満足度の方程式から、コンセプトをかんがえる
あやちゃん:なんぼーさん、京都には瑠璃光院だけ訪れたんすか?
なんぼー:いや他にも色んな所に行ったよ、結構京都は頻繁に訪れているんだよね。京都には好きなレストランもあるし。
あやちゃん:京都のレストランって素敵そう。好きなお店ってどこなんですか?
なんぼー:うーん、色んなお店があるけど、『LURRA°』ってお店はすごく好きでよく通っているかな。あやちゃんはどんなお店が好きなの?どうやって行くお店を選ぶ?
あやちゃん:やっぱりトレンドのスポットには行っておきたいっていう気持ちがあって、友達がインスタに載せてるお店から行く場所決めたりしますね。
なんぼー:面白いね。やっぱり映えるお店が好きなんだ。
あやちゃん:綺麗な場所って意味でも映えるお店は好きなんですけど、それ以上に、友達と写真を作るのがたのしい。インスタ見て色んなアカウントの投稿を流し見しながら、どういう写真を撮ろうか考えたり、それを友達と相談したり。一緒に作品をつくってる感じが一つの遊びなんです。
なんぼー:一緒に写真をつくりあげるところから遊びが始まってるんだね。
あやちゃん:あとは、世界観があるところもすきかも。それも”ネタになりそうなところ”かもしれないっすけど。 「韓国酒場風」とかもそうだし、「映画の○○のコンセプト風」とか、「本場の中華料理」とか。
なんぼー:ああ、コンセプトのあるレストラン、最近多いよね。
あやちゃん:見た目に関するコンセプトだけじゃなくて、出す食べ物も一風変わってて、そこにストーリーがあったりして。そういうところは、他のレストランとの違いがわかりやすいし、連れてってもらう前からすごくワクワクする。
なんぼー:そうそう。コンセプトがあると、キャッチーだし、人に紹介しやすいんだよね。わかりやすい差別化にもなるし。
あやちゃん:それなー!って感じです。他との差別化が伝わりやすい!
なんぼー:だけどコンセプトって実は難しい。あまりに決まりきったものだと、自分の首を締めることになるんだよな。
あやちゃん:えー。どうしてですか?
なんぼー:コンセプトがあるっていうことは、お店の雰囲気から出す料理全てでそのコンセプトをやりきらないといけないからね。良いお店って大体コースだったりするから、複数の料理を出して全体で楽しませなきゃいけないし、それを季節ごとに変えなきゃいけなかったりするし。
あやちゃん:たとえば、「フルーツを使った料理だけ!」っていうお店だったらフルーツを使わない料理を出せなくて、デザート以外がものすごく難しいってことですか?
なんぼー:例えばそんな感じだね。本当はもっと美味しい料理、あるいは美味しいコースにできるはずなんだけど、”コンセプト”というものに縛られて、振り回されてしまう。コンセプト選びを間違えちゃうと、自分の創造性を縛り付けることになるんだよね。
あやちゃん:それはやめちゃいたくなる!
なんぼー:やめちゃいたくなるよね(笑)だから、決まりごとの観点でいうと、コンセプトのさじ加減はすごく難しいと思うんだよな。その点、たとえば『LURRA°』は、”地元の食材で世界の料理を創る” っていうような決まりごとしかなくて、遊びの範囲が広いし、かつキャッチーなんだよ。無理にコンセプトを伝えようとしていなくて、自然に伝わってくるものになっていて。色々遊びの方向性で料理も変わるから何度も行きたくなるし。
あやちゃん:確かに、すごく行ってみたい!京都って場所もいいなあ。あと、季節によって色々食材が変わったりするのも想像できる。えー!どの季節に行きたいかなあ……。
なんぼー:コンセプトが自分を縛り始めるんじゃなくて、逆にコンセプトによって自分の創造性が広がっていくと良いよね。コンセプトが曖昧でブレているのは良くないけど、ある程度あそびや伸びしろがないと、コンセプトをやりきることはできない、という感じかな。
あやちゃん:コンセプトは伝えるものではなく、伝わるもの。コンセプトは自分の創造性を広げるもの。
なんぼー:そういえば、日本橋の方に、昆虫食のレストランがあって、そこは閉店しちゃったんだよね。
あやちゃん:確かに昆虫食ってキャッチーだけど、繰り返し行きたいかっていうと……。美味しさを求めるなら、別に昆虫じゃなくていい気もするし(笑)
なんぼー:まさに、コンセプトが美味しくできる可能性を縛っている事例だよね。あとは、コンセプトって、さっきあやちゃんが言ったみたいに“期待値を作る”効果があるから、正しい期待を創ることを意識しなきゃいけないよね。
あやちゃん:それはよくわかる。お店に期待しすぎて行っちゃうと、がっかりすることあるもん!良いお店でも、「期待値高すぎちゃったな〜」って(笑)
なんぼー:もちろん、集客だけを考えるなら、それでもいいんだけどね。だけど、実際の満足度の方程式は、「実感値-期待値」だから、期待値を上げすぎると満足度をあげられなくなる。
あやちゃん:確かに!満足度を考える時、もちろんその時体験した感覚もあるけど、そもそもの期待値もとっても大事かも。ECでモノ買うときもそうだなー!なんか、写真が超綺麗で買ってみたものの、届いたらテンション下がる時がある……。(笑)
なんぼー:入り口に必要なコンセプトと、行って楽しいコンセプトは違うものだから、満足度を高めるためには、実感値のことも考えて設計したいよね。
あやちゃん:入り口の機能としてキャッチーであるべきだけど、実際に行ってみたときにさらなる楽しさがあるような “あそび” ができるコンセプトじゃなきゃいけない。ひえー!意外とコンセプト作りってむずかしー!!
なんぼー:そうだね。すごく大事なものだからこそ、色んな角度から考えて創るものだね。
あやちゃん:悪いコンセプトは、行く前にドキドキするけど、行ってみたら「コンセプトに縛られなくていいのに」とがっかりしちゃう。良いコンセプトは、行ってみたらそのコンセプトの良さがより伝わる。ちょっと前回の瑠璃光院の「インスタ映え写真」の話にも似てる気もしてきた。
なんぼー:面白い。確かに、キャッチーさと本物の価値への期待値の話かもね。
あやちゃん:満足度の方程式「実感値-期待値」の点数を高めるためのUX設計とコンセプト作り。色んなものに応用できそう。