見出し画像

心だけでもコロナのしんどさから逃れたかったので帰国してお姫様になった

Xで『夢王国と眠れる100人の王子様』という女性向けスマホゲームのポストが目に入った。
過去のゲーム内イベント復刻の告知で、添付されたバナーにはキャラクターが数人描かれていた。
実は私は数年前、課金も創作もするほどこのゲームに熱中していた。
そして、バナーに描かれたうちの一人が推しだった。
今プレイすれば私が離れていた時期にリリースされた推しが手に入るのか。
コロナ陽性になり止まらない咳に苦しんでいた私は、ふらりと夢王国に帰国することにした。
もう一度お姫様になろう。なんとなくそう思った。

インストールとロードを終えてホーム画面に辿り着くと、数年前と変わらぬ推しが微笑んでいた。

「…そのドレスの色、よく似合ってる。」

彼は私の部屋着をドレスと呼んでくれた。
たぶん熱さまシートはティアラと呼んでくれるんだろう。
乙女ゲームはいつでも優しい。

『夢王国と眠れる100人の王子様』はその名の通りキャラクターが多い。
数年前からとうにタイトルの数字は詐欺で、今は総勢185名の王子様がたった一人のお姫様を求めている。
これではいくら目覚めさせても追い付かない。と思うけれど、それでもトロイメアのお姫様はどの王子様たちをも癒し支えて、信頼関係を築いている。ごく普通のOLなのに、彼女は優しすぎるな。(私ですが)

システムや王子との関係性に関する記憶は曖昧だったが、パズルゲームの操作は忘れていなかった。
ゲーム全般が好きだが複雑なことが苦手な私は、直感的に操作ができて、自分でもできるこのパズルゲームが気に入っていた。
ふと気付くと、オートモードが誕生している。
ふうん、私には必要のない機能だ。私はこのパズルゲームが好きなんだから。
3戦ほどして、オートモードのお世話になった。
今の私では王子様を救えない。
こういうのって「人の手でプレイしたほうが少し上手い」くらいに設定されているものだと思っていた。
離れていた間に下手になってしまったのかな……と、上手にパズルを進めていくオートモード様のプレイを眺めながら、ふと私がこのゲームから離れてしまった理由を思い出す。
パズルで倒すべき敵が強くて、ストーリーを進めることができなくなってしまったからだった。
私がこのゲームを上手にプレイしたことは、今まで一度もなかったのかもしれない。

その後なんとか期間内に推しを手に入れることが出来た。
久しぶりに触れる乙女ゲームのストーリーはくすぐったくて、絵が美しくて、文字が大きくて、たいへんありがたかった。
とにかく体調が良くなかったので、推しのあたたかい言葉は素直に心に染みた。
メインストーリーはあの日の私には難しかったけれど、オートモード氏が仲間になったので、もしかしたらクリアできるかもしれない。
すくなくとも、イベントなら出来るかもしれない。

推しの再登場、いつでもお待ちしています。

推しのパティル王子(cv石川界人くん)

いいなと思ったら応援しよう!