硬派が過ぎる「Lillies and remains」
たまにはカロリー少な目な渋いバンドが聴きたい。
渋い…抽象的な例えだが、例えば邦楽を見渡してみると基本的にアップダウンの激しいメロディライン・展開の曲が多い。
ただ、こういった曲もずっと聴いてるとさすがに飽きてくる。たまにはビートが真っすぐなロックが聴きたい時が…
そんなときにうってつけなのが、Lillies and remains (リリーズアンドリメインズ) という日本のロックバンドだ。
邦楽に聴こえない
日本人でこの手の音楽を鳴らすバンドは本当に珍しい。画面の向こう側からタバコの匂いが漂ってきそうな渋さ。
まるでJoy Divisionのようだ。感情を押し殺したボーカル、ナイフのようなギター…所謂売れ線とは真逆の音を淡々と演奏しているさまはロックなアティチュードを感じる。
UKバンドみたいな詞
No (No) Right back in that place 元の場所に戻るんだ。
No (No) Back in it's right place あるべき所に戻るんだ。
In this city you'll just see your vanity この街では、君は自分の虚栄心だけを見ることになるだろう。
詞までUK譲りの捻くりっぷり。同志社大学の学内で結成されただけあって、作品全般にIQ高めな雰囲気を感じるのもポイントだ。
これだけではただのUKポストロック被れで終わってしまうわけだが、不思議と海外のバンドよりは聴きやすく感じる。もう2020年なので最近…とは言い難いがあくまで00年代生まれのバンドなので音質的に聴きやすいのに加え、彼らは病んでいる感じが無い。
あくまで、沈むことなく淡々と哲学している感じがある。
このダウナー感の度合いが良い塩梅だ。
知名度が…
元SOFT BALLETの藤井麻輝氏プロデュース。まさかのアルバム全体。
彼らの音楽はマニア向け、というかミュージシャンズ・ミュージシャンの気があるのか、浅井健一や、あんまり褒めるイメージが無いBuck-Tick・今井寿なんかも絶賛していたらしい。
玄人向け…というと聞こえはいいが、一歩間違えると活動そのものが厳しくなる。
だからといって、彼らの音楽性をもっとキャッチーにしろ!というのは無理な話で、良さが無くなってしまうだろう。
「キャッチーさを取って多くの人に聴いてもらう」or「尖った音楽を続けて分かる人だけ聴けばいい」的な答えのない論争は多分、古代エジプト文明から続いていると思う。
僕的には「尖った音楽も理解できるようにリスナーの耳が肥える」のがいいな…。
それこそ、イギリスみたいにRadioheadやMuseのような音楽がチャート上位にくるような、そんな国になったら面白いのになぁ…なんていう妄想をたまにする。
夢物語ですけどね。では。
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