主婦の心得と不得意なこと。ときには喧嘩も必要かな。
いややん。なんか怒ってるやん。
日曜日は朝から町内清掃とこども会の会合があった。
こども会のハロウィンパーティーの準備を一通り済ませて帰宅すると、なぜか夫が、俺様はめちゃくちゃ怒っているというアピールをしてきた。
土曜日が雨だったから部屋干ししていて、そのままになっていた子どもたちの学校の手提げ袋に、給食の白衣と上履きを詰めながら、猛烈に不機嫌なオーラを放ってくる。
怒ってるからってそんな表情なる?!ギャグかよってくらいしかめっつらしてる。
おいおい、なんやこれは。わざとやんなその顔。キレキレやん。
あれか?朝の町内の清掃、代わりに行ってもらったからか?
町内の清掃は、2週間前にやってしまったギックリ腰が全快せず、草ひきなんて出来そうにもないから、夫に代わってもらった。しかもこの時期、蚊もすごいし。
それとも洗濯物を放置してたからか?
今週わたし休みやったのに洗濯物をきちんと片付けていないからか?
まぁだいたいその辺りだろう。
ちょっと考えてみたけど面倒になって、とりあえず夫が不機嫌なのは放っておいて、お腹ぺこぺこの自分と子どもにごはんを与えることにした。
お昼ごはんをつくるにしても、めぼしいものが何もないから、そうめんを茹でて、冷凍の唐揚げをチンして、「ごはんやでー」と全員を集めた。
そうめんと冷凍唐揚げに群がる、子どもとわたし。
そして、何にそこまでキレてるんか、超絶不満そうにそうめんをすする夫。
お腹が落ち着いてきたところで、娘が何か言い始めた。
「さっき、お父さんがお母さんのこと、アイツっていってたよ」
いや〜な空気が流れる。
息子、沈黙。
娘、空気を読まずに続ける。
「なんかお母さんのこと、」
「おまえうっせーんだよ!」
娘の声をさえぎって夫が怒鳴った。
(え?はや!)
関東人のまじギレである。冗談っぽく怒るとか、そういうアソビがない。
そしてマジギレまでの時間があまりにも短い。
瞬間湯沸かし器はわたしの専売特許で、夫にその座を譲る気はないのに、あまりにも早く沸いて驚いた。
これは、相当言われちゃまずいような発言を、怒りのままに子どもたちに浴びせていたんだな。とすぐにわかってしまった。
娘は告げ口しようとして怒鳴られて、大泣きしているし、夫はマジギレ続行中。
そして、そうめんを早々と平らげて、どこかに行ってしまった。
何を言ってたか、気になる。想像はつくけれど、あれほど怒るなんて、きっとよっぽど言われちゃまずいことまで言っていたに違いない。
夫がいなくなり、ここぞとばかりに子どもたちから詳しい情報を聞き出した。
原因はやっぱり、わたしが仕事をやめたことと、家事のこと。
そっちは仕事、辞められて、いいよね。
ていうようなことを、まえに確かに言ってた。
そういう気持ちが根本にある。だから、苛立った。平日の家事の進み具合が、前と変わっていないってことに。
わたしは何をしていたかというと、ひたすら今後のことを考えていた。
そして考えを整理してnoteを書いたり、ブログを書いてみたりしていた。
noteにこれまでの山あり谷あり人生の、谷の、谷底の部分を書いてみたら、ひとつわかったことがあった。
仕事を辞めても、結局毎回舞い戻っている。そしてその理由はいつも、収入がないことへの不安だということ。会計士を辞めたいなら、本当に辞めるなら、別の仕事になることを見出す必要があるのだ。
(この谷底の話は、公開する勇気が出なくてまだ未公開です。)
だから、ずっと考えていた。一日中。普段仕事をするよりも多くの時間を、思考を巡らせることに使ってしまった。仕事でも、韓国ドラマでも、考え事でも、文章を書くことでも、何にしたってわたしは没頭してしまい時間が経つのを忘れてしまう。
要するに、マルチタスクが苦手で、一つのことにのめり込んでしまうのだ。
しかもそれが楽しかったから、家事のことは完全に忘れた。
いつも通り、最低限子どもたちの相手と食事と片付けだけはやって、後は没頭してしまった。新しく踏み出そうとしている世界の方へ。
それを、夫に全否定されてしまった。
気持ちはわからんでもない。でもどこかで、こんな自由な生き方も応援してもらえるんじゃないか、っていう甘い期待をしていた。だからショックだった。
