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二次創作を卒業してきました

先日出した新刊で、20年近く楽しんできた二次創作に一旦区切りをつけてきました。

理由は端的にいうと
「商業デビューを目指すための創作に専念する」
というシンプルかつ前向きなものです。

とはいえ、人生の半分を占めてきた活動から身を引くまであたり、色々悩み考えてきた末の結論なので、備忘録的に決意に至った経緯を書きたいなと思いたちました。

同じ悩みを抱えている方はもちろん、「こんなヤツもいるんだなぁ」と興味本位でも読んでいただけたら幸いです。


そもそも、どうして商業漫画家を目指すのか

私は現在40代前半で、二次創作歴は中学生からと非常に長いものの、漫画を本格的に描きはじめたのは数年前。それまでは、ずっとイラストや小説ばかり書いていました。

とはいえ、学生時代はオタク女子らしく?漫画家への憧れもあり、何度か描こうと挑戦はしたのです。
しかし、さっぱり思うように描けず、それでも出してみた同人誌は鳴かず飛ばず…
すっかり「自分に漫画を描くのは無理だ」と諦めるようになっていました。

それでも「推しのいろんな顔を見たい」一心で、漫画以外の二次創作ばかりしていた自分が、急に漫画家への夢を再度追いかけるようになったのは、出張編集部がきっかけでした。

※この記事よりさらに1年くらい前から、実はちょこちょこ通ってました。

「マンガ、描けてますよ!」

出張編集部通いがはじまる一年ほど前。

仕事の一環でWebライティングをするようになってから脳の作文リソースが全部そちらに取られてしまったようで、私は二次創作小説が書けなくなっていました。

しかし、どうしても推しが活躍するストーリーを書きたい!
絵だと、一瞬のシーンしか表現できない…!
となり、一念発起して今一度漫画を描いてみることにしたのです。
(当時ジェスドロにハマって、色んなポーズを描くのが苦でなくなっていたのも、後押しになりました)

学生時代に諦めて以来、10年以上のブランクからの再挑戦。
それなりにまとまったページ数の漫画は当時もほとんど描いたことがなく、出来上がった同人誌は、実質初めての(自分にしては)本格的なストーリー漫画となりました。

この本はおかげさまでそれまでの自作品では1番評判がよく、すっかり舞いあがった自分。
そんな時目に止まったのが、出張編集部のブースです。

「せっかくなんで、プロにも見てもらいたいな」

完全に記念受験のノリで持ち込み、緊張しながらも「これ、プロの目から見て漫画になっているでしょうか…?」と訊いてみたのです。
すると、担当してくださった編集者の方は笑顔で「大丈夫、ちゃんと描けてますよ!」と答えてくださったのでした。

編集者さんから講評をもらうのが心底楽しい


さらには「こうするともっと良くなる」と目から鱗のアドバイスをたくさんくださったのです。

ありがたいことに、どれも自分のレベルにあわせた具体的な改善案ばかり。
これらはすぐに自分の次作に反映でき、自他ともに漫画として「ちゃんとして」いくのがわかりました。

何より、今まで描き方がよくわからなくて絵にするのを諦めていた様々なシーンを漫画として描けるようになっていくのが本当に嬉しくて…楽しかったのです。

背景描くクセがついてきたのも、出張編集部のおかげ

「好き勝手に描く」の孤独

二次創作でも私は決して万人受けする描き手ではなく、それでいて「自分が描いたものを一緒に楽しんでくれる人が、一人でも多くいたらなぁ」というワガママを抱えてきました。

だって、やはり嬉しいんです。

自分の作品が誰かの心に届いている姿を見るのが。
感想いただくのはもちろん、本が誰かの手に渡るのを見るのが、なんだったらブクマやいいねの数が増えていくのを見るのだけでも嬉しい。
正直会話下手な自分にとって、作品を描いて誰かに読んでもらうことは、貴重なコミュニケーション手段なのです。
そして、基本寂しがり屋なので「わかりあえる人は一人でも多く」と願わずにはいられない。

だからこそ、描き手として「好き勝手に描く」自由と「それでは、読んでもらえない」孤独の狭間でずっと地味に悩み続けてきました。

そんな時に出張編集部で出会えたのが、「描きたいものを読んでもらうための方法」を一緒に考えてくださる編集者の皆さんだったのです。

私はすっかり出張編集部で講評してもらうことにハマり…そこで、はたと気が付きました。

「これ以上は、プロにならないと無理じゃね?」

本当に当たり前すぎることなんですが、プロの編集者の方と一緒に作品を作っていくには、自分もプロの漫画家である必要があります。

にわかに、大昔に諦めていた夢がより強い勢いで再燃してきました。

自分は「誰かと一緒に」創作したい

こと創作においては、自分は非常に迷いが多いタイプです。
そんな自分にとって「創作に伴走してくれる」編集者さんとの出会いは、本当にありがたいものでした。

出張編集部以外でも、SNSを通じて声をかけてくださったり…おかげさまで定期的にみてくださる編集者さんとのご縁に恵まれ、いっそう「誰かと一緒に創る」楽しさを噛みしめています。

なぜ二次創作からあえて卒業することにしたのか

創作仲間は、伴走者ではなく「戦友」

こういうカロリー高い作画を乗りきれたのも、
一緒に作画と戦う戦友がいたからこそ

とはいえ二次創作中はずっと一人で黙々と描いていたかというと、そんなことはなく。
大変ありがたいことに、二次創作仲間の縁にも恵まれていました。
どの友人も素晴らしい描き手で、創作意欲と推しへの愛情が人一倍強く、尊敬しています。

だからこそ「自分たちは戦友であって、伴走者にはなれないな」と強く思ったのです。

みんなそれぞれに「理想の推しの在り様」があります。
しかし、創作での不安・迷いを抱えている時、自分の場合はお互いの理想の違いでより迷いが強くなる傾向があるのに気づき…。
あらためて、自分には伴走してくださる方が不可欠なのだと痛感していました。

流石に「三足の草鞋」はキツかった

とはいえ、二次創作にどっぷり浸かってきた私。
この楽しさをすぐに手放せるわけでもなく、最初は投稿活動と一緒に並行する気満々でした。
筆だけは早いので「作業量的にはなんとかなるだろ」と、呑気に考えていたのです。

しかし、作画はなんとかなってもネームが進まない。うまく頭が切り替えられませんでした。

なんとか創作のネームの講評待ちの間に二次創作のネームをやり…といった感じで進めてきたものの、さらには本業もあります。毎日が「仕事してるか、原稿してるか」になって、これは流石の自分も心身がキツいかも…?と不安になってきました。

商業オリジナルと二次創作は、描き方がまったく違う

両立は無理かも」と思った理由は、もうひとつあります。

これは出張編集部で二次創作と一次創作と両方持ち込んだ方なら経験あるかと思うのですが、受けるアドバイスが正反対レベルで違うことがあります。

1番わかりやすいのはキャラを描く量のアドバイスで、一次創作は「(舞台への没入感を出すために)キャラを描かないコマを適度に作って」と言われるのに対し、二次創作は「(読者が見たいのは推しの顔なので)キャラの色んな表情を詰め込んで!」と言われたり。

作品に応じてうまく描きわけられるのがベストですが、そんな器用なこと漫画初心者にできるわけもなく…

好きだからこそ、中途半端になりたくない

改めて二次創作と商業オリジナルの違い、同時並行は難しい現実に直面し、強く思いました。

中途半端なものは出したくないな

二次創作と商業オリジナル、どちらを描くのも真剣でありたいからこそ、同時並行は無理だなと。

そうなると、今の自分はどっちを優先したいのか

本当に相当に悩みました。
そんな中、出張編集部である方からこんなアドバイスを受けます。

「連載待ちたいなら、勝負は50歳までかな」
「商業ベースの執筆って、特に最初は本当に体力使うから」

冒頭でもお伝えしたように、自分は40代。
残された時間は、あと数年です。

さらに、このタイミングで一緒に新人賞目指して伴走してくださる編集者の方とのご縁ができました。
なんと、ネタ出しの段階からがっつりプロに相談できる…今までの創作人生において、かつてない大チャンスです。

商業目指すなら、本当に今しかない

それで、やっと二次創作を卒業する決心がつきました。

卒業記念に初めて作った大判ポスター
新刊の裏テーマも「卒業」でした

これからの創作活動について

一作でも多くオリジナル作品を読んでもらう

最初の宣言どおり、商業デビューのための活動…具体的には、新人賞への投稿に邁進します。(すでに何作か投稿済)

描いた作品はデイズネオにも投稿中
https://daysneo.com/sp/author/nangiyora

一方で、今まで持ち込みや投稿用でしかオリジナルを描いたことのない私は、自分のオリジナル作品を編集者の方や身内以外に読んでもらった経験がほとんどありません。

「読者の皆さんのことを知らずに、商業作品は描けない」

ということで、思いきって今度の2月からコミティアに参加してみることにしました。

2/16 コミティア151に出ます!

スペースNo.R-47b
ジャンル:ファンタジーで参加です

自分がはじめて新人賞用に描いて思い入れも一際強いお話を、作画を全面的に描き直したうえで発行予定です。
どんなお話かは、過去の noteでも紹介しています。

出張編集部でのアドバイスを元に少しセリフなどもいじってますので、当社比より良いものを本としてお届けできたらなと…!

ご興味持ってくださった方は、ぜひコミティア参戦ついでに当サークルにもお立ち寄りいただけたら嬉しいです。

今後は、今お世話なってる編集者の方々や今後読者になってくださる方々と一緒の作品づくりを、頑張っていきたいと思います。

あらためて、よろしくお願いします!


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