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本気で記憶術をあらゆる試験や仕事に使う方法

初めてnoteの有料記事を書きます、平田直也と申します。
今回は「本気で」記憶術をあらゆる試験や仕事に使う方法を紹介します。「本気」なので非常に内容が詰まっています。無料部分で約18,000字、有料部分で約38,000字あります。よろしくお願いします。

はじめに

経歴紹介

仕事は、株式会社メモアカという「覚えることが楽しめる世界を創造する」会社でCOOを務めています。まだ創業して間もない企業なので経営を含めてほぼ全ての仕事をしていますが、特徴的なもので言うと、記憶術を様々な年代の方に直接教えていたり、記憶術を独学で学べるサービスの教材を作ったりしています。

プライベートでは(半分仕事ですが)、「メモリースポーツ」という記憶力を使って競い合うマインドスポーツの選手をやっています。ランダムな数字を5分で200桁以上覚えたり、初見の人の顔と名前を1分で30人覚えたりしています。2019年には世界ランク1位になったこともあります。

そうです、「記憶の人」として認知してもらえれば基本的に合っています。

↓平田やメモリースポーツを初見の方に見ていただけると理解が速まるもの(今回の記事を読み進めるにあたって事前に見る必要はありません)

人となりを知っていただく場合は、noteの自己紹介の記事や、好きなコンテンツの話が分かりやすいです。
動画であればトマホークchで取材していただいたこちらが面白いです。

メモリースポーツって何?どんなことができるの?という側面では、QuizKnockや雷獣に取り上げてもらった動画が分かりやすくておすすめです。

また、記憶術やメモリースポーツについては「世界最強記憶術 場所法」という本も書いて紹介しています。

このnoteを書こうとおもった経緯

さて、上記で挙げたコンテンツでは、「記憶術ってすごいよ」「記憶術を使った競技、メモリースポーツって楽しいよ」「メモリースポーツって元々の記憶力は関係無くて誰でも記憶力を鍛えられるんだよ」ということを伝えてきました。
僕の「記憶人生」のほとんどはこの研究と普及に費やしてきたと言っても過言ではありませんし、数多いらっしゃる教育者や脳の研究者、記憶術講師の中で自身の強みと言えるのは、この「メモリースポーツの戦績とその過程で培った記憶術」にあると思っています。

なのでnoteの過去の記事やXでの発信のほぼ全てはメモリースポーツを軸にした記憶術に関連する内容でした。

こうすると、競技として捉えてくださる方や記憶術自体を学びたい方にとっては有益と感じてもらえていたのですが、一方で多くの方には「で、記憶術をどうやって試験や仕事に生かすの?」「トランプを覚えて何になるの?」と思われていた気がします。メディアに出演してもまずこのような質問を受けることから、記憶術を試験に生かしたいというニーズが高いことも重々理解しています。

断言します。記憶術は、試験・仕事に役立ちます。
僕自身も色んな試験に使ってきましたし、記憶術を教えてきた経験から再現性のある手法だと確信しています。

ですが、この方法論を伝えるのはかなり難しく、半ば諦めていました。
僕自身が「メモリースポーツをやっていて記憶術の運用能力を極限まで高めてから、普段の大学の試験勉強に使ってみたら非常に効果があった」という経験をしてきたため、「メモリースポーツで必要とされる記憶術をまず練習してから、その後テストで使うと良い」という結論は持っているものの、そのまま伝えるとまず思うように伝わりません。
「いや、勉強に使いたいのにトランプなんて覚える練習したくないよ」と思うと思います。当然のことです。なかなか実感と合わないですよね。実感に合わないことはやろうと思わないし、やっても続かないです。

しかも、テストで使うには結構な練習量が必要です。ここで躓く人が非常に多く、「記憶術を練習する時間があるなら、普通にテスト勉強した方が速いや」と挫折した声もよく聞きました。

上記の理由から、「テストに記憶術を使う方法」はなかなか広めることができませんでした。なので、僕はごまかして「まずはメモリースポーツにハマってください」という伝え方をすることが多くありました。事実、メモリースポーツにハマって競技を頑張っている人ほど、気付けばどんなテストにも使えていたという状態になっています。

実は、「世界最強記憶術 場所法」の本は元々「大学のテスト勉強に記憶術を使う方法」という内容で出版したいと思っていました。
この本は出版甲子園という企画プレゼン大会がきっかけで出版できたのですが、応募当初はテスト勉強に使うための方法論で提案していました。
しかし、多くの出版社の方に見てもらい、当時の自分の力不足もあって体系化できていなかったこと、そして内容が難しすぎることから記憶術を紹介する本にチェンジしたという経緯があります。

ニーズとして、すぐに使える記憶のテクニックやコツを知りたい人がほとんどなのは分かっています。例えば勉強する時間を夜から朝に変えるだけで、食事を変えるだけで、ちょっと何かを意識するだけで、たくさんのことを覚えられるようになったら嬉しいですよね。
分かります。分かりますが、やっぱりそううまくは行かないんですよね。もちろんそのようなテクニックはたくさんありますし、僕も色んな研究をしてきて効果を体感しているものもたくさんあります。状況に応じてそういったテクニックをお伝えしてきたこともよくあるし、それが色んな人に役立った実感もあります。