わかっている。仕事がないなら洗濯くらいは完璧にやるべき、わたしもそう思う。
でもね、まだ休みに入って4日、たった4日。
休業を始めた最初の4日間くらい一日中寝て過ごしたって、韓国ドラマの世界から出てこなくなったって、許されるだろうと思っていた。最低限の日常業務はこなしていたし。
でも違った。残念ながら。
洗濯が中途半端だからと怒るとは思っていなかった。読みが甘かった。
そしてそこから、ほぼ喧嘩と話し合い。あっというまに1日が終わってしまった。
ためしに、夫がどんなことをわたしに求めているのか聞いてみた。
我が家は戸建て。都会の住宅に囲まれた狭小地に、欲張って3階建ての家を建てたから、家事の範囲をどう定義するかによって話は大きくかわってくる。
まさかとは思ったが、無理すぎる範囲が対象になっていた。
庭の手入れから、家の隅々の拭き掃除。たとえばそんなこと求むらしい。
まじかよ。いや無理。毎日家事しまくって過ごせってか。
わたしは料理は好きだけど家事は苦手。というか、迫られないとやる気になれない。お客さんが来るとか、年末で大掃除しなきゃとか、義母が泊まりに来るとか。
そうなればやりますよ。
やりますとも。むしろわたしが、夫よりわたしの方が隅々まで気になるし。
でも、いる?それ、家族だけで平和にゆったり過ごす日常に、その家事、いる?
って思ってしまう。
だって気づかないでしょう。埃がなくなっていることすら気付かなくない??
そしてそんなことより、今わたしにはやりたいことがある。
翌日、検証するために、夫が仕事に行っている間に、すごくわかりやすい場所を掃除してみた。ダイニングテーブル上のペンダントライト。
これは正直、わたしが毎日気になっていた。
家を建てる時についてくれたデザイナーさんが勧めてくれた、おしゃれな北欧のペンダントライト。気に入ってはいるけど、えらく低い位置に吊るしてあるから、気をつけないと頭をぶつける。
頭をぶつけるたびに大きく揺れるから、一生懸命つくったごはんに、埃をかぶったおしゃれなライトから埃が降ってきそうで、めちゃくちゃ気になってた。
この油っぽい埃でいっぱいだったペンダントライトを、ピカピカにしてやった。
夫、帰宅。
気づくわけない。こんなに目の前のライトですら気づくわけない。
そうだろ?そんなもんだろ?
てなわけで、
「掃除はわたしのペースでしか致しません」と大門未知子になってやった。
なんか、もうそれでいいらしい。
誰よりも夫は知っているのだ。わたしはほぼ草引きなどしないことを。
まぁ、日曜日ゆっくりしたかったのに朝から町内の掃除から家の家事に追われて、不機嫌になっちゃったんだねー。
と理解して、今回の騒動は幕を閉じた。
夫と大喧嘩をしたことで、今まで仕事で忙しいことを理由に、いろんなことから免責されてきていたことを知った。家事も、相手のために見返りなく何かをしてあげることも。
料理は好きだからやれるけど、それ以外の家事がまるでダメ。
そっか。忙しさを理由に、いろいろ諦めてその上にあぐらをかいてたんだわ。
じゃぁもう一回仕事に逃げよっかな。なんて考えが頭をよぎったから、どうしようもない。
何もかもやる気をなくして、おまけにPTA活動で忙しくて。
文章も全然浮かんでこなくなってしまった。
noteもブログも更新することをやめたら、すぐにiPhoneホットラインが鳴った。
姉だ。え、エスパー?
エスパーは察知していた。発信が途絶えたことと、喧嘩中に息子と電話をしていた甥っ子から、わが家の嵐の通報を受けて、だいたいの流れを読んでいた。
ここまでくると、もはや怖い。
でもありがたい。
エスパーホットラインが繋がって、主婦というもののあり方のレクチャーを受けた。主婦には夫への気遣いが不可欠らしい。これまではわたしが多くの役割を引き取っていたから、どうやら夫が気遣ってくれていたわけで。わたしは大変すぎてそれにすら気づいていなかったわけで。
夫への気遣いが必要なんて、当たり前のことだけど、それすら理解できずにいた自分のこれまでの生き方が恐ろしい。
この先まだまだ何十年と一緒に暮らすのだから、ここで知れてよかった。本当に。
大切にしないといけないことに、またひとつ、気付かされた。
ガッデムな我が家の家事動線についてもエスパーに説明して、天性の手抜きの才能を伝授してもらったから、今日はすