Z世代が聴く名盤 番外編 最近の流行ってる音楽
本シリーズはZ世代にあたる筆者(2003年生)が世代よりも上のアーティストが出した名盤を聴いて、感想を書いていくただそれだけのシリーズである。
これまで12枚の名盤を取り扱ってきたが、13回目となる今回は趣向を変えて最近流行っている音楽を聴いて世間とのズレを体感してみる。
基本情報
こちらは自分が現在流行っている音楽の指標として使っているSpotifyの日本人気曲ランキングTop50である。サブスクにないけど流行っている曲とかももしかしたらあるかもしれないけど、自分はそういうの聞いたことないんで概ね今流行りの楽曲はこのプレイリストに揃っているといえると思う。
あと、このプレイリストは毎日更新されていくので、感想を書いても速攻で古びていってしまう。まぁここはどうか一つ、移り変わりが速く儚いヒットチャートの刹那を記録した記事という事で大目に見ていただければ…
前置き
これまで散々Z世代を名乗って最先端にいますよアピール(?)をしておいて、実は全然流行には乗れてなかったりする。アニメ見ないアイドル追ってないTikTokやってないの三重苦で流行を取り入れることが難しく、同期との会話でもこの手の話題になると地蔵と化してしまうのが最近の悩みだ。
「Top 50」の名の通りプレイリストには50曲が収録されているが、さすがに50曲全部聴いていくのはしんどいので、トップ10と気になった曲を抜粋して感想を書いていく。
※順位は2023年9月18日時点のものです。
感想
YOASOBI、19曲目の配信シングル。アニメ「推しの子」オープニングテーマとして世間にも広く知られている。
いくら流行に疎いとはいえ、さすがにこの曲は耳に入ってきていた。
YOASOBI自体が勢いのあるグループで、「推しの子」も漫画だったときから一定の人気を得ていたみたいなのでこの曲のヒットもほぼ既定路線みたいなところがあったと思うけど、今作は海外のビルボードでランクインするなどそれ以上の規模で大当たりしたように思える。
曲はタイアップ先の世界観に限りなく寄せたであろうアイドリー(?)なポップチューン。それもアイドルはアイドルでも韓国とかそっち方面のアイドルに接近した感じ。初めて聴いたときは「K-POPかよ!」と思ったほどだった。
また、YOASOBIといえば「夜に駆ける」「群青」での間奏で顕著に見られた無駄に歯切れの良いピアノソロ(リリースカットピアノ)が彼女ら独自の特色として挙げられると思ってたんだけど、今作では歯切れピアノは完全に伴奏の一部として溶け込んでいる。あのピアノを強調せずにこれまでの曲に匹敵する、もしくは超えていくような大ヒットを作れたというのは何気に一つの殻を破れたことになるのではないだろうか。
King Gnu、7枚目のシングル。アニメ「呪術廻戦」オープニングテーマ。CD発売一週間前に表題曲であるこの曲だけ先行配信されている。
King Gnuといえば4年前にOfficial髭男dismと一緒に出てきたバンドであり、個人的には未だにそのイメージが色濃く残っている。出世作である「白日」は当時のヒットチャートの中では異色というか、わりとマニアックな印象が強かった記憶があるが、彼らにとってはポップに振り切った方だったようでこの路線をある程度キープしていたアルバム「CEREMONY」まではなんとかついてこれてたんだけど、より難しい方向に走り出した「三文小説」以降の曲は理解が追い付かずに離脱してしまって聴いていない。
この曲もそういうイメージと寸分違わぬ難解でイカツい楽曲だ。定期的に「You're my special」というコーラスが入ってくるのが印象的だが、個人的にはそれを覚えるので精一杯。アニメを見るたび毎回聴くことになるだろうから多少難解でも繰り返し聞いてもらうことで覚えてもらえる…という算段なのかもしれないが、自分はこの曲を何回聴いても覚えられる気がしない。既に4~5回は聴いたけど未だに「You're my special」しか覚えてない。彼らの曲をちゃんと覚えてて、なおかつ良さが分かり浸れる同世代の友人知人の感受性の豊かさには感服するばかり。
