Cards(トランプ記憶)の攻略法
メモリースポーツのトランプ記憶の攻略法を書いていきます。
覚え方自体はメモアカのYouTubeやサイトをご覧ください。
覚え方は知っているけど、伸び悩んでいる人向けです。
まず大前提として、「速く正確に覚えられて、再現性がある」ならそれが正義です。
メモリースポーツは頭の使い方による出力を競っているので、出力(=結果)が良ければそれが正解です。
1in1でも2in1でもPAOでも、詰め込みが0枚でも4枚でも8枚でも覚えられれば何でも良いんです。
個人差も大きいし、どのシステムでも高いスコアが出ることは近年数々のトップ選手によって証明されています。
「このやり方を身に付ければ目安で何秒が出ますよ」というステップが無いのが難しいところであり、面白いところだと思っています。
九九を覚えれば100マス計算はできるが、じゃあ何秒でできるようになりますよと言えないのと同じですね。「技」を身に付けたとしても、その「運用能力」は努力によっていくらでも変わるし、何時間努力したからと言って必ずこのレベルまで行くというのも無いです。
だから、上級者のプレイを見ながら、自分なりに工夫と改善を積み重ねていくしかないのです。
とは言え、普遍的に当てはまるであろう技術論や、こういうマインドで臨んだ方が伸びやすい(トランプだけでなく)というアドバイスはあるので記事にまとめていきます。
自分なりに速く覚える技があるのであれば、それが正解だし、自信を持って突き進んでください。
ごくまれに良いスコアが出る方法は、基本的に良くないと思います。再現性があることが大事です。人に説明できなくても良いので、自分の中で「何度もこのスコアを出せる」という方法があれば突き進んでください。
適当に答えたらいつかは超ハイスコアが出ますが、それはあまり意味がありません。コンスタントに良いスコアが出る方法を模索しましょう。(意図的に限界を超えるために精度を犠牲にしてスピードを出す練習は全く問題ありません)
技術編
カードは「変換」+「Images」です。メモリーリーグのImagesを知っている前提で書きます。
カードは変換の手間がかかるImagesだと思ってください。嫌ですね。ただ、自分であらかじめ好きな写真を決められるImagesだとも思ってください。嬉しいですね。
変換というワンステップが増えるものの、その分だけ自分の好きなものを覚えられるというメリットがあります。一般的にはImagesの方がCardsよりタイムが速く出ますが、Cardsを得意としている超トップアスリートの中にはCards52枚を覚える方がImagesよりも速い人もいるくらいです。このメリットをいかに享受するかは考えましょう。
Cardsは変換が必要なImagesです。この変換部分とImages部分のどちらに時間がかかっているかを把握して、インパクトが大きい方を削る練習をしていけば、スコアは伸びていくと思います。
【変換部分】
とにかく変換練習です。カードを見て、自分が作ったイメージに変換する速さ、鮮明さを伸ばします。
変換練習は触れる回数と変換イメージ自体の質がモノを言います。
計算や言語の習得と同じで、やればやるだけ速くなる「身体的な」領域だと思ってください。反復練習をして、カード認知→イメージ想起を限りなく0に近づけていきます。
メモリースポーツの練習を効率化することは色んな分野でできますが、「ほとんど変換練習をしないで変換を速くする」というのは夢物語でしょう。とにかく触れる回数が大事です。
触れ方も一辺倒だと飽きてしまうかもしれないので、メモリーリーグのauto機能や、リアルトランプで手でめくる練習、脳内で順番に1枚ずつ想起する練習などを組み合わせると良いですね。私はそうしています。
ここはやればやるだけ伸びるので、「自分がどうやったら継続してやれるか」というモチベーションの上げ方、機嫌の取り方、習慣付けの分野になってきます。色んな工夫をしてください。
私は部屋の机の見える位置に常にトランプを置いています。
トランプの変換も毎回タイムを計ればモチベーションに繋がりますが、面倒なのでcsTimerなどのサービスを利用するという手も有効です。
大会前はお風呂の中や歩きながら52枚を辿るようにもしています。