でも、本当に伝えたいのは、「学ぶのに時間はかかるけど、莫大な効果のある記憶術の使い方」なんです。僕はこの方法に高い価値を感じています。
正直、1か月後のテストのことを考えるなら、記憶術を学ぶより普通に勉強した方が効率が良いと思います。
でも、その先のテストや、今後の人生で遭遇する全ての暗記物のことを考えたら、多少大変でも身に着けて大いに意味のある方法論だと信じています。僕は身に着けて良かったと思っています。

この方法を求めている人は、決して多数派ではないものの絶対にいると思うので、今回noteでまとめることにしました。インスタントではなく、骨太に学んでいこうと覚悟のある方に捧げます。

今まで体系化や文章化が難しく、曖昧に伝えてきた内容ですが、やっと実力と時間が追い付いてまとめることができました。
というのも、今年の7月に前職を退職し、8月から専業で記憶について昼夜問わずずっと考える時間があったからです。記憶術を学んでから約8年半、やっと自信を持ってお伝えすることができました。
そして、この仮説を基にメモアカで「プレミアムコース」というクラスを新設し、記憶術を試験に応用するために3か月特訓をするという授業を始めました。今まで僕は生徒に「メモリースポーツ」を教えるか、講演会やインタビューなどで「1日で理解できるレベルの記憶術」を教えるかがほとんどだった中、このクラスは本気で記憶術を試験に応用することのみにコミットした挑戦的な内容です。

まだ1か月が終わった段階ですが、仮説は確信に変わりました。
僕が使ってきた記憶術の応用方法は再現性があるし、その練習方法も間違って無かったんだと再確認することができました。

noteの概要

今回の有料記事は、プレミアムコースの初回授業の内容をまとめ、再構築したものになります。もちろん文章で伝えるより直接講義した方が伝わりやすいので(特に記憶術は脳内で何が起こっているかを説明する必要があるため対話しながら進めた方が効果が高い)、実際の授業で得られる効果の全ては提供できませんが、なるべく役立つものを書き残しておこうと思います。

初めに注意しておきますが、この記事では即効性のある細かいテクニックの話はしません。食事や睡眠の話もしないし、エビングハウスの忘却曲線のような話もしません。栄養は取った方が良いし、たくさん寝た方が良いし、たくさん復習した方が良いに決まっています。
※この話は少し補足して後述しますが、例えば「この栄養を取ったら記憶術を使えるようになる」というものは基本的に無いです。記憶力を維持したり、認知症の予防になるような栄養はあると思いますが、そのような方法では試験を乗り切ることはできません。記憶術は四則演算のようなもので、「知っているか知らないか」「使うか使わないか」という類のスキルです。魚を食べたら掛け算がすぐに速くなるか?と言うと、そんな訳は無いと思います。記憶術も同じで、栄養とか睡眠を気にすれば変わるものではなく、やり方を学んで練習するかどうかが重要です。もちろん、眠い中で計算問題を解くと頭がぼーっとしてパフォーマンスが落ちることがあることはあるので、最低限パフォーマンスが出せる健康状態にする必要はあります。

この記事で扱うのは、もっと地味で、習得に時間がかかる方法です。
でも、自分の意志で使っているという実感が必ずある技です。

「算数の文章題に四則演算を使う方法とその鍛え方」の記憶バージョンだと思ってください。「あらゆるテストに記憶術を使う方法とその鍛え方」を紹介します。

前半は、この勉強法のコンセプト、使う方法の抽象的な話をしていきます。記憶術とは何なのか、なぜメモリースポーツの知見が役立つのか、試験にどうやって記憶術を使おうとしているのかについて話します。

後半は、記憶術の内容と、具体的にこの勉強法を使ってテストに使う例を話していきます。使う記憶術の具体的な内容、練習問題、トレーニング方法を載せます。そして、それらを用いてどうやって試験に生かすかという内容を書いていきます。

前半は読むだけで理解できると思います。本当にできるのかは分からないけど、こうやって記憶術を使えば確かにテストには使えるかもしれないね、という状態になります。20-30分くらいで読み終えると思います。
後半は練習を伴うので、時間がかかります。何をしようとしているのか分かるレベルになるまで1週間、実際にどんなテストにも使えるなと実感できるのは1-3か月ほどかかると思います。

そして、この記事の前半は無料です。無料部分だけでも相当なボリュームがあります。
無料部分を読んで、コンセプトを理解して、本気で学びたいなと思った人が有料の後半部分に進んでもらえればと思います。そもそも全体像が分からない勉強法にお金を払うのは怖いと思いますし。コンセプトだけでも読んでいってもらえたら嬉しいです。



勉強法のコンセプト

目標

この記事で教える勉強法の最終的な目標は、教科書1冊の概要を覚えられる記憶力を身に着けることです。
どんな教科書でも構いません。歴史の教科書でも、一般教養の本でも、暗記科目ではない数学の教科書でも大丈夫です。あなたが覚えたい時に、覚えたい科目に対して、覚えようと思ったら概要を全て覚えられること、これがゴールです。

もう少し具体的な状態で言うと、
・5分あれば50個のランダムな単語(日本語)を全て順番通りに覚えられる
・1週間あれば600個の専門用語を脳内にストックできる
この2つの状態をゴールに設定しています。

もちろん練習量によりますし個人差もありますが、記憶術に専念できるなら1か月で、その試験の勉強を並行して進めているなら3か月で達成できると思います。

僕はもうメモリースポーツ歴9年目になるので、1分あれば50個のランダムな単語を全て順番通りに覚えられますし、2日あれば600個の専門用語を脳内にストックできます。これらの能力を使って、大学生の時にあらゆるテスト(中国語や韓国語などの語学、経営学、統計、一般教養科目など)に臨み、結果次席で大学を卒業することができました。

