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非SE文系がネットワークスペシャリスト(R6春)に一発合格した方法【合格体験記】

記事の内容


非SE文系がネスペに一発合格した方法を記しておきます。

私のように、試験に不向きなピヨピヨスペックでも、不器用ながら努力ゴリ押せば確実に合格を捥ぎ取れる戦略をお伝えできればと思います。


記事の対象者


・ネスペ一発合格を確実にしたい方
・AP受験前だがネスペを目指している方
・非SE、文系
・IPAの国語問題に自信がない方
・様々な攻略情報を収集し、独自の戦略を立てたい方

筆者のスペックは?


・私立文系大卒。
・事務系総合職。
・中規模企業の「なんちゃって情シス」系の部署を計5年。
 構築・保守は基本的に委託。
・苦手科目:数学、物理
・嫌い科目:国語
・受験前の資格:AP、FE 全て、近年一発合格

なぜ受けたか?


仕事が大嫌いだったが、情シスの仕事をして生まれて初めて仕事が楽しいと思い、平凡な自分でも、この方面にだけは適正があることを証明したかった。

あと、みんな言っているけど、資格名称の響きがカッコよい。名刺に入れたいよね!

勉強期間は?


純然たるネスペ向けの勉強期間は、4カ月。(12月半ば~4月半ば)
応用情報直後からのノンビリ準備期間を合わせれば、6カ月分くらい。

使った参考書は?


・メインウェポン
左門至峰先生の「ネスペ」シリーズ(H26~R5)

・サブウェポン
みやたひろし先生の「図解入門TCP/IP」

網野衛二先生の「3分間HTTP&メールプロトコル基礎講座」「〔改訂新版〕 3分間ルーティング基礎講座」

このお三方は、ネスペ合格の導きの神です。

・参考用
徹底攻略 ネットワークスペシャリスト教科書
内容的に午前2対策本に近いので、無くて良い。各分野の解説は、午後問題を読み解けるほどの深さはない。「掲載内容を中心に出題されるが、それ以上の暗記が必要である」ことを確認する用途で使った。

・副読本
後ほど紹介します。

勉強方法は?


(1) 準備段階【時間がまだまだある人向け】

①応用情報には合格しておく

どの記事でも言われているように、高度試験は午後問題で勝敗が決まる。
午前1対策はネスペ午後合格に寄与しないし、午前2対策も完全な時間のムダであるため、先に始末しておく。
なお、AP午後のNW対策を行うことが、ネスペ午後の丁度よい準備となる(次項)。

②AP受験期からネスペの勉強

AP午後でNWが得意科目と言えないようでは、ネスペ過去問でとても苦しくなる。少しでもリードするためにAP受験期からネスペの準備をしたい。

私が行ったことは、
①ネスペ午前2を8割安定させる
②左門至峰先生の「ネスペ教科書」を3読し、APの出題範囲だけでもノートにまとめて暗記

③AP受験後の時間で副読本

高度試験の合格の秘訣は、午後問題をいかに分析し(質)いかにこなすか(量) といわれる。
暇なうちに、実務的知識を得つつ基礎知識を仕入れておくと、仕事で活かせるだけでなく、午後問題の分析時に知識不足で分からない事態(=タイムロス)が減って良い。

私が読み込んだ(複数回読むorノートにまとめた)本を、ネスペ午後への役立ち度から評価付けしておく。
特に★5の本に関しては、午後問題の分析時に何度も読み返した。この本なしに合格はなかった。
★4の本も、事前に複数回読んでいなければ試験対策が更に苦痛だっただろう。

★★★★★図解入門TCP/IP
★★★★★〔改訂新版〕 3分間ルーティング基礎講座
★★★★☆ネスペ教科書 第二版
★★★★☆マスタリングTCP/IP
★★★★☆3分間HTTP&メールプロトコル基礎講座
★★★★☆DNSがよくわかる教科書
★★★★☆[ネットワーク超入門]手を動かしながら学ぶIPネットワーク

★★★☆☆HTTPの教科書: 強靭な技術力と柔軟な思考を味方にするWebプロトコルの基礎
★★☆☆☆絵で見てわかるITインフラの仕組み 新装版
★★☆☆☆ネットワークはなぜ繋がるか 第二版
★☆☆☆☆図解即戦力 仮想化&コンテナがこれ1冊でしっかりわかる教科書
★☆☆☆☆日経NETWORK(1年間分)

(2) 本格勉強段階【4カ月前~】

午前2は、午後過去問をやっていれば勉強せずとも7割いく。
時間が無駄なので、この段階に入ったら午前2には基本的に取り組むべきではない
午前2から得られる力は、せいぜいAP午後で得点を数点伸ばす程度。