これが触れる回数の話で、もう一つの要素が「変換イメージの質」です。せっかく自分で決められるイメージなので、似ているものや想像しにくいもの、想像に時間がかかるものを設定してしまうのはもったいない。
世界にあるモノの中からなるべく遠い52個を選びましょう。と言っても変換の語呂合わせの中でやりくりするしかないので、完璧に遠いものは選べないのでどこかで妥協しましょう。
デフォルメするのも効果的です。スペードの7の砂がリアルな大きさの砂である必要は全くなく、砂の怪物でも、巨大な砂時計でも、オリジナルキャラクターのスーナ君でも何でも良いです。
最初に言ったように、「覚えられれば正義」です。初心者の方が陥りがちな罠として、「綺麗に覚える」ということがあります。
メモリースポーツは覚える速さ、正確さを競うゲームです。覚えるイメージの綺麗さ、鮮明さを競うゲームではありません。芸術点もありません。自分が覚えられれば、どんなに適当なイメージでも構いません。脳内を誰かに見られるわけではないので、醜くても泥臭くても、インパクトに残って自分が覚えられるイメージを想起していきましょう。
変換先のイメージは定期的にメンテナンスすることも大事です。苦手意識のあるカードが1枚でもあると、必ずそこで止まってしまいます。1パックの中に絶対出てくるので。リズムが崩れます。
リズムが崩れるとその場所だけでなく前後の場所も変に取り返そうとして忘れてしまう、なんてことが良くあります。
苦手な変換があるのであれば、それをデフォルメするなり、違う語呂合わせにするなり、早急に対処しましょう。
【Images部分】
変換は速いのに、総合タイムが伸びない人はImages部分に課題があることが多いです。あるいは、変換練習のタイムを意識しすぎて、変換想起が上滑りしているか、似たイメージばかり作ってしまっているかもしれません。こっちの場合はイメージの質を高めるとして、前者の場合はImagesが伸びれば伸びます。
ではどうやってImagesを伸ばすか。Imagesはストーリーを作る作業と、場所に置く作業に分かれます。時間をかければパーフェクトを出せることを前提として、タイムを縮めるポイントは「型化」にあると思います。
自分でストーリー作りや場所に置く作業を「型化」すればインパクトは無くなりますが、スピードは上がります。インパクトに残るような面白いストーリーを作るのが基礎ではあるものの、毎回そんなことをするのは時間がかかるので、スピードを追求するならなるべくシステマチックにやっていきましょう。
初めて記憶術を学ぶ人は、面白いストーリーを毎回作って、場所になるべく面白く置いていくというやり方を推奨します。精度が先です。その精度を保ちつつ、余分な部分はそぎ落としていくことが重要になっていきます。ここまで自動化しても自分は覚えていられるという境界を見つけ、可能な限り自動化します。どんなカードが来ても、そのイメージを同じ速さで場所に置けるような仕組みを作る意識です。
例えば、2枚のトランプを見たとき「最初に人が来て、2枚目に物が来る場合はこういうストーリーを作る」など、ストーリーを型化できます。この型が決まっていれば、今後このパターンが出てきた時、迷わずストーリーを作ることができます。こうやって自分の必勝パターンを作っていきましょう。
自然に増えていくと思いますが、意図的に作って増やしていっても良いでしょう。
また、「1枚目の物はプレイスのこの部分に置いて、2枚目の物が横からぶつかってくる」などと場所を型化することもできます。これも自分の必勝パターンを作りましょう。
「毎回インパクトに残るような面白いストーリー/場所との紐づきができるように自動化する方法」ができれば最強です。記憶に残した上でスピードが最速になります。
1つ目が左で、2つ目が右に置いてあるイメージ、だとインパクトが弱い自動化なので覚えにくいと思います。毎回新たに作るインパクトはそぎ落とすものの、最低限どんな組み合わせになっても面白いストーリーになるような型化を目指すと良いです。
これができれば後は変換を伸ばすだけです。
