仕事の楽しみ

毎朝、電車を降りると後ろからチャリンチャリンとリズミカルな音が聞こえる。盲導犬だ。今日も白髪の男性を導いて、トントントンと細い4足を交互に地面に叩いて歩く。毛並みは黒くて、ホーム天井の電灯に反射して背中が艶々光っている。朝の通勤電車は苦手だ。だけど、この盲導犬が一生懸命歩く姿を見ると、少し元気になる。
いつだったか、とある作家の人がエッセイで「働くのも、生きるのもしんどい。だけど、そんな中でも日々の生活の中で小さな楽しみを見つけよう」と書いていた。最初はそんなの難しいだろうと思っていたけれど、少しずつ実践していると、本当にその通りだと思うようになった。
小さな楽しみといえば、todoリストをあえて紙に書き、ペンでざっとチェックマークを入れるのも快感だ。あと、たまに食べに行くそば屋の高齢のご夫婦に会うこと。刹那的な対応や結果を求められることもある仕事のなかで、そのそば屋に行くと、時空が切り替わったように時の流れ方が少しゆっくりだ。それに癒される。
そんなこんなで、目を向けて見れば仕事の楽しみがいくつか出来上がっていた。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?