BTSとして活動してきたJung Kook(ジョングク)の初のソロシングル。Lattoは曲の途中でラップしている女性ラッパーで、Explicit Ver.というのは歌詞中に猥褻な表現が入ったオリジナル・バージョンという意味のようで、ラジオやテレビで流せるように表現を変えたClean Ver.も配信されている。
BTSはグループ名だけ把握しててメンバーの名前は全く知らないんだけど、数年前のTシャツ騒動で大きく株を下げて「Butter」のヒットで巻き返した…みたいなイメージの変遷はリアルタイムで何となく体感している。
R&B時代の平井堅みたいな、打ち込み主体のクール一辺倒で淡々とした曲。
BTSに関しては「Dynamite」「Butter」「Permission to Dance」くらいしか知らないんだけど、確かにそれらのイメージとはひと味違うソロっぽい作風だと思う。
キタニタツヤ、16曲目の配信シングル。同名EPのリード曲でもある。
何者ですかと思って調べたところ、ヨルシカのサポートベーシストをしてた元ボカロPのシンガーソングライターらしい。アニメ「呪術廻戦」のOP曲にこの曲が起用され一気にブレイクしたとのこと。
初めて聞く名前だな…と思ってSpotifyのアーティストページを覗いてみたら少し前にシャッフル再生で流れてきて良いなと思ってお気に入り登録してた「化け猫」という曲があってちょっとテンションが上がった。
その「化け猫」とは打って変わって、曲自体はアニソンらしく疾走感のあるギター主体のシリアスなロックナンバー。先ほどのKing Gnuといい後述するMrs. GREEN APPLEといいバンドなのにバンドっぽくない曲がランクインするなか、シンガーソングライターである彼の曲が誰よりもバンドっぽいという謎の逆転現象が起こっている。一発で良い!とはならなかったけど、何回も聴くにつれてじわじわと良さが分かってくる。
Ado、18曲目の配信シングル。「踊」を提供したGiga・TeddyLoidコンビによる(作詞は別の人)新曲であり、USJのCMソングにも起用されている。
2年前は「うっせぇわ」の鮮烈なデビューが印象的で、去年も「新時代」をはじめとするワンピース映画の挿入歌で爪痕を残したけど今年に入ってからは椎名林檎、Vaundy、B'zと作家陣は豪華なのに曲を聞く機会がなくなって一気に影が薄れたような…
元々「踊」はAdoの曲の中でもかなり好きな部類に入るので同じ作家によるこの曲も初聞きから印象は良い。USJのアトラクション内でかかっていても映えるだろうし、こういうスリリングで聴くだけで高揚感を煽られるような曲調は最高だと思う。
ただタイトルはもっと他になかったのか…「踊」と対比させたかったというのは分かるけど「Ado 唱」で検索するとAdoの歌を探していると勘違いされ全く関係ない曲がズラーっと並ぶから調べるにはひと手間必要だし、「Show」と「唱(しょう)」をかけているというギミックも去年にAdo自身が「ウタ」というキャラクターの声を担当してヒットを飛ばしていたことから普通に「うた」と読まれてファン以外には気付かれなさそうだし…
Vaundy、7曲目の配信シングル。1stアルバムの先行配信曲でもある。
ここ数年で出てきたアーティストの中では一回り若い(2000年生まれ)彼だが瑞々しい感性がそうさせるのか、流行に置いていかれがちな自分でもスッと入り込める人懐っこいメロディをバラエティー豊かな曲調でコンスタントに発表していて最近の新人では一番知っている曲数が多い。
しかしこの曲は2020年発売のアルバムのリード曲であり、既に発売から3年もの月日が経っている。最新曲「そんなbitterな話」も43位につけていて、勢いが落ちた様子は見られないがなんか釈然としない。それでいいのか…?
そしてこの曲も最近のどのバンドよりもバンドしてる爽快ロックナンバー。この曲が収録されているアルバム「strobo」はどちらかといえばもう一つのリード曲「東京フラッシュ」の作風に近い曲が多めに入っていて、リード曲なのに他と毛色が違うという珍妙な事態になっているが、実際こうして発売から3年たってなおヒットチャートに残っているのはこの曲だけだし、紅白にもこの曲で出場したし、結果的にアルバムの中では一番の代表曲になった印象。毛色が違うからと言って作品から浮いてしまうなんて事もないし。
BE:FIRST、4枚目のシングル。
前から名前だけは知ってて、てっきりK-POP界隈からの刺客だと思っていたのだが、AAAのメンバー(!)が主催したオーディションで選ばれたメンバーで構成されたアイドルグループとの事でメンバーもプロデューサーも経営陣も全員日本人で韓国ぜんぜん関係なかった。
曲は終始抑えた感じのクールなダンスナンバーで、もろに洋楽とかK-POPの影響を受けたことが一発で分かる曲調だが、定期的に「Mainstream」というささやき声を入れる手法はプロデューサーであるSKY-HIが属していたAAAの事務所の先輩であるEXILEが得意としていた技でここに唯一のエイベックス要素を感じた。
Mrs. GREEN APPLE、5枚目のアルバムの先行配信曲。
ミセスは家族が一時期ハマってよく聴いていたので他のバンドより耳に入る機会は多かった。ただ、活動休止中に家族の興味が他へ移ってしまったため活動再開後の曲のことはよく知らない。
ブレイクしてかれこれもう6~7年は経ったと思うけど、メロディーメーカーとしての才能はいまだ健在であり、活動休止前にはなかったケルトの要素を取り入れたミセス印のポップチューン。相変わらずファルセットが冴え渡りカラオケ泣かせな超高音も連発されるが髭男みたいに喉を壊している様子もないし、注目が集まりだしたあの頃のネクストブレイク枠だったバンドの中では一番何もかもが上手くいっているのではなかろうか。
MY FIRST STORY、8枚目のシングル…のC/W曲。
調べてみたら、どうやらアンパンマンのオープニングをこの曲に差し替えるMAD動画がTikTokで流行っていたとのこと。なんだそれ。
ボーカルのお兄さんのバンド(ONE OK ROCK)は数曲程聴いたことがあるが、このバンドに関しては…「千鳥の鬼レンチャン」というカラオケ番組にボーカルが出演して、よりにもよって父親の曲でチャレンジ失敗という大失態をやらかしていた記憶しかない。
曲は四つ打ちリズムのダンスロック。良くも悪くも熱い感じがする兄さんのバンドの曲とはまたちょっと違う感じで差別化が出来ており、やっぱり一度バズっただけあって有無を言わさぬインパクトがある。初めて聞いたバンドだけど兄さんのバンドより好きかもしれない。
ここまでの美メロならバズった云々を抜きにしてもC/Wにしておくには普通にもったいないと思うけど、アレンジがメロディを最大限引き立てる仕様になっててロック色が薄いからC/W送りになったのだろうか?
