「真っ直ぐ立つ」ということ。
整体に行った。猫背と反り腰を改善したくて。
毎日使う身体だから、本当は継続してメンテナンスするのが一番なのだろう。でもとりあえず、割引になる6回コースで、できるところまでやってもらおうと申し込んだ。
今年は春からイレギュラー続きで、忙しかった、疲れていた。
夏休み前日はあんなに元気だったのに、やっとお休みだと安堵した私の身体は、翌朝、待ってましたとばかりに高熱を出した。
ひどいや。
やっと治ってきたと思ったら、今度は恋人と別れることになった。
ひどいや。
心身共に、絶不調の夏だった。
整体は、夏前に通い始めた。体調を崩したから中1か月ほどお休みしたけど、1,2週間おきの頻度で、合わせて4か月お世話になった。
数回でこんなに変わるのか、と思えるくらい姿勢が良くなっていた。
「7番目の背骨が正しい位置に入ると、より綺麗に立てるんですよ。」
そんな感じのことを言いながら、整体師さんは私の背骨をグッと“正しい位置”とやらにはめ込んだ。
伸びる背筋。そのままの姿勢で立ち上がる。
「真っ直ぐ立つ」ということは、自分でイメージしていたよりも、胸を張って立たないといけないのだな、と思った。
姿勢をキープしながら、少し歩いてみる。足の踏み出し方などは、もともと悪くなかったようだ。
「うん、綺麗ですね。」
そう言われて、なんだか少し照れくさかった。
整体師さんは、正しい姿勢と歩き方を、丁寧に教えてくれた。
胸を張って歩く景色に、気づかせてくれた。
前を向きなさい、あなたは大丈夫。
そう言われた気がした。
心が少し、軽くなった秋の日だった。
「真っ直ぐ立つ」ということは、
「気持ちを整える」ってことだ。
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