高度試験では、午後過去問をどれだけ攻略できるかが勝負だ。

①午後過去問X年×3回以上

左門至峰先生の「ネスペ」シリーズを使い、午後過去問をⅩ年×3回解く。
もちろんただ解くだけでなく、次のことを徹底する。
・なぜ間違えたのか徹底的に調べて理解する
・正答した問題も、本当に理解して正答したのかを徹底検証する
・左門先生による周辺知識の解説を熟読し、問題もきちんと解く
・過去問の「実績表」を作成し、問題の点数・出題分野を記入
・「技術知識以外の部分」で失点して得た教訓は、「教訓表」にまとめる
  ex「全て選べと問われても、答えが一つのみの時はある」など
・その他、左門先生が指導する勉強法に忠実に従う

・過去問の回数について
左門先生は最低限4年×3回と仰っている。
この「最低限」の対象者には、現役インフラSE、帝大理系卒、国語の天才、今は受からなくて良いけど棚ボタ狙いな人…などが含まれていると考えた方がよい。
そもそも、あくまで「最低限」の勉強量だ。

「4年×3回」に「自分のスペック」「自分の合格必須度合い」を掛け算して、必要量を算出すると良い。
私は自分が「ピヨピヨスペック」かつ「不合格はあってはならない」と思っていたので、左門指標の2倍は勉強が必要だと考え、「8年間×3回」を取り組んだ。
ただ、8年より前(H27以前)にもなると大分傾向が違うことが分かる。実際には6~7年分で良かったかもしれない。

結論を述べるのが遅れたが、確実に合格したければ5~7年分以上を推奨する。

・多くの過去問を解く意義
1. 多くの技術に多くの角度から触れられ、深い知識と対応力が付く。
2. 過去に問われた内容の再出題が多いため、自ずと点数が上がる。
3. IPAが「どう回答してほしがってるか」を汲み取ることができるようになる。

3.の「IPA国語力」を上げたければ、量×質で過去問を解いていくしかない。
4年×3回解いたあたりから少し傾向を掴めてきて、7年解いた時には「またこれか」となっているはずだ。で、直前期に、解いた全過去問の答えを暗記すれば完璧(後述する)。

※「8年より古い問題は傾向が違う」のざっくり所感
・頻繁に登場する「IPAお気に入り問題」がちょっと違う
・頻出分野がちょい違う(SDN、CGN、IPS・IDS、APじみたセキュリティ問題等々)
・ただしH27に出たVXLANはR6春に再登場
 こういうこともあるので、遡りは必ずしもムダではない。H28のBGPは今や主役だし。
・設問あたりの問題数が少ないので1問の失点がデカい

②午後出題分野のノートまとめ

①で午後過去問が2回目、3回目になってくると、「この分野は頻出なのに圧倒的に弱い」等わかってくる。

以下をフル活用し、ノートにまとめて理解・暗記することで、過去問未出題の問題にも対応ができるようになる。
・過去問そのもの
・左門先生の解説
・前掲の技術書(図解入門TCP/IPなど)

この時注意したいのが、「徹底攻略 ネットワークスペシャリスト教科書」といった 「ネスペ用参考書」の内容の深さに留めてはならないことだ。これよりも一回り二回り広く深い内容を、技術書を活用して調べ学習する。
この時、 IPA出題者なら次はどこを出すか? と意地悪く考えながら内容を取捨選択すると良い。

私は、直前期に赤シートで隠して暗記ゴリ押せるよう、重要用語や説明文などをピンクのペンで書くようにしていた。

③出題予測

このような言説はあまり見ないが、非SEには極めて重要だ。

この試験では、必ず参考書に載っていない/過去問未出題の問題が出題され、その問題が不正解の場合にはギリ不合格点ということも少なくない(過去問8年分で自己採点した私の所感)。これは、個人的には現場経験に対する加点措置ではないかと考えている。
SEであれば「日ごろからルーティングするので過去問以上の知識あります」という方もいるだろうが、非SEがこのギャップを埋めるには専門書を読み解くしかない。

であれば、次回の出題分野を予測した上で、その分野については参考書以上に深く勉強し、「マニア」になっておくことが必要だろう。
正直、この試験は言うほどの知識量は求められない。マニアになると言ってもせいぜい1つの分野(プロトコル)につきノート5~6枚程度だ。ノート作りさえすれば、あとは数時間もあれば暗記できる量だ。この作業だけで、SEの現場経験に匹敵できるのだからお得というものだ。

方法だが、まず「①午後過去問Ⅹ年×3回以上」で作った「実績表」を眺めてみよう。その上で、

・どのようなサイクルでどのプロトコルが出題されているか? →例:VoIPやメールは出題サイクルがある
・最近の流行は何か?(廃れてきたものは何か?) →例:BGPは確実に流行
・常に出続けている分野は何か? →例:証明書、IPsec
・前回と前々回出た分野は何か?これらは一発屋だろうか? →例:R5に出たWi-Fi6やHTTP2はインパクト強すぎて連続では出ないだろう