トランプを認知して、決められた場所に決められたストーリーを付与し続けるマシンになりましょう。自分がやることは変換するだけです。変換も無意識にできるほどゾーンに入れば、トランプを通じて脳内の場所に作られたイメージを確認するだけの作業です。相当大変な境地だとは思いますが。
マインド編
・壁なんて無い
壁なんて無いです。もし「60秒を超えるのは大変」「初心者はレベル6までしか行かない」などと壁を感じているのであれば、取っ払ってください。
トランプを覚えるタイムは連続的なものです。59秒と60秒の間に大きな技術的な断絶があるはずがありません。全員が60秒で停滞するわけもありませんね。
60秒や30秒などはキリが良いから言われているだけで、壁では無く目標です。レベルも便宜上区切られたスコアに過ぎません。
必要以上に気にしてしまうと、本当に壁となってしまいます。そのくらい精神に左右されてしまう競技です。目標と捉え、超えていきましょう。
・成長は非線形であることを理解する
壁は無いものの、停滞してしまうことはよくあります。
練習した時間に綺麗に比例してスコアが伸びるという訳ではありません。
変換スピードの限界、認知の限界、ストーリー作りの限界、そういうものが重なり合い、練習してもタイムが縮まらないということは当然起きえます。
この状態に必要以上に悲観的になる必要はありません。誰しもが経験しているし、やれば必ず成長に繋がります。
自分が意識的にやっていることを、無意識に昇華して、さらなるスピードを手に入れられるのを待ちましょう。
本当に練習から一旦離れるのも手かもしれませんね。
・反省して、型化して、再現性を高める
練習時間の半分以上は反省に当てても良いと思います。実際に覚える時間よりも、覚えて回答し終わった後に、何を間違えたのか、なぜ間違えたのか、次同じカードが出てきた時はどうやって覚えるのか、次同じ場所に置くときにはどうやって置くのか、反省して書き記して、型化しましょう。
同じ過ちは繰り返さない意識を持てば、急激に成長します。
1回1回の試技を全力で、毎回最大のパフォーマンスを出すつもりでやりましょう。毎回成長の蓄積を残し、今日の自分が一番強い状態に持って行ってください。
・スタートする前に過去の蓄積を振り返る
せっかく過去の蓄積があるので、それを生かしましょう。スタートボタンを押す前に、過去の反省メモを見るか思い出して、今回はこれを意識して絶対に間違えないと心に決めてからスタートしてください。
私は使う場所を辿って、イメージが重いカードを脳内で変換してからスタートボタンを押しています。特に初心者のうちは、同じ過ちを繰り返さないだけで一気にスコアが伸びると思います。
・精度とスピードのコントロール
毎回最大のパフォーマンスを出せ、とは言いましたが、毎回自己ベストを狙え、とは思いません。
目的によって自己ベストを狙うのが良くないパターンもあるからです。攻めてギリギリを狙って外すよりも、確実にスコアを稼いだ方が良い場面もあります。
様々な場面が考えられるので、自分の中で精度とスピードをコントロールする癖を付けましょう。
100%当てるがタイムは自己ベストの50%、98%当てるが70%のスピード、90%当てるが80%のスピード、20%当てるが105%のスピード、など調整できる選手は強いです。
対戦をする中で、格上、同格、格下の色んな選手と戦うことがあります。その中でこの調整ができることが、勝利の期待値を最大化することに繋がります。
自分で練習をする時でも、「今回は自己ベストを狙いたいから105%のスピードで行こう」や「今回は格下との対戦を想定して、精度重視で80%の確率でパーフェクトが出るようにして、その中で最大限のスピードを出そう」など必ず意図を持ってからスタートしてください。何も考えずにたまたま自己ベストを出せるような世界ではないし、もし万が一出たとしても、再現性の無いまぐれになってしまいます。
ちなみに、感覚としてはどんなにスピードを追求する場合でも、パーフェクトが出る確率が5%以下の精度で覚えるのはあまり意味が無いと思います。
以上、技術編とマインド編に分けてカードのアドバイスを書きました。
私もまだまだ成長途中ですし、唯一解では無いですが、何かの役に立てれば幸いです。他の種目の攻略法も書いていきます(結構被ると思います)。