、二次創作しかしてこなかった私。自分の作風もわからなければ、持ち込み先も見当がつかず…早々に専門家のアドバイスを頼ることに。
そこで相談した先が、漫画ソムリエ・東西サキさんの「漫画家進路相談」サービスでした!

こちらで描きあげた読切短編と過去の二次創作同人誌を見ていただき、「今の自分の絵柄や作風に興味を持ってもらえるか?」という視点で、おすすめの持ち込み先を5社ほどピックアップしていだだけました!
おかげで、膨大な持ち込み先のある出張編集部でも迷うことなくサクサクと回れました。

さらに、冒頭の成果目標(いただく名刺の枚数とか)についても具体的なアドバイスをいただけたのもありがたかったです。

面談の雰囲気などについては、他の方が詳細なレポをされているので、そちらをぜひ!(私もいつかレポ描きたい…)

よいアドバイスをもらうためにやったこと

2.持ち込み用に読切漫画を完成させた
「未完成原稿では、しっかり評価できないよ!」
これは、複数の編集部で強く言われたことです。
もちろんネームでも見てくださる先はありますが、そういうところでも「完成原稿の方がしっかりした講評を返せる」とおっしゃってました。

この場合の完成原稿とは

  • 話が完結していること

    • 連載途中の話は、厳密には未完扱い

  • 作画が完成していること

    • 背景、ベタ、トーン、効果線全て入っていること

以上の条件をすべて満たしているものです。
厳しいところでは、ページ数も「32ページ」と厳密に指定されることも。

ただ、この条件を守った原稿を持ち込むと、明らかに具体的な改善アドバイスを貰えるようになりました!

ちなみに、二次創作は原作を知らないと成り立たない作品が多く、商業作品と面白さの組み立て方も違う(二次創作独特のセオリーがある)ので、商業デビュー目的の持ち込みには基本的に不向きだそうです。

3.講評を貰う前に、自分の目的をしっかり伝えた
短い時間で欲しい情報を得るために、必ず以下の内容を口頭でお伝えしてました。

  • 商業デビューを目指していること

  • そのために、新人作家として自分の強みと弱み(=改善点)を知りたいこと

  • 自分はストーリー作りが弱いと感じており、作画担当になれるかの可能性も探りたい

すると、上記の目的を念頭において読んでくださるためか、すぐに具体的な回答と改善策までいただけるように 

アドバイスを活かすためにやったこと

4.講評内容を他の人にもみてもらった
出張編集部での講評内容は、自分の振り返りも兼ねて必ず身内に話していました。

描いた本人だと、どうしても講評を感情的にしか受けとめられないことってよくあるんです。(特に、実力不足を指摘されると、「イジワルだ!」とか「叱られてる!?」と思ってしまったり)
けれども、身内の感想・見解という客観的な視点が入ることで、褒められたことも指摘されたことも、冷静に内容を吟味できるようになりました。

5.講評内容から、克服すべき課題をリストアップした
出張編集部では、毎回「自分の弱み」や「改善した方が良いこと」をきいています。プラスして、「読者が違和感を覚える箇所」を指摘してくださる編集部も多いです。
そう言った内容を毎回メモし、特に複数から指摘されたことを「克服すべき課題リスト」にまとめています。
次の原稿は、その課題を一つでも改善するように制作→次の出張編集部で、実際に克服できているかフィードバックをもらいます(もらう相手は、以前と同じ編集部でなくてもOK)

これをくりかえすことで、2回目くらいから明らかに「ちゃんとした漫画に(は)なってる」「基礎力が高い」と言っていただけるようになりました。
そうなると、いただけるアドバイスも「もっとおもしろくするにはどうしたらいいか?」という一段階進んだものになってきました。

来年も出張編集部チャレンジは続く

ありがたいことに定期的に指導いただけるようになったので、まずはそちらでの作品制作に専念!
「年内に読切デビューできたらいいね」というのがお世話になってる編集さんたちとの目標です。

とはいえ、まだまだ未熟な自分の漫画力をあげるためにも多くの方からのフィードバックは欲しく、許される範囲で出張編集部には通い続けたいと思っています。

また一年頑張るぞ…!

オマケ1:簡単な自己紹介

Web・アプリディレクター(最近はPM寄り)をやりつつ、セカンドキャリアとして商業漫画家を目指しているオタクです

オマケ2:次回予告

現役PMが教える、締切までに原稿を完成させる技術(仮)
「来年こそは新刊を落としたくない!」
「狙った新人賞に今度こそ投稿したい!」
という方向けに、進捗管理が生業&今まで新刊を落としたことのない同人作家が、締切を守るコツをまとめています。

1/5までに公開予定!(はたして、この締切は守れるか…?)

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