Mrs. GREEN APPLE、4枚目のEPのリード曲。
こちらも3人になってから発表された曲だが、この曲は活動休止前の「Love me, Love you」や「ロマンチシズム」を彷彿とさせるウキウキ王道路線。
これぞミセスというようなド安定のキャッチーなメロディで、聴くぶんには親しみやすいがラストでは二段階にわたって転調するのでカラオケで歌おうとするとやっぱり泣きを見る羽目になる。
ただ「Magic」もそうだったし先ほどの曲の感想にもちょいちょい書いてたけどあまりバンドっぽさはない。思い返せばミセスは先輩達と比べてバンド感が薄い代表曲が多く、作詞・作曲だけでなく編曲まで一人でやってしまうボーカル・大森元貴のワンマンバンドみたいな印象が昔から拭えず、他4人が自分を出す場面があんまりなかったというかソロで良いじゃんと思うことも少なくなかった。ミスチルやBUMPみたいに気の許せる仲間が身内に必要だからバンド体制をとる例もあるけど、こういう曲が王道と呼ばれてしまう(勝手に呼んでるだけだけど)ほどバンド感の薄さが標準化してしまっている状況下でベースとドラムが揃って脱退となるとやっぱり不満だったのかな、と邪推してしまう自分がいる。
シャイトープ、3枚目のシングル。
去年結成されたばかりの正真正銘新人バンドらしく、まだWikipediaの記事すら作られていない模様。基本的な情報はこの記事を参考にした。
例によってTikTok発信のヒットらしく、リアルサウンドのコラムによれば、ボーカル・佐々木想の弾き語りカバー動画が元々注目を集めていたようで、満を持して出したオリジナル曲が逆に大勢の人にカバーされて大ヒットしたという経緯だったらしい。
瑛人「香水」や川崎鷹也「魔法の絨毯」、優里「ドライフラワー」みたいなエモい系のラブバラード。確かにTikTokの住民が好みそうな作風ではあるが個人的にはそこまで好きじゃない。こういう歌詞に共感できるようなリア充になれていないとも言う。
Mrs. GREEN APPLE、7枚目のシングル。
この曲は活動休止前の2018年に発表されており、既に5年も前の曲である。曲そのものの人気が高く、記事執筆当時は夏だったというのも重なってこの順位にランクインしたものとみられる。
外部演奏による装飾はありつつ、基本的には5人の演奏がメインとなる夏の青春ソング。個人的にはコロナ禍もあってこういう甘酸っぱい空気はほんの一瞬しか味わえなかったのでただひたすらに眩しい。
「WanteD! WanteD!」「PRESENT」みたいな電子音路線は大好きだし、「Love me, Love you」「ダンスホール」みたいなウキウキ路線も捨てがたいが、やっぱり自分はこの曲や「アウフヘーベン」みたいなバンド感がある曲が一番ツボなんだなと改めて思わされる。
スピッツ、46枚目のシングル。
劇場版「名探偵コナン」の主題歌に起用され、発売から半年近く経った今も12位にランクインしているこの曲。令和のスピッツのなかでは朝ドラ主題歌「優しいあの子」に並ぶかそれ以上の爪痕を残したのでは。
ホーン隊を起用した正統派のポップス。Aメロで変拍子が飛び出したり(C/Wの「祈りはきっと」でも出てくるのでマイブームなのかもしれない)、久々に裏声を使ってみたり、色々と実験的な要素はありつつも近年のスピッツでも飛び抜けてヒット性が高い曲だと思う。実際にヒットしたというのも大きいけど、ここ数年は明確なサビがなくトータルで聴かせる曲を続けて発表していたため余計に自分が求めていたスピッツの生還、復活を印象付けられた。
Official髭男dism、8曲目の配信シングル。テレビドラマ「silent」の主題歌に起用され、ドラマの大当たりとの相乗効果で一気にヒット曲になり、昨年の紅白歌合戦でもこの曲が披露された。
