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インタビュー:<伊禮真氏>自分と周りの人の人生を楽しいことでいっぱいにする生き方

「(沖縄の会社で)会社から東京に出向を命じられたんですよ。で、付き合っている彼女もつれていきますって言ったら『お前バカじゃないか』って人事に言われてカチンときて喧嘩して。彼女に相談したら、『それなら・・・結婚すればいいんじゃない?』って言われてその手があったか!と。翌日婚姻届け出しに行きました。印鑑も持たず、さらに証人のこと忘れていたのでその場で後輩を電話で呼んでサインさせました」

そんな結婚当時のぶっ飛びエピソードを教えてくれたのは、元琉球銀行でメディア戦略室長を務め、広報や新規事業開発などに携わり、今年2024年4月に「楽しくなる合同会社」を設立して独立された伊禮真(いれい まこと)さん。

「最近自分が何者かなのが説明できなくて困っていて。インタビュー受けると思いがけない質問にはっとすることがあるんですよ。整理したいなと思ってインタビュー受けてみようと思いました」


楽しくなる合同会社 伊禮 真 さん

楽しいことしかしないって決めたんです

伊禮さんは社名の通り「楽しいこと」しかしない、と決めて人生を送っている。それはもちろん独立される前の銀行員時代からその考えを貫いていた。
銀行員時代に作った大ヒットしたTVCMは、制作の段階からワクワクしかなかった。心から楽しいことをやっているほうがパフォーマンスが上がると感じていた。

「電車に乗ってて誰も楽しそうな顔の人いないじゃないですか?みんな辛そう。でもそうじゃない。楽しいことも仕事と共存できるはずだと思ってます」
仕事は辛いもの苦しいもの・我慢したら報われるという観念を否定し、楽しいことをしていても人を幸せにできる、だから楽しい人と楽しいことをしたいと強く願う。
よく言われる「好きを仕事にする」という言葉を体現しており、あるがままでいいんだよというメッセージを伊禮さんから受け取った。

楽しいことだけをやっていく、と決めた原体験は何なのか?
それは高校時代にさかのぼる。野球部の一つ上のキャプテンが同じポジションで、彼を目指して猛練習をしていた。そのポジションを自分も得たい。
結果、なんと練習をやりすぎて身体を壊してしまったのだ。はじめての大きな挫折だ。
しかし、伊禮少年はやさぐれなかった。
そこから表に立つような司会業など、人を喜ばすことに目覚めた。自分の発言でクラスメイトを笑顔にすることにも幸せを感じた。
悲しむ時間はいらない。人生の笑う時間を増やそうと思った。

また、伊禮少年は小学生のころから、「死」について考える多感な少年だった。それはまた「生」についても考えることと同義だった。身近な親族の死などを目の当たりにし、自分の「生」の時間を笑っている時間が多い人生にしようと考えた。
自分のやりたいこと・好きなことリストを作成し、嫌なこと・嫌いなことはしないと誓った。
時間は有限だという強い意識から「楽しいことだけ」やる伊禮さんが出来上がっていった。

伊禮さんにとっての仕事での楽しみや喜びは何なのか?
「自分だけが楽しい思いをしていても満足感が得られないんです。Youtubeの動画作成なんかもしますけれど、それをお客様に見せたときの反応がとても嬉しいんです」
「DJもそうです。自分が作った曲でその場を楽しくさせる。Youtubeに流すお客様のことを紹介する曲も自分で作るんですけど、喜んでくれることが評価されているようで嬉しい」

伊禮さんのYoutubeチャンネル(琉球楽しくなるチャンネル)

「独立してからは、人から裏切られることもありました。とてもショックだったけれど、自分のことを本当に信頼してくれる人のフィルターができたと思っています」
裏切りを知ったその日は落ち込んだ、でも翌日には気持ちを切り替えた。無駄な時間だからだ。伊禮さんは限りある時間を信頼できる大切な人のために使おうと心に決めた。

伊禮さんの会社のHP(楽しくなる合同会社 ※社員紹介が笑える)

あげてるんじゃなくて、こっちがもらっているという衝撃

伊禮さんは社会福祉事業にも精力的に参加されている。
「なんでボランティアやっているんだろう?って自分でも考えてみたことがあったんです」

子供のころに原体験があった。
道に荷物を持ったおばあちゃんがいて道路を渡れなくて困っていた。荷物をもって反対側に一緒に付き添ってあげたら、驚くほどとても喜ばれてアイスをもらった。
「親切にすることがこんなに嬉しいとは思わなかった」
子供の伊禮少年にははっきりとこの経験が記憶された。

銀行業務でも広報・地域貢献室の仕事に携わり、福祉事業者に銀行から助成金を渡すことがあった。ある年、助成金の授与式で障がい者の方が来て「ありがとう」と感謝の言葉をもらった。
「今まで、こちら(銀行)がお金をあげていると思っていたが、違ったんです。こっちがもらっているんだ!という頭を殴られたような衝撃を受けました」
この件を機に伊禮さんは社会福祉をライフワークにしようと心に決めた。

