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「1店舗1体験」「1コンセプト1体験」の時代
あやちゃん:なんぼーさん、この間の「しまパト」の記事面白かったです!
なんぼー:ありがとう!
あやちゃん:私もよくしまむら行くんすよね。ネットで買っても、掘り出し物がないか見つけに店舗受け取りにしちゃう。
なんぼー:ほう、あやちゃんも店舗受け取り派か。しまむらのECは店舗受け取りが9割らしいよ。
あやちゃん:そうなんすか!それこそ「しまパト」したくなるからかな。送料ケチってるっていうのもあるけど。なんか、しまむら行くとワクワクするんすよね〜。
なんぼー:わかるわかる。面白い店舗ってワクワクするよね。この間、恵比寿ガーデンプレイスのライフに行ったんだけど、お店の陳列がすごくシズっててワクワクしたよ。ワクワクするスーパーって、陳列がクリエイティブだよね。これこそ売る力だよ。
恵比寿ガーデンプレイスの地下がリニューアル。その中にあるスーパー、ライフの旗艦店セントラルスクエア、気合入ってます。
— なんぼー | Taishi nambo (@architectizm) May 5, 2022
まず陳列から店舗本来の“売る力”が強い。野菜や魚の陳列だけでここまでシズルを高めることができるのか、という新鮮な驚きがありますねえ。 pic.twitter.com/WOKfe7sddh
あやちゃん:陳列がシズってるっておもろいっすね!なんぼーさん店舗好きすぎます(笑)
なんぼー:オフラインの体験っていうのは人を動かす強いパワーがあるからね。そのスーパーや、それからドン・キホーテは店舗をアミューズメントだと捉えていて、店舗に息遣いが感じられる気がするなあ。
あやちゃん:なんかガヤガヤしてる感じがいいっす!
なんぼー:ある程度の秩序や清潔感、クリエイティブがある中で、人の認識を超える物量や色があると、ワクワクしたりカオスを感じたりするのかもね。やっぱり「ものを買う」って、ワクワクしないとドライブしないからね。
あやちゃん:今ECがめっちゃ増えてきてるし、私もよくネット通販するんで、店舗ってそれくらい気合入ってないと、あんまり意味ないと思われちゃいそうっすよね。
なんぼー:確かにね。
あやちゃん:それに合わせてか最近、変わったお店も増えてますよね。渋谷の『CHOOSEBASE SHIBUYA』とか、行ったことあります!
なんぼー:『CHOOSEBASE SHIBUYA』は、無人店舗だよね。スマホで商品をカートに入れて、決済したときにまとめて商品を受け取るか配送してもらえるっていう。
あやちゃん:そうなんすよ!だからどちらかというと、さっきまでの話とは逆で、お店の中は静かですよね。確かにちょっと、どうやって楽しめばいいか迷いました。
なんぼー:なんだかんだ、売り場は生きている感じが大事だよね。エモーションというか。
あやちゃん:確かにECじゃなくて、実際に見たり触ったりしたい商品はあるんすけどね……!サステナブルがテーマで、スタートアップのプロダクトが集まってるらしいです。
なんぼー:だけど、スタートアップのプロダクトかどうかはあんまり買う側には関係ないよね。デジタルサイネージやO2Oやオンラインショッピングとの融合、ていう手段が前に出ちゃうと難しい。店舗は手段を感じに行く場所じゃないからなあ。
あやちゃん:色々な商品がバラバラで寄せ集められてるのも良くなかったのかな?
なんぼー:でも、それでいうと、北海道物産展は色々なお店の商品が集まってるけど楽しくない?
あやちゃん:めっちゃ楽しいっす!
なんぼー:その場で商品を焼いたり、陳列を工夫したり、呼び込みをしたり「売る力」のプロが集結しているよね。「北海道」というストーリーもシズル感があるし。
あやちゃん:夢がありますよね……!たどり着いた瞬間から「買おう!」という気持ちが高まっている気がします。
なんぼー:あとは、この間、恵比寿の路地裏で見つけた無人野菜販売所も面白かったよ。お手紙が貼ってあってさ。シズル感っていうか、独特のあったかさがあってよかった。
あやちゃん:無人でも工夫次第で息遣いを感じられるお店になりそうっすよね。無人野菜販売所は、お店の雰囲気も感じられていいっすね!
