多数決を疑う
アメリカでは大統領選挙が真っ最中ですが、結果はどうなるのでしょう?
それはさておき、先日大阪で行なわれた大阪都構想の住民投票について、あたしは特にこの議案に賛成でも反対でもないのですが、ちょっと思うことがあります。ニュースでは今回の投票について次のように伝えています。
住民投票の当日有権者数は220万5730人、投票率は前回を4.48ポイント下回る62.35%にとどまった。結果は賛成が約67万6000票、反対約69万3000票で、前回の約1万票差より大きい約1万7000票差での否決となった。
今回の投票で反対の人は70万近い数に上っていますが、賛成との差は1万票程度です。投票率がもう少し上がって、特に賛成する人が投票していたとしたら簡単に逆転できる数字です。現に、反対票を全有権者との比率で見ると31.4%です。全有権者で考えると3分の1以下の数字で決まってしまったことになります。
果たして、こんなんでよいのでしょうか? これについて考えさせられるのは、数年前に出た岩波新書の『多数決を疑う』です。この本によりますと、投票後の不満を抑えるには多数決(過半数)ではダメで、3分の2以上ないと後々しこりが残りやすいとのこと。
この本が出た頃は、国会で憲法改正のための国民投票法案が審議されていたころと重なっていたと思います。改憲派はしきりに3分の2は高すぎるハードルだと訴えていましたが、むしろ3分の2は確保しないと、憲法のような重要なものを決めるのにはふさわしくない、ということがわかります。なおかつ最低投票率を定めないと、今回の大阪のように、実は逆転されてしまう(結論が変わってしまう)可能性が大いにあるような投票のあり方には疑問が残ります。
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