「独立する中でやりたいこととして、NPO団体を作って社会福祉関係のYoutubeを作りたいと思っています。障害のある彼ら彼女らを舞台に上げて、インクルーシブな世の中を実現したい。これは会社のミッションです。」

そしてもう一つ、世の中を楽しく変えるために銀行時代に「RYUGIN GOOD NEWS」という番組を作った。
「北海道の殺人のニュースなんて、沖縄で流す必要ないでしょ?誰も幸せにならない。だから新聞に載らないようなささやかなニュースでいいから、よいことしか流さないニュース番組を作ったんです」
こんな取り組みの実践からも、伊禮さんの人柄と芯の強さがうかがえる。

楽しくなることに愚直に突き進む

さらに「アウトドア」もライフワークの一つだという。
つつじエコパークというキャンプ場の取締役もされており、キャンプの魅力を語ってもらった。

「キャンプ場でご飯食べると、めちゃくちゃうまいんです。本能的なものだと思う」

狩りをしていた時代の、やっと食べ物にありつけたという際の快楽物質が出るに違いない、と力説する。
食事だけでない。虫の声、鳥の鳴き声、日の出日没で感じる時間、すべてが心を浄化してくれる。たき火の火をぼーっと何時間でも見ていられる。これも本能に違いないと語る。

ソロキャンプも友達や家族と行くキャンプもどちらも大好き。
「自ビールづくりも自信があります。キャンプで自ビールを飲むのもいい。長崎の友達が自ビールの作り方を教えてくれました」
全国・世界中に友達がいるという伊禮さん。
「英語はしゃべれませんがコミュニケーションできますよ」
ニコニコの笑顔から疑う余地もない。

DJリーマンと呼ばれることもあったが、自分で曲をつないでその曲を聞いているのがめちゃくちゃ楽しくてたまらないという。人に対しても、自然に対しても、音楽に関しても自分や相手が楽しくなる居心地の良い空間を本能的に選択し創り出しているようだ。

美人な奥さんとリスペクトしている息子さん

写真でお見かけした奥様はモデルなんじゃないか?というくらい美しかった。

「元ミス沖縄で、元首里城王妃で、現役のモデルです」
さらに美アップアドバイザーなどでビスケットの監修なども行っていらっしゃる。
アグレッシブな活動を聞き、冒頭の婚姻届けのぶっ飛びエピソードはこの奥さんあってのことだとうなずけた。

「結婚なんてできないだろうと思って、独身時代に既に戸建ての家を建てていたんです。そこで弟とバーも開いちゃったりして。そこの従業員として雇ったのが今の妻なんです。だからバーは繁盛しました笑」

銀行員でありながら趣味でバーもこなし、奥さんもゲットする。子供もできた。
「息子は今大学で関西にいます。息子のことはリスペクトしています。あんな人間になりたいと本気で思っています」
息子さんが学生のうちにいっぱい一緒に遊ぼうと思っている。

息子さんや奥様には今まで仕事で好きにやらせてもらった。振り返ると、こんなに会社に時間を投資しなくてもよかったんじゃないかと反省もしているが、それでも家族との関係は良好で幸せだと語る。
家族公認で楽しくなることを突き進めているのだ。

ロックでパンクな世の中を作る

伊禮さんは今60歳。
69歳までは突っ走ってやり抜く、と決めている。
69歳になった時に区切りとして着けるピアスはすでに発注・納品されて手元にある。
込められた意味は69(ロック)。いうまでもなく右耳に6、左耳に9。
その時の社名は「琉球ROCKDOG」(りゅうきゅうロックドッグ)と決めている(飼っているのは猫だが、犬が大好きだから、とのこと笑)。

そしてその数字にはもう一つ意味が込められている。
会社の収益の6.9%を社会福祉貢献事業に使う、というのだ。

そしてその次のステージは89歳。
こちらもピアスは注文済み。
言うまでもなく、89(パンク)、8.9%を同じく社会福祉貢献事業に充てる。
その時の社名は「琉球PUNKDOG」(りゅうきゅうパンクドッグ)

今の「楽しくなる合同会社」でも収益の2.86%を社会福祉貢献事業に使っているという。
そういった還元の取り組みが、自社だけではなく世の中のスタンダードになるように働きかけている。

「労働をしているから給料をもらえているんじゃないんです。人を喜ばせたり笑顔にするからお金を受け取っていると思っています」
会社はお金儲けの手段ではない。仕事を通して世の中を幸せにするために存在する。
そう強く言い切る。きれいごとでもなんでもなく、今まさにそれを実践中だ。

伊禮さんは何者か。
何者かなんてとんでもない。ロックでパンクなスーパーかっこいい大人代表だ。
こんな60歳に私もなりたいと思った。

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