多くの試験が教科書や何かしらのテキストの内容をベースに作られているはずです。
小テストレベルであれば、そのまま教科書数ページ分の内容が出題されることもあるでしょう。
教科書の概要を覚えてから臨めば、単語や流れを忘れることはありませんし、思考を伴う応用的な問題であっても教科書の知識をベースに考えることができ、確実に試験合格に近づきます。
なので、教科書1冊の概要を覚えられる状態を目標に据えています。

そして、この目標を達成するための方法として、結論から言うと「メモリースポーツで使われている記憶術を習得しましょう」になります。はい、僕が通ってきた道をそのまま教えます。でも、トランプ記憶とか数字記憶とかあんまり関係無いものもあるので、関係あるものだけに絞って道を敷きました。安心して進んでください。

記憶術とは何か

では実際に記憶術の話に入っていきましょう。

記憶術とは、大量の情報を短期間で覚えやすくするための技術です。
技術、テクニック、ノウハウ、スキル、メソッドです。要は、頭の使い方です。

試験で覚えたいものは、たいてい覚えにくい形をしていて、覚えにくい量の情報があります。それを何も工夫せず見たまま覚えられれば苦労しないのですが、それは非常に難しいです。
なぜなら、人間の脳は短時間で見たものはほんの少ししか覚えられないという制約があるからです。

したがって、脳の特徴を生かして、何かしらの技や工夫をして覚える量を増やす必要があるのです。そうした工夫の歴史が積み重なり、「記憶術」という技術が出来上がってきました。

僕がメディアでトランプ1組を1分以内に覚えるなどのパフォーマンスを披露すると、「元々記憶力が良いんだ」「魔法のようだ」と思われてしまいがちなのですが、一切そんなことはありません。
記憶術は魔法ではなく、技術です。先天的なものではなく、後天的に誰でも身に着けられるものです。

僕も初めてトランプ記憶に挑戦した時、5枚や6枚が限界でした。皆さんも1分間トランプの並びを覚えようと挑戦してみてください。きっと3~10枚に落ち着くと思います。これはもしかしたら先天的な記憶力の差が出るかもしれません。でも、誤差です。

何の技も使わずに3枚だろうが10枚だろうが、記憶術を学べば52枚全て覚えることができます。たくさんの生徒に記憶術を教えてきた経験からすると、この最初にどれだけ覚えられるかの枚数は、上達速度や最終的に何枚覚えられるようになるかと関係ありません。

ちなみに、目標である「5分で50個の単語の並びを覚えられる状態」は、だいたい「3分で52枚のトランプの並びを覚えられる状態」と同等のスキルレベルです。
トランプ記憶用の練習を少しする必要がありますが、記憶術のスキルとしては同じくらいです。もちろん、この記事を読んでいる皆さんはトランプ記憶がやりたい訳ではないと思うので、今回は一切取り上げませんし、練習にも組み込みません。ご安心ください。
もし興味がある方はこちらの記事をご覧ください。

僕のnoteではこのような記事がメインなので、他の記事でもたくさんコツは書いています。

話を戻します。記憶術は技術です。技術なので、誰がやってもできるようになる再現性があるし、人に教えることができます。
使っている時に「使っている」、「だから覚えられる」という実感があります。
自分で技術を使い、覚えたいものに対して覚え方の戦略を決め、その戦略通りに技を使って覚えていくというプロセスを繰り返します。これができるからこそ「技術」なのです。

本noteではこの技術のみを取り上げ、「多分効果はあるんだろうけど自覚は無い」など「今この瞬間に記憶力を高めているという実感が沸かないもの」は対象外とします。
少し先述もしましたが、「記憶力に良い食べ物」や「運動は脳に良い」などのものは取り上げません。効果が無いとは言いませんが、運動すれば教科書を覚えられる訳ではないので違う軸だと考えていますし、そもそも僕の専門外です。

技術と聞くとハイレベルなものだったり、元々頭が良くないとできないのではと身構えがちですが、記憶術はそうではありません。
一番身近な記憶術で言うと、「語呂合わせ」も立派な記憶術です。この後たくさん出てきます。

語呂合わせであれば、皆さん一度は使ったことがあるのではないでしょうか。「794年に平安京に遷都」という情報を「鳴くよウグイス平安京」と覚えたような、それです。

これは数字と単語という覚えにくい組み合わせに対して、1つの文章という覚えやすい形に変えることでセットを覚えるという技です。
「1582年 本能寺の変」を「イチゴパンツの本能寺」と読むなど、より変で面白い語呂合わせにすると、より覚えやすくなります。これは非常に重要な記憶術のテクニックです。記憶術とは知らずに使っていた方が多いかもしれません。

記憶術って、こんなもんです。僕らメモリースポーツの選手は、例えばこの語呂合わせをいかに速く面白く作るかということを日々練習しています。びっくりしました?変なスポーツですよね。

記憶術を上手に使うために必要なのは、少しの発想力とたくさんの練習量です。発想力は元の差があるかもしれませんが、「どんな人でも面白いストーリーを作れるようになる」というコツもあるので、結局は練習量で変わります。

この記事ではいくつかの記憶術を紹介し、徹底的にそれを訓練する方法を伝授します。それらの記憶術を駆使して、あらゆるテストに使う方法を教えます。
でも、記憶術自体はあっけにとられるくらい簡単です。なので、身構えずに。小学生にもシニアにもできます。「難しそう」という先入観が脳のブレーキになって習得を妨げます。気楽に進みましょう。

メモリースポーツでは何を競っているのか?