なんぼー:お店の雰囲気を感じられるのはいいよね。ブランドのスタイルを感じるといえば、昔のアバクロは広告に白人だけを使って、マッチョがオーデコロンを振りまいてダンスミュージックの中で踊る、みたいなイメージを打ち出していて。
実際の店舗も暗くてムーディにしていて、店員さんも白人で統一してたんだよね。それが、差別ということで訴訟を受けたんだよ。実際に時代錯誤だったし、人種で待遇に差があるのは良くないからね。一方で、ペルソナがいて、そのペルソナに対しての憧れをつくっているわけだからマーケティングとしては1つのやり方でもある。実際、スタイルを感じたし、そこに憧れを抱く人はいそうだと思った。
それを描いたネットフリックスの「ホワイト・ホット」ってドラマもあるからぜひ見てほしいんだけど、新しい時代のブランドやマーケティングの在り方について考えさせられたなあと。
あやちゃん:お店からブランドを感じてもらうための尖った体験は大事っすよね。
なんぼー:まさに。それでいうと、今は「1店舗1体験」「1コンセプト1体験」の時代だと思ってて。
あやちゃん:どういうことっすか?
なんぼー:例えば、これ。
📍カッパドキア
— SAORI|SNSと旅行が好き (@sao_0324) May 13, 2023
やりたかったカーペット屋さんでの写真撮影📸🇹🇷ポーズも指示してくれて、ドローンで良い感じに撮ってくれる🚁写真も動画も込みで7,000円くらい💰 pic.twitter.com/sr724Aetrq
あやちゃん:すごい映えてる!こんな写真撮りたいな。
なんぼー:そうでしょ。絨毯屋さんの副業らしいんだけど。絨毯の上でお客さんに寝そべってもらってドローンで写真を撮る体験を売ってるらしいんだよね。
あやちゃん:ほう!良い商売!
なんぼー:でも旅の思い出にやりたくなるじゃん。こういうのってものすごく今っぽくて。”象徴的な体験”がパッケージ化されてるんだよね。「こういう体験ができる」と「こういう写真が撮れる」はセットなんだよ。
あやちゃん:なんかわかる気がするな。
なんぼー:世の中に情報が溢れているからこそ、象徴的な体験とそれを表現する絵がないと広がっていかないんだよね。
あやちゃん:確かに、最近「挽肉と米」っていうお店に行ったんですけど、体験も面白かったし、写真もバッチリ撮れました!このお店もインスタでものすごく人気です!
なんぼー:挽肉と米、お店のデザインから凝ってていいよね。ハンバーグ目の前で焼くのを取り囲んでみんなで見るっていう体験自体も面白いし、それをご飯の上に置いてくれるシズル感。写真だけじゃなくて「動画時代」の強みがありそうだよね。動的な魅力。
あやちゃん:そうなんすよね!体験として面白くて、美味しくて、写真撮れたら、そりゃあ流行りますよ!
なんぼー:ただ、体験系はパクられやすいから気をつけないといけないけどね。
あやちゃん:あれ、こういう話、前にもしたことあるような……。あ!瑠璃光院!
なんぼー:そうだったね。瑠璃光院はやっぱり素晴らしい。シグネチャーな体験がパッケージされていて、広がっているし、それだけじゃない。
あやちゃん:写経!
なんぼー:そうそう。写真を撮りに来た人も満足させるし、さらに瑠璃光院を知ってもらう仕組みがある。別ベクトルの楽しさを提供してるのがいいよね。
あやちゃん:確かに。他にもフォトスポットがあるんじゃなくて、違う楽しみがあるのがいいですね。「あの写真もいいけど、面白い体験があって……」って話が弾みそう!
なんぼー:そうなんだよね。パッケージ化すると、それ以外が霞んじゃうから、発信する内容を削ぎ落とさなきゃいけない。でも、それだけだと真似られてしまうし飽きられる。来た人がさらに楽しめる仕組みを作っているのがいいよね。
あやちゃん:賢いなあ……!
なんぼー:あとはさ、このお店知ってる?
あやちゃん:もちろんです!インスタでもめっちゃ人気っすよね。
なんぼー:ここは最初にこのバズってる海鮮丼が出てくるんだよね。普通、ごはんものって最後だけどさ。でも、量が少なめだからお腹いっぱいにならないし、一番美味しく食べられるときに、魚を肉みたいに食べるシグネチャーな体験ができてものすごくいいなと思ったんだよね。
あやちゃん:確かに!しかも最初に写真を気合入れてとったらご飯に集中できますよね。食べることに夢中になって写真撮るの忘れそうになるから嬉しい(笑)
なんぼー:たしかにね。
あやちゃん:その後のごはんもめっちゃ美味しかったの覚えてます!
なんぼー:固定化したわかりやすい体験をつくることで、目的になる体験を得られることを保証するのが今の時代マストで、その上で飽きさせない体験の広がりをもたせるのが大事だよね。
あやちゃん:「1店舗1体験」「1コンセプト1体験」の時代の競争ポイントも気になる!
なんぼー:そうだね。体験の先に何があるのか、俺もお店に行く度に考えちゃいそうだわ。
あやちゃん:またお店巡り、グルメ巡りがはかどりますね!