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3色の「限界コーデ」が叶えてくれた、鮮やかな日々

白、黒、ベージュのコーデ。これがわたしの基本スタイルで、勝負服だった。


学生時代、4年ほどスターバックスでバイトをしていた。

スタバにした理由は単純で、スターバックスのお姉さんに憧れていたことと、福利厚生で(今もあるのかな?)勉強のために毎週好きな豆を100gもらえるから。

コーヒー好き、一人暮らしの金欠大学生にとっては毎週コーヒー豆100gが手に入るということはかなり大きかった。しかも休憩のたびにドリンク(通称おつドリ)も飲める。欲しいものがいろいろ手に入るうえ、お金までもらえるなんて最高だ。迷うことなく応募した。ちなみに4歳離れた弟も、地元のスタバでバイトをしていた。

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わたしはほぼ朝番専属だったから、朝4時30分に起きて6時30分くらいにシフトに入る。ママさん世代の同僚と昼前まで働き、おつドリ片手に「いってらっしゃーい!」と見送られて大学に行く日々。

当時のスタバのドレスコードは白、黒、ベージュ。もともと黒い服は好きだったけど、少しでも時間と荷物とお金を節約するために、自然とふだんのコーデも黒が多くなった。UNIQLOと無印はその当時、みんなの鉄板だった。

面倒だから、できるだけ着替えずに済む服がいい。白、黒、ベージュという制約があるなかでいかに「バイト上がり感」を出さずに大学に行くかが自分のなかで最重要課題だった。

シフト上がりにつけるアクセサリーを派手にしたり、アウターで色をつけたり、ボリュームのある巻物にしてみたり。

絶対被らないから、海外に行ったときに現地のプチプラを大量調達したり。「それどこで買ったのー?」「かわいいね」って言われるたび心のなかでガッツポーズをしていた。

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そんなスタバが、ドレスコードを改訂したらしい。白、黒、ベージュに加えてグレー、ネイビー、ブラウン、デニムもOKになったそうだ。


正直ちょっとだけ羨ましさをおぼえつつ、あれはあれでよかったぞ、とも思う。

いま考えると、あのときは毎日が「限界コーデ」だった。でも、限られた色味のなかであれこれ考えるのが楽しくて楽しくてしかたなかった。

きっと、あのときの私が人生でいちばんファッションに敏感で、いちばんオシャレだった。ファッションが大好きだって気づいたのはあの時だった。

昨年10月に、アルバイトしていた店舗が閉店した。そうか、あれから10年も経ったんだね。

笑って泣いて、時々怒って、思い出は尽きない。大学デビューをしたわたしに、ファッションのたのしさを教えてくれたのは意外にもアルバイト先だった。

限られた色のなかで、鮮やかな日々を紡ぎ出してくれたあのお店は、間違いなくわたしの青春そのものだった。

みんな元気にしてるかな。

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#ファッションが好き

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