少しメモリースポーツの話をさせてください。
興味があればそのままメモリースポーツをやってくれたら大歓迎ですが、今回の記事ではそこは本筋ではありません。でも、メモリースポーツの選手たちがどういう経緯でどんな記憶術を学んでいるのかを理解することは、記憶術の習得の近道になります。

最初で紹介したいくつかのYouTubeを見ていただければ理解できると思いますが、メモリースポーツとは、トランプや数字、人の顔と名前、ランダムな単語、架空の歴史の年号など色々な種類のものを短時間でできるだけ多く覚え、その量で競い合うという頭脳スポーツです。

1991年にイギリスで誕生し、以来世界中で競われています。
日本では2000年代頃から選手が増え始め、他国よりも競技人口は少ないものの、日本は強豪国の仲間入りを果たしています。
国によっては大会に参加しない選手もいるので正確に競技人口を測ることは難しいですが、世界では数百万人、日本では数百人ほどだと言われています。

実際の問題はこのようなものが出題されています。日本メモリースポーツ協会のホームページから過去問を見ることもできます。


架空の歴史と年号を覚える種目
ランダムな人の顔と名前を覚える種目
ランダムな数字を覚える種目

ちなみに、架空の歴史の年号と出来事を覚える種目の世界記録は、5分間で148個です。
中学入試で必要最低限の歴史の年号の暗記量が150個とも言われているので、メモリースポーツのトップ選手であればそれを約5分で終わらせることができる訳です。(実際には本物の歴史の年号を覚える場合は固有名詞を含むのでより難しいですが)

これだけ見ると、記憶力の天才がやっているように思うかもしれません。しかし、実際はそうではありません。
メモリースポーツの選手たちに「どうやったらそんなに多くの数字や年号を覚えられるんだ?」と聞くと、みな口を揃えてこう言います。「記憶術を学んで、ただトレーニングするだけさ」と。

全員が後天的に記憶術を学び、時には開発し、それをひたすら鍛えてスコアを競っています。そう、メモリースポーツは「記憶術の運用能力」を競っているスポーツなのです。

たまにメディアに取り上げられるサヴァン症候群の方や、小説などにでてくる「瞬間記憶能力」や「カメラアイ」の選手がいるのではないか、と思われがちですが、選手にはいません。トップ選手にたくさんの知り合いがいますが、みな後天的に伸びた方たちですし、世界大会には高額の賞金が出る場合もあるので、もしそういう人がいたら賞金を荒稼ぎしているはずですが、見たことがありません。

サヴァン症候群の方は実在しますし、ものすごい能力を持っていることも承知していますが、「覚えたい時に覚えたいものだけを覚える」ということは難しいのではないかと思っています。覚えたくないものでさえも覚えてしまったり、大会で「この5分間で覚えてください」という決められたタイミングでは集中力が発揮できなかったり、そもそも「電話番号のみ覚えられる」と言った特定のものしか覚えられなかったりするのだと思います。良し悪しではなく、そのような特徴があり、メモリースポーツには向いていないのかなというのが持論です。

それに、皆さんが目指すべきはこのような「生まれ持った天才」ではなく、「どんな教科書でも覚えられるような技術を使える熟練者」です。そして、メモリースポーツの選手は熟練者なのですから、ここから学べることはたくさんあります。

本当は一から記憶術を開発した方が適切なものを学べるかもしれませんが、それは非常に時間がかかりますし、もう既に「有効な記憶術」が発掘されているので、ありがたくその知恵を頂戴しましょう。

ちなみに多くのメモリースポーツ選手が使っているArt of Memoryというサイトでは日夜記憶術の研究や議論が行われています。毎日のように記憶術の議論がされていて、このような努力のおかげで最新の効果的な記憶術を享受できています。

僕がそれらの記憶術の中から、勉強に使えるかつ効果が確かなものを厳選して皆さんにお伝えします。なので、開発をする必要はなく、決まった記憶術の練習に専念しましょう。

メモリースポーツの選手は「記憶術の運用能力」を競っていると言いました。これを分かりやすく言うとそろばんや暗算の大会に近いです。
四則演算自体は誰でもやり方を知っていて、時間をかければ誰でもできるはずです。でも、そろばんの大会では物凄いスピードで計算が行われていて、まるで魔法のようです。もちろんこれは魔法ではなく、選手たちは毎日計算の練習を行い、連続的な成長の結果、超人的な計算力を手にしている訳です。
メモリースポーツもこれと同じです。「記憶術のやり方」自体は簡単で、少し聞けば理解できますし、時間をかければ使えるようになると思います。選手たちはその練習を毎日行い、その結果大量のものを短時間で覚えることができるようになり、大会でのパフォーマンスはまるで魔法のように見えるのです。

計算と唯一違うのは、「四則演算」にあたる部分を義務教育で習わないので、そもそものやり方自体を知っている人がほとんどいないという点ですね。「足し算」や「引き算」にあたる記憶術をこれからお伝えしていきます。