カラオケで友人がこの曲を熱唱しているのをきっかけに存在を知り、ドラマのことも後追いで知った。難聴を患った想い人を軸に展開する感動的なラブストーリーだったらしく、歌詞も曲調もそれに合わせた叙情的なバラード。例によってバンドの影が薄く、ピアノと電子音主体なのでボーカル藤原聡のソロ作品みたいな仕上がりなんだけどまぁバラードだし、それにここまでの名曲っぷりならバンドらしさが云々というのもさして気にならない。
音田雅則、6曲目の配信シングル。
2003年生まれ、筆者とピタリ同い年のシンガーソングライターによる楽曲。tonun「Sugar Magic」やimase「NIGHT DANCER」みたいな抑えめのダンスナンバーで、お察しの通りTikTok発のヒットである。
ここ最近は同世代が躍進していく様子を見ると自分が何も成し遂げていない焦燥感でメンタルに不調をきたすようになったんだけど、この曲を聴いた時も御多分に漏れずここまでハイクオリティな曲を同い年が作ったのかと驚くと同時にちょっとブルーになった。流石に前述の2曲ほどのヒット性はまだ感じなかったけど、20歳って世間的にはまだまだ若い扱いだし、伸びしろは全然有り余っていると思う(槇原敬之と藤原基央はともに15歳で作曲を始めて20代になってからブレイクしたので芽が出るまで5年以上かかっている)し、ヒットメーカーになれる可能性は余裕であるのではなかろうか。
どうか彼には±1歳差には有名人がいっぱいいるのに同い年の芸能人が少ないこの現状(2002年生まれに藤井聡太氏やAdo氏、2004年生まれに芦田愛菜氏や鈴木福氏など)を打破してほしい。
緑黄色社会、7枚目のシングル。
一言でいえば「Mela!」のサマーソング版といった感じで、ああいう曲調にラブソングの歌詞が乗っかる構成。何回も聴いてるとだんだん良さを感じるようになってくるけど、同じ夏のラブソングなら緑黄色社会の曲のなかでも「夏を生きる」のほうが好き。
米津玄師、14枚目のシングル。映画「君たちはどう生きるか」主題歌として書き下ろされ話題を集めた。
初めてこの曲を聴いた時はまだ映画を見る前だったので「またバラードか」くらいにしか思ってなかったのだが、映画の内容が面白い場面はありつつも基本的に隠喩めいてて謎だらけで、その辺をイマイチ理解しきれないままで終わってしまうところが、エンドロールで厳かなこの曲が流れてくることでそれなりに締まって見え、そのときこの曲が初めて良いと思えた。なんなら謎の感動さえ覚えた程。多分今までで主題歌作りが一番難しかったであろう作品に合う曲をちゃんと作れたのはさすがプロ。そういう意味ではこの曲の本当の良さは映画を見なければ分からないと言えるかもしれない。
優里、14曲目の配信シングル。
富豪から君の寿命50年分を50億で買わせてほしい、ダメなら100億に妻子も仕事もあげようと言われたけど自分の人生にはそれ以上の価値があるんだ!みんな頑張れ!(超訳)という内容の曲。メロディや編曲はパッと聴いた感じそこまで引っ掛かりもないし、歌詞も割とベタな応援歌なんだけどこういう表現のしかたは歌詞としては今までありそうでなかった、というかこの手の応援歌がそもそも絶滅しかけていた(あんまり売れていなかった)から今現在この曲が人気だという事実はここ数年間暗かったり難解だったりする歌詞がもてはやされてきた反動なのか?と思ったり。なんにせよ、暗い曲ばっかりじゃなくてこういう明るい曲がちゃんと人気なのを見てると世の中まだまだ捨てたもんじゃないなと思う。実際こういう取引き持ちかけられたら速攻で人生売っ払っちゃうけどな!