といったことを分析すると、大体出題範囲が絞れる。

例えば、令和7年時点でOSPFやVRRPに「最重点を置く」勉強はナンセンスといえる。
もちろん未だに出題はされるので重点的な勉強は必須だが、粗方出尽くした感があり、一時期よりも減少傾向にある(もしくは過去出題内容の使い回しが増えている)。
逆に、ここ数年で代わりに台頭しつつあるのがBGPだ。BGPについてはまだまだ新規問題の出る余地があり、今後最も熱い分野といえる。
であれば、BGPについて過去に出題されていない部分まで暗記し、BGPマニアといえるようになっておけば差を付けられると仮定するのが自然な結論だろう。

また、前年に出題されたものが、別の大問で出ることも多い。
例えば、午前1で出たものが午前2で部分出題・・・等々。
これらの出題メカニズムを分析しておくことも有益だ。

この戦略はほんの一例だが、参考書以上の勉強をどの分野に当てるのか検討することは決して無駄にはならない。
私はネスペ・APともこの方法で出題分野を複数当てられたので、オススメだ。
R6春本番は、BGP、メール、IPsec等々は当てましたがVoIPだけ外れました。)

④問題選択の戦略

これは5~6年分の問題を解き終わった後に行う。
AP程ではないにせよ、この試験では午後に選択した問題で勝敗が決まることも少なくない。
ここまで過去問を解いてくれば、大抵の方は同じことを思うはずだ。
問題選択の戦略を立てることは合格に必須の作業といえる。
方法は次のとおり。

1.「①午後過去問Ⅹ年×3回以上」で作った「実績表」を眺める
2.どの分野なら得点でき、どの分野は爆死したか徹底分析
3.選択優先度をつけて、問題選択の基準を作る
4.今後解く過去問では、この基準で問題選択
5.マル付け後、問題選択の基準自体が合っていたか、点数を見比べて答え合わせ
6.再度2.に戻る

・以下、私の作戦の一例
①VoIPは絶対避ける
②証明書は問題見て判断
③知らない技術は避ける(以前、知らなくて解いて爆死した地雷の例:LAG、DiffServ、PIM-SSM、IGMPv3、Secure属性、認証認可)
④LBはなるべく避けたい
⑤IPsecもなるべく避けたい
⑥優先制御も地雷多し

⑤午後過去問4回目以降(任意)

最後の1月は、誤った問題のみ解いて、公式解答と同じ趣旨の回答が書けるよう暗記する。3回解いていれば大体はできるはずだ。この訓練により、IPA的な国語力に更なる磨きをかけることができる。
やっていることは村山直紀先生の「速攻サプリ」シリーズと同じだが、このシリーズは過去問の図表がなく、頭が悪い私には難しく感じた。そのため、過去問の地の図表を活用できる点と、自身で解いて間違えたものから選別できる点から、この方法を採った。
なお、公式と一字一句同じ解答を暗記するのではなく、本番自分が書けるだろう解答を自作し、それを暗記すると良い。理由は、本試験では、趣旨が合っていれば正解になるため。一字一句同じ答えなど書ける人はいないと、「ネスペの神」左門先生も仰っている。

⑥最終フェーズ

最後の2~3週間は、次のことに取り組む。

・まとめノートのうち暗記してない事項を洗い出す
・暗記してない事項を暗記アプリで頭に叩き込む
・問題選択の戦略を暗記アプリで頭に叩き込む
・「技術知識以外の部分」で失点した箇所をまとめた「教訓表」の内容を、暗記アプリで頭に叩き込む

私は、1つでも漏れがあってはならないという思いで取り組んだ。

勉強方法まとめ


要点は次のとおり。これらを徹底することが重要だ。

1.AP受験期からネスペの勉強しよう
2.午後過去問は5~7年×3回やりこもう
3.午後出題分野はノートにまとめよう
4.出題分野の予測をして重点対策しよう
5.問題選択の戦略を持っておこう
6.必要なことは全て暗記し尽そう

おわりに


ネスペを取得してみて感じたことは、自身の想定した仮説について、自信をもって語れるようになったこと。本業のSEに対しても臆せず恥じずに物事を言えるようになり、ものによってはconfigのミスなど指摘できるようになった。「委託先のことは知らん」ではなく可能な限りコントロールを利かせる意思と能力をもって仕事に当たれるのは、なかなか良いことではないかと思う。

以上、拙い記事ですが、1人の方にでもお役に立てたら幸いでございます。
また、副読本や頻出分野分析についてなど、今後各項目の詳細編を書くかもしれません。


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