記憶術は「練習するもの」です。皆さんは「ただ記憶術を知っている」だけではなく、練習して「高いレベルで運用できる」という状態を目指してください。そうじゃないと教科書は覚えられません。
記憶術を知ればすぐにテストにも使えるだろうという誤解が、多くの人を挫折させています。九九を覚えたての小学生がいきなり百ます計算を一瞬で解けるはずはありません。毎日繰り返し練習して、少しずつ上達していくものです。そのような意識をまず持ってください。

メモリースポーツで鍛えている2種類の記憶術

先ほど例題をお見せしたように、メモリースポーツでは色々なタイプの情報を覚える必要があります。「十種競技」と呼ばれるジャンルがある通り、少なくとも十種目ありますし、時には「サプライズ種目」という全くの初見の何か(色であったり、形であったり、動物の名前であったり、様々です)を事前準備無しで覚えないといけないこともあります。

でも実は、それぞれの種目で異なった記憶術を使っているのではなく、ほとんど同じ記憶術を使って対応しています。サプライズ種目でさえも事前に使う記憶術の候補は決まっていて、覚えたい情報によって一瞬でその候補を切り替えて覚えています。

そして、その記憶術は大きく2種類に分類することができます。これは、メモリースポーツで求められる記憶が2種類しかないということを意味しています。

その2種類とは、
①事象と事象を結び付ける記憶
②複数の事象を順番通りに覚える記憶

です。

①は全くの異なる2つの事象をセットで覚えることが要求されるものです。
メモリースポーツの種目で言えば「顔と名前」や「架空の歴史の年号と出来事」などがこれに該当します。
顔と名前のセットを覚えて、回答は「顔を見て名前を答える」必要があります。歴史の年号と出来事のセットを覚えて、回答は「出来事を見て年号を答える」必要があります。
AとBという2つの事象をセットで覚え、Aを聞かれたらBを出す、あるいはその逆を答えるタイプの記憶が必要です。
まだ詳細を知る必要は無いですが、これに対応するための記憶術としては「タグ付け法(結び付け法)」や「語呂合わせ」などがあります。

②は複数の事象の順番を完璧に覚えることが要求されるものです。
メモリースポーツの種目で言えば「数字記憶」や「トランプ記憶」「単語記憶」「画像記憶」などがこれに該当します。
シャッフルされた1組52枚のトランプの順番を覚えて、回答は1から順にそれぞれ答える必要があります。数字や単語も同様です。どれも「大量に順番を覚えること」が要求されます。
A, B, C, D, Eといった事象をまとめて覚え、ヒントが無い状態からA~Eを順番通りに答えるタイプの記憶が必要です。
これに対応するための記憶術としては「ストーリー法」や「場所法」「ペグ法」などがあります。

これら2種類の記憶術しか実は使っていないのです。初見でどんな情報を覚えれば良いか分からない「サプライズ種目」でさえもこの2種類のうちのどちらか、あるいは組み合わせで対応が可能です。
ということは、この2種類の記憶術を習得していればメモリースポーツだけでなくどんな試験にも応用ができるということです。

テストに必要な2種類の記憶

メモリースポーツで必要な「①事象と事象を結び付ける記憶」と「②複数の事象を順番通りに覚える記憶」は、試験や仕事でどんなものを覚えるにせよ応用できます。
世の中にある記憶したいものの全てはこの2種類に分類できると言い換えても良いかもしれません。

例えばテストに求められる部分で言うと、
①は英単語の記憶や専門用語の記憶が該当します。appleと聞いてりんごが出てくるかどうか、ということですね。専門用語を聞いて、その意味が分かるかというのも同様です。
②は歴史の流れや論述の要素記憶、教科書の概要記憶が該当します。ビジネス面に寄るとプレゼンやスピーチの暗記もこちらです。論述に必要な要素やキーワードを複数覚え、それをそのまま書ききる、ということです。

これら2種類のタイプの記憶が求められるということは、メモリースポーツで使っていた2種類の記憶術がそのまま使えるということです。
①に対しては結び付け法や語呂合わせ法、②に対してはストーリー法や場所法を使います。

そう、皆さんがやるべきはこの2種類の記憶術を徹底的に鍛えるということです。実際のテストで覚えたいものは複雑な形をしています。いきなりそれに挑戦すると失敗するので、まずはこの2種類の記憶術自体の練度を高めていきます。その後、少しずつ簡単なテストに応用していき、最終的にはどんなジャンルの教科書でも覚えられるようにしていきます。
記憶術自体を先にトレーニングする、というのが今までにないアプローチだと思います。これが強みでもあり、弱みでもあります。この記事の無料部分を読んでも「なんで覚えたいものが目の前にあるのに、日本語の単語の羅列を覚えなきゃいけないんだ」とどうしても思ってしまう人は、諦めてください。

最終的には算数の文章題を解けるようになりたいけど、まずは計算を確実に速く行える必要があるから、百ます計算をするのと同じです。
シンプルにそのメソッドを反復練習するのが結局は近道だと考えています。

なので、記憶術自体をトレーニングします。その際は、メモリースポーツで扱われるような問題が練習に最適なので、日本語の単語の羅列を覚えることが結構あります。が、これは百ます計算です。最終的に覚えたいものを覚えられるようにする訓練なので、安心してついてきてください。

