知らない町を知るために海外文学を

レバノンの首都ベイルートで大きな爆発事故があったようです。幸いにもテロではなさそうですが、テロでもないのに危険と隣り合わせの状況というのは辛いものです。

ところで、冒頭「レバノンの首都ベイルート」となにげなく書きましたが、どれくらいの日本人がベイルートがレバノンの首都であるということ、あるいは逆にレバノンの首都がベイルートであるということを知っているでしょうか? 最近では日産のカルロス。ゴーンが潜伏しているところとして有名になりましたが、世界地図の中でどのあたりにある国かわかる人がどれくらいいるのでしょう?

とりあえず中東の国であるということは、さすがに正答率も高いのではないかと思いますが、では中東の白地図を示されて、「レバノンはどこでしょう?」と聞かれたら、正答率はどれくらいになるでしょう。あたし自身も非常に不安です(汗)。

さて、そんなベイルートを舞台にした小説が『デニーロ・ゲーム』です。内容紹介は如下:

ベトナム戦争を描いた映画「ディア・ハンター」を下敷きに、レバノン内戦下を生きた二人の少年の数奇な運命。
砲弾が降り注ぐベイルートの街で、アルメニア系の少年バッサームと、「デニーロ」というあだ名で呼ばれる幼なじみのジョルジュ。二人はカジノから金をくすねたり、盗んだガソリンでバイクを乗り回す無鉄砲な日々を送る。キリスト教民兵組織に引き抜かれたジョルジュはイスラエルで軍事訓練を受けるかたわら、密造酒や麻薬の取引をバッサームに持ちかけるが、次第に二人は疎遠になっていく。
ある日バッサームは、身に覚えのない殺人事件の嫌疑をかけられて民兵組織に連行される。拷問を受けるが、運良く解放され、国外に逃れる決心をした彼は、その資金を手に入れるため、カジノの売上金を強奪する計画を立てる。成功ののち、国を脱出しようとした矢先、キリスト教勢力の最高司令官が暗殺される。バッサームはまたしても疑いをかけられ、彼を連行しにやってきたのは、他ならぬジョルジュだった......。
暴力にまみれた日常の光景が、疾走感あふれる詩的な文体によって白昼夢のように浮かび上がる。国際IMPACダブリン文学賞を受賞、世界30カ国で翻訳された、レバノン出身の気鋭によるデビュー作!

戦火の下で暮らす少年という日本人とは懸け離れた側面と、普遍的な少年の成長過程という側面とがうまいこと合わさった作品です。なかなか日本人にはイメージしづらい世界ですが、だからこそ一読の価値があるのではないでしょうか? 知らない町をこういった海外文学で知るのも、外出自粛のお盆にはよいのではないでしょうか?

http://www.rockfield.net/wp/?p=594

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