Cotton Candy、6曲目(たぶん)の配信シングル。
これもまたTikTok発のヒット曲。ここ発信のヒット曲を作った人達はなぜか作曲を始めて1年も経ってなかったり、作曲歴は長くても異様に若かったりすることが多いのだが、彼女らはその中では珍しく結成5周年のそれなりに歴史あるバンドであり、活動休止からのボーカル脱退などけっこうハードな紆余曲折も経験している。曲自体はTikTok受けのよさそうなエモい系のラブソングで特にこれといった感想はないが、ボーカルが鼻にかかる独特な声質をしているのでそんなに意識してなくても「ファジーネーブルの匂いで~」という歌い出しは何となく一発で耳に残る。
Tani Yuuki、5曲目の配信シングル。2022年の日本で最もSpotifyで聴かれた曲というかなりデカい箔が付いている。
この曲ももう当然のようにTikTok発。そしてラブソング。ただ、この記事で取り上げたTikTok発のラブソングの中では作られたのも流行ったのも一番前ということで、時系列的にこの曲がTikTok=エモい系のラブソングの流れを作ったのかもしれない(この前はボカロが勝手にBGMに使われてて陽キャがボカロを聴いて「TikTokの曲だ!」と反応するのにうんざりするコメントが溢れていた記憶がある。実際そんなこと言う陽キャ見たことねーけどな!)。
そんなわけで特にこれといった感想はない。Spotifyそのものは毎日のように使い倒してきたけどこの曲は全く馴染みがなかったし、再生回数が日本一と聞いてもそんなにピンとこなかった。でもイントロは良い。
なとり、初の配信シングル。
この人も2003年生まれで筆者と同い年(早生まれなので学年は一つ上)。元々TikTok上で短い曲を続々と投稿していたなかで一番反響を得たのがこの「Overdose」という曲だったらしい。
こちらも「fake face dance music」と同じくダウナーなダンス路線。コード進行が割と定番のやつを使っているらしくヒット性はこっちのほうが高め。いいぞ、もっとだ…!2003年生まれよ、もっと躍進して同世代から頭一つ分抜ける存在感を示すのだ…!という気持ちで聴いている。
NewJeans、2枚目のEPのリード曲。
最近は韓国からのグループでもメンバーに日本人や中国人や台湾人など外国から招いたメンバーを入れていることが多くなったが、このグループは5人とも韓国人(1人だけハーフ)である。
洋楽志向の抑えた打ち込みナンバー。これまでのK-POPグループはまず日本で一山当てて地盤を固めてから世界を目指していたイメージが強いが、この曲からは日本ウケを狙った様子は微塵も見られず、いきなり最初から世界を見ている感じがある。iPhoneのCMソングに起用されて、しばらくYouTubeの飛ばせないタイプの広告で流れまくっていたので曲自体はバッチリ記憶に残っているが海外でもやっているのだろうか?正直広告でかかってる曲ってだけで心象悪くなるし逆効果なような…
マカロニえんぴつ、通算11曲目の配信シングル。
これまたTikTok受けの良さそうなラブソングだが、この曲の場合はちょっと事情が違う。というのも彼らは結成11周年の歴史ある中堅バンドであり、TikTokがヒットチャートで影響力を持ちはじめる前から界隈ではある程度の人気を保っていたそうで、この作風も彼らの十八番だとか。つまりどちらかといえばTikTokでウケる作風が自分達の得意分野にピッタリハマったという形になるようだ。
やっぱり11年もバンドやってるだけあってメロディの安定感は他と段違い。まぁこのバンドは昔友達に勧められて一時期ハマって聴いてたので贔屓目は間違いなくあるんだけど、それを差し引いてもこの記事で取り上げたTikTok系のヒット曲の中ではトップクラスにお気に入りだ。
と、ここまで合計23曲を聴いてきた。
まだ20年ほどしか生きていない自分だが、この記事を書いてて物凄く老いを感じた。自分が全く知らない人達が全く馴染みのない曲調で全く気付かないうちにヒットを飛ばしている…自分が知っている名前や、馴染み深い曲調に出会った時の安心感が半端ない。
だが当然ながらこれらは数あるヒット曲の一部に過ぎない。プレイリストにこそ入っていないが他にもボーカロイドなどを使って動画サイトで圧倒的な再生数を誇るヒット曲があるし、ベテランの曲もほとんど見当たらなかったが最近ヒットした曲が探せばきっとあるはずだ。きっと…
とりあえず流行を追うためにTikTokでも入れてこようかな。