※ちなみに、同様のロジックで「トランプ記憶の練習をすれば記憶術自体のトレーニングにもなる」ので、今まで結構すっ飛ばして「まずトランプ記憶の練習をしてください」と伝えてきたこともありましたが、この言葉だけ先走りしたり印象が強かったりして、「トランプを覚えてばかりで勉強には役立たない」と言われてきたこともありました。よくメモリースポーツ出身の記憶術講師が言われる批判でもあります。
ここまでお読みいただいた皆さんにはもう理解してもらえるでしょうが、トランプを覚えられるのであれば、勉強でも十分応用できます。逆にトランプ52枚を5分かけても覚えられないレベルであれば、本の内容を覚えるのも相当時間がかかるはずです。
ただ、トランプ記憶には「トランプを覚えるためだけの専用技」の練習も必要なため、確かに「勉強にのみ使いたい人」にとっては一部無駄な練習もありました。10年以上前はインターネットでの練習環境もあまりなかったため、身近に手に入って毎回ランダムな問題を生成できるトランプを使った練習が理には適っていたのですが、今はそうとも言い切れません。僕も「勉強に生かしたい人が記憶術を練習する場合、トランプ記憶を練習しまくるより、日本語の単語記憶を練習した方が効率的だな」と思ったので、今回の記事ではトランプ記憶は一切練習に取り入れていません。

記憶術を勉強に使うための具体的な運用イメージ

もう少し記憶術の具体的な話をしていきましょう。

2種類の記憶術を使って、勉強で使う知識をどうやって覚えるか?の具体的なイメージを示しておきます。実際に使えるようになる必要はまだなく、ざっくりとした運用イメージを掴んでもらえれば大丈夫です。

①事象と事象を結び付ける記憶のイメージ
語呂合わせもここに入るので、794年と平安京を結び付けるために「鳴くよウグイス平安京」という1つの文章を作って覚える、というのも実際の使用例に当たります。
他の例として、国の名前と首都のセットを覚える場合を見てみましょう。

・アイスランドの首都はレイキャヴィーク
・アイルランドの首都はダブリン
という情報を覚えるとします。
これらの情報はセットで覚えることが重要で、今回は国名を聞いたら首都名が答えられる状態、を目的にしているとします。

順番に覚える意味は無いですね。例えばレイキャヴィークとダブリンの頭文字をとって「レダ」と頑張って覚えたとしても、テストで聞かれるのは「アイルランドの首都はどこ?」というタイプで聞かれるので、太刀打ちできません。なので、後述する②のまとめて覚えるタイプの記憶術を使ってもあまり意味がないわけです。
そこで、①に対応する記憶術の「結び付け法」を使ってみましょう。

アイスランドとレイキャヴィークという言葉には意味の繋がりが無いので覚えにくいです。そこで、無理やり言葉同士を繋げて、意味のある文章を作り、そのイメージを想像してみます。

例えば、「アイスを食べようとしたら、冷凍庫にキャベツが1週間分入っていて食べられなかった」という文章を作ります。
これは、「アイスランド」の「アイス」という言葉をきっかけに、「レイ、キャ、ヴィーク」という言葉を拾えるようにした文章になっています。1週間をウィークと読み替えているんですね。キャベツのベが濁音なので、そのままウィークのウィも「ヴィ」と濁るというヒントにもなっています。

同様に、アイルランドでは「アイルー(モンハンのキャラクター)がダブルのリンゴを食べていた」という文章を作ってみます。モンハンが分からない人はアイルーを「愛する人」に置き換えてもOKです。

これらの文章を作ったことで、「アイスランドの首都はどこ?」と聞かれた時に、「アイスをヒントにストーリーを作ったはずだから、アイスを食べようとして冷凍庫を開けたらキャベツが1週間分入っていたんだった、ということは、レイ、キャ、ヴィーク、でレイキャヴィークだ」と答えることができます。

今回のポイントとしては、国名は完全に覚える必要が無く首都名は一言一句間違えてはいけない、という所にあります。なので、「アイスランド」と「アイルランド」で被っている「ランド」という部分は、ストーリーを簡略化するため敢えて入れていません。それに対し、絶対に覚えないといけない「レイキャヴィーク」と「ダブリン」は全ての要素を漏らさずにイメージ化し、文章に組み込むことで結び付けて覚えています。

もし首都をこの2つだけ覚えるのならこれでも行けるかもしれないけど、ヨーロッパ全部の国の首都を覚えたい場合は、この作ったストーリーを忘れちゃって意味が無いんじゃないか?と思う方もいるかもしれません。筋が良いですね。これを忘れないようにする記憶術も後ほど紹介しますし、それこそがこの勉強法の神髄になります。

ちなみに宣伝ですが、国の名前と首都を覚えるストーリーの例はメモアカというサイトで全て公開しています。今は有料会員限定の機能になっていますが、興味ある方はぜひ。

②複数の事象を順番通りに覚える記憶のイメージ
もう1つの記憶のイメージもお伝えしましょう。今度はたくさんあるものを順番通りに覚えないといけないタイプの記憶です。
例として、徳川将軍を順番通りに覚えたいとします。

初代から5代までを覚えてみましょう。
徳川家康、徳川秀忠、徳川家光、徳川家綱、徳川綱吉、の5人です。

これらの情報は順番通りに覚えることに意味があるので、順番をまとめて覚えられる記憶術の「ストーリー法」を使ってみましょう。
覚えたい要素を順番に繋げてストーリーを作るだけです。

「徳川」と言う要素は全員共通していますし、ほとんど「家」が入っていますね。なので、名前の中で特徴的な要素のみを取り出し、ストーリーに組み込みます。
例えばこのようなストーリーが出来上がります。

