“求められているものを提供する” のも、楽じゃない
りさ:なんぼーさん、この写真見てください!この間、予約困難店に行ってきたんですよ〜!
なんぼー:おお!ここ有名なとこじゃん。写真に写ってるの、店主さんだよね。
りさ:そうそう、定番のポーズやってくれて。大満足です!インスタでいっぱい「いいね」来そうで嬉しいな〜!
なんぼー:やっぱり有名店載せると反応いいんだ。
りさ:「予約困難店」とか「食べログ4越え」みたいなお店は露骨に沢山いいねが来ますね。最近やっぱり「インスタで話題」とか「予約困難」みたいなわかりやすくお墨付きのお店に、みんな行きたいんですよね。
なんぼー:そういう時代に、ポーズ決めて写真撮ってくれる店主さんがいるお店はわかりやすいよね。「ここがシェアすべきところ」って明確にしてくれると。情報が先行するSNS時代の大正解って感じ。
りさ:確かに!なんかもはや写真撮りに行ってる感じでした(笑)グルメのお店でもあるんですけど、観光スポットでもあるっていうか。
なんぼー:味だけではない体験型での店舗体験って方向性も形になってきているよね。まさにSNS時代に求められているものて感じがするなあ。
りさ:確かに!求めているものを正しく提供していると言われればそのとおりだ……!
なんぼー:それでいうと、最近ドン・キホーテのプライベートブランド商品が面白くてさ。
りさ:あ!この間ドンキ行った時に見ました!パッケージにめっちゃ文字多かった(笑)
なんぼー:やっぱりそれが印象的だよね。でもそれがドンキっぽい気がしてて。
りさ:わかります。あのごちゃごちゃ感。ドンキも店内ポップ文字だらけですしね。
なんぼー:このプライベートブランドが、ドンキらしさをうまく体現していると思うんだよ。例えば「でかくて安い」。これは単純に、大容量でお得な商品が沢山出ていて。それから「面白い」。例えばペペロンチーノは、にんにくを過剰に入れてさらに激辛にした商品になってる。
りさ:ひえー!でもドンキってこういう「わけわからない安いものを買ってみる」楽しさがありますね。
なんぼー:あとは、「新しいものの提案」っていうのも表現してる。人気が出た「しいたけチップス」とか「紅生姜せんべい」とか。こういう斬新な商品も、ドンキっぽい、カオスでオリジナルな感じなんだよね。
りさ:「でかくて安い」「面白い」「新しいものの提案」。確かに、ドン・キホーテに求めているものを表現してますね……!
なんぼー:それから、この文字多い系のパッケージなんだけど、僕は「ザ・チャーハン」が元祖だと思っていて。
りさ:確かに似てる!これ買ったことないですけど、覚えてるくらいインパクトあります。
なんぼー:これはいわば「なろう系」商品名だよね。
りさ:なろう系?
なんぼー:りささんは知らないか。「小説家になろう」という小説投稿サイトがあって、そこに投稿される小説のタイトルが、かなり具体的で長いんだよね。
りさ:へー!ほんとだ!なにこれめっちゃ長い!
なんぼー:タイトルで読み始めるか決めてもらわないといけないからね。だからだいたい話の筋を説明したようなタイトルになってて。
りさ:なるほど。これも、実際の内容を味わって貰う前にめちゃくちゃ説明しておくものですね。でも、それにしても、ドンキのパッケージの文章はかなり長い…(笑)
なんぼー:味の説明はもちろんなんだけど、商品が販売されるまでの試行錯誤を文章で訴求して、「担当者の頑張り」まで伝えているからね。半分くらいの文章は担当者の商品開発ストーリーを伝える内容になってる。
りさ:ほんとだ!!!(笑)熱い……!
なんぼー:今はやっぱりこういう、人の顔が見えるような、加工されていない情報がウケるんだろうね。TikTokでも、キレイな動画よりも、生っぽい動画がすごく伸びるし。
りさ:確かに、この文章ずっと読んでたら、ドンキの好感度あがりました。あと、普通におもしろいですね。
なんぼー:人は物語が好きだからね。昔、BOSSとウマ娘がコラボしたプロモーションでも、担当者の溢れ出る熱い思いとストーリーが話題になったことがあってさ。
りさ:なにこれー!熱量高ッ!
なんぼー:個人の物語に人が共感する時代なんだなと思う。ドンキのUXに沿ったデザインにしながら、ドンキの世界観を拡張している。ドンキはプライベートブランドでそれが出来ていてすごいなと思うんだよね。
りさ:確かに。めちゃくちゃドンキっぽいけど、ドンキの魅力をさらに増幅するような仕掛けがされていますね!
なんぼー:それでいうと、前に話したチェンソーマンのエンディングのコラボも同じかもしれないな。
りさ:エンディングが毎回違うやつですよね!毎回曲が出るたびに話題になっていて、私も楽しみにしてます。
なんぼー:それって、チェンソーマンに求めている体験な気がしていて。
りさ:おー!確かにそうかもしれません。
なんぼー:チェンソーマンを読んだときの「開けてびっくり」感がある。どこかカオスな感じも作品と企画両方から感じられる。あとは、チェンソーマンって、カルチャー好きが好んでいそうな漫画だからこそ、音楽のコラボがウケるっていうのもありそう。
りさ:確かに、チェンソーマンと世界観が一致した企画だ……。同じ企画を鬼滅の刃でやると全然違う印象になりそうですね。
なんぼー:大きな文脈が一致した企画をすると、世界観を広げるコンテンツになるよね。
りさ:確かに。でもそれってすごく難しそう。同じ求められているものに答えることといっても、「写真撮ってください!」とよく言われる店主さんが、写真に映えそうなポーズをするのとはまた違いますよね。
なんぼー:作品の「何がウケているか」「何を求められているか」理解しないとこんなことできないからね。
りさ:求められているものをどのくらい大きなコンテクストで応えるか、考えたことなかったので面白いです!
なんぼー:いや、僕も面白かった。これはまたしばらく考えてみたいテーマができたなあ。
りさ:また面白い例になりそうなものがあったら共有しますね!