将軍が「安い家」を買おうとしたら、「ただ」で良いよと言われたので、家をもらったら「光」り輝いた。驚いて「綱」で家をぐるぐる巻きにして、その「綱をよしよし」と撫でてかわいがった。

このストーリーを文章として丸暗記しようとするのではなく、情景を頭の中で描くことで覚えることができます。
思い出す時は、このストーリーを頭から再生するだけです。それぞれの要素さえ押さえておけば、順番にキーワードを取り出せ、最終的には5人の名前を思い出せると思います。

あれ、もしかして「1:家康」「2:秀忠」というような情報に加工すれば、①のタイプの記憶術のようにセットで覚えるだけで良いのでは?と思った方もいるかもしれません。筋が良すぎますね。これはペグ法という記憶術で①の考え方を備えた②の記憶術になりますが、基本的には数字を覚えるまでも無く順番に覚えた方が情報の総量は減るので、無理にセットで覚える必要はありません。

これら2つの記憶術の具体的なイメージを見てみて、どうでしょうか?
何となく使い方のイメージが想像できたかなと思います。全然勉強している感は無く、むしろ自由な想像力の方が必要だと気付いたでしょう。
また、それぞれの記憶術が結構似ているなとも思ったかもしれません。今回はどちらも簡単な記憶術を紹介したので、より似ていましたが、記憶術の根本の考え方は共通しているので、頭の使い方は似ている部分が多いです。

コンセプトのまとめ:あらゆる勉強に使うためには?

ここまで「記憶術を使った勉強法のコンセプト」を書いてきました。

記憶力を競うメモリースポーツという競技があるということ。
メモリースポーツの選手はみな後天的に記憶術を学んでいて、その運用能力を競っているということ。
記憶術は技術なので、誰でも習得が可能で、反復練習によって能力が鍛えられるということ。
メモリースポーツでは主に2種類の記憶術を使っており、それらの記憶術を使えばあらゆるテストに応用ができるということ。
この勉強法の目標は、これら2種類の記憶術を徹底的に訓練し、その能力を実際の勉強に使うことで、教科書1冊の概要を覚えるようになること。

もう少し深掘りします。
2種類ある記憶術ですが、試験に使うためのカギは「②複数の事象を順番通りに覚える記憶術」の中の特に「場所法」という記憶術にあります。
場所法はメモリースポーツにおいて最重要とされる記憶術で、その効果も群を抜いて優秀です。場所法をいかに上手に使えるかが、そのまま選手の強さに反映されています。つまり、場所法をいかに上手に使えるかが、テストにどれだけ応用できるかにも繋がっていきます。
実際に僕は場所法だけで1冊の本を出版しているわけですし、非常に奥の深い技術です。

場所法という記憶術を使うと、効率良く大量の事象を順番通りに覚えられます。

①の事象と事象を結び付ける記憶術の実際のイメージでも触れましたが、英単語や国と首都をどれだけ大量にセットで覚えたとしても、そのセットやストーリーを覚え続けないと試験では使えません。その時に、結局は②のタイプの記憶術を併用しないといけませんし、場所法を使うことになるのです。

英単語と日本語の意味を語呂合わせなど①の記憶術を使って大量にセットで覚え、そのセットのヒントとなるもの(日本語訳や語呂合わせのキーワード)を②の記憶術、特に場所法を使って大量に順番通りに覚えていくことを目指します。
こうすることによって、常に脳内で「日本語訳」や「語呂合わせのキーワード」を復習することができるのです。そうすると、自分の好きなタイミングで「りんごって英語で何て言うんだっけ?」「この語呂合わせで覚えたからこの英単語を覚えたんだった」とチェックすることができます。

試験で求められるのは長期記憶です。
長期記憶にするためには、記憶の質と復習の頻度が大事になります。この勉強法によって、脳内でいつでも復習できる状態にしておけば、どこにいても、どんな状態でも、何回でも復習することができ、確実に記憶が定着します。①の記憶術によって質の高い記憶を行い、それを②の記憶術によって超高速・超高頻度で復習を繰り返します。僕がこの記事で書きたい「記憶術を使った勉強法」の核はこれです。

実際に僕が試験で記憶術を使っていた時は、まずは専門用語や外国語を①の記憶術で意味を覚え、その意味をひたすら場所法でまとめて覚えることで復習回数を上げて対応していました。ご飯を食べている時でも、トイレに行っている時でも、通学で電車に乗っている時でも、いつでも復習ができます。復習へのハードルが単語帳やアプリを開くといった比では無いくらい下がるのです。だって脳内に単語帳があるんですもん。
何なら、小テストレベルであれば、この脳内の単語帳を見てそのまま書くだけで満点が取れます。答えがそのまま書いてありますからね。最悪、30個の古文単語がテスト範囲だったとして、29個答えられたら、残りの1個がどんな古文単語だったか覚えて無かったとしても、絶対に残りの単語が答えです。普通の人はそういった「無から思い出す」ことができないので、このやり方はできませんが、場所法を使ってしまえば「絶対に残りの単語これじゃん」という答え方ができてしまいます。

このやり方であれば、どんなテストにも応用できます。
例えば暗記科目ではない数学であれば、青チャートの項目(=例題やタイトル、解法の名前)をまとめて覚えてしまえば、試験で問題が出た時に「微分積分の問題だ、微積ってこれとこれとこれが解法としてあったな、分からないから順に試してみるか」ということができます。「数学に記憶術を使う」と聞くと「公式を丸暗記するのかな?」と思うかもしれませんが、違います。もちろんその使い方もできますが、本筋は「教科書の項目、目次、概要を全て覚えてしまうこと」にあります。

場所法で項目自体、あるいは①の記憶術で作った語呂合わせやイメージ自体を大量に覚えてしまえば、脳内に合法なカンニングペーパーがあるような状態になるのです。脳内にいつでも参照可能な単語帳があるようなイメージでも構いません。
カンニングペーパーを作るためには、そもそもその対象について理解していないと作れませんね。その分野で何が重要かを理解していなければ、質の高いカンニングペーパーは作れません。なので、記憶術を試験に使うと言っても、全てを丸暗記する訳ではありません。できなくはないですが、非効率です。まずは理解をすること、そしてその理解した内容の中から重要事項やキーワードを抜き出し、それをまとめて覚えることによって、いつでも復習ができるカンニングペーパーを脳内に構築するのです。

この勉強法は、良くも悪くも「日々の学習効率を圧倒的に高めるもの」でしかありません。理解は前提として必要だし、(小テストならともかく)覚えることがゴールなのではなく、覚えた後に超高頻度で復習をして定着させることが重要なのです。そう、結局勉強への努力は一定数必要です。ごめんなさい。
それに、最初に伝えていた通り、「日々の学習効率を圧倒的に高められる状態」になるまでに地道な記憶術トレーニングが少なくとも1-3か月必要です。

特にまだ記憶術の練習をしていませんし、そもそも使い方をきちんと教えたわけではないので、今の段階では使えるようになる必要も、応用できる必要もありません。それはこれから教えていきます。

後半は有料部分にさせていただき、実際の2種類の記憶術のやり方、練習問題、練習方法を書いていきます。また、英単語などの具体的な例も載せながら、実際に勉強に使うとしたらそれぞれ2種類の記憶術をこう組み合わせるといった考え方も紹介します。

注意事項
・再三伝えている通り、有料部分を買って読んだからと言って、すぐに勉強に使えるものではありません。読んで内容を理解した後、自分で繰り返しトレーニングをすることが必須です。そのトレーニングのやり方やサポートは書いてあります。
・正直やり方は調べたらいっぱい出てきます。何なら場所法に関して言えばメモアカのYouTubeで無料で全部公開しています。説明自体は基本同じです。

・メモアカプレミアムを既に受講している生徒の皆さんは、この内容を初回で全て伝えているので、購入していただく必要は一切ありません。が、もし読みたかったら直接差し上げるので買わないで大丈夫です。メモアカクラブに所属している方も、基本的には毎週授業で記憶術を鍛えていますし、いつでも講師に質問できる環境にあるので読む必要は無いと思いますが、興味のある方は無料で内容をお送りしますので、僕にその旨直接お伝えください。


メモアカプレミアムコースは講師も生徒も本気で記憶術にコミットしている対面タイプのクラスです。週1の授業に加えて、マンツーマンレッスンや講師とのチャットも備わっていて、要望があれば各生徒が覚えたいテキストやワードリストを覚えるサポートもしています。このテキストを覚えたいんですが、どの記憶術をどのように使ったらいいですか?ストーリーの例を考えてくれませんか?と言った内容に応えています。
このプレミアムコースは、現在月額77,000円で3か月のコースになっています。高額だとは思いますが、それだけ価値があるコースだと自負しています。そして、その価値の根本は「僕と山口選手(現役のメモリースポーツ日本チャンピオンです)が記憶術を直接教えること」にあると思っています。
前半部分で少し触れましたが、記憶術は頭の使い方です。脳内の景色をできる限り共有することで上達速度がぐんと上がります。絵や図を描いて伝えたり、身振り手振りを使ってニュアンスを伝えることも多いです。直接生徒の声を聞いて改善ポイントを見つけないと、変な癖が付いてしまい、思った効果を得られません。
記憶術に関する文章を読んで、練習もあまりせず、独学で身に着けた人はほとんど躓いている印象があります。

なるべくそうならないようにこの記事では丁寧に書いているつもりですが、やはり価値の源泉は直接教えることにあるので、このnoteの有料部分は一旦1,500円に設定します。ビジネス書1冊と思ってください。

やり方自体は得ようと思えばメモアカのYouTubeや僕の過去記事等で無料で読めるので、この値段に設定しました。(本って得られる知識に対して安すぎません?)
結局、伝えたい部分は前半の無料部分で書いてしまいました。ここまで読んで、読んで良かったなぁと価値を感じてくれたら、お布施の気持ちで買ってください。

買った後で安すぎたなと思ったら、あなたが今度はその知識を広め、世の中に記憶術が使える人を一緒に増やしてください。このnoteやメモアカも宣伝してくれたら嬉しいです。好評であればさらに応用的なテクニックやサポートなど追加noteを出すかもしれません。
高すぎたなと思ったらごめんなさい。僕の力不足です。

また、もしこれを買うにせよ買わないにせよ、メモアカプレミアムコースに興味がある方がいたらこっそり教えてください。今はコースが始まってしまったので新規生徒の募集はストップしていますが、3か月が終わったら(2024年12月に現コースは終了予定)、新規生徒を募集することも考えています。もし需要があるのであればその時期や規模に応じて内容や案内を変えますので、ぜひ教えてください。

それでは前半が長くなりましたが、ここから実際に記憶術の学びを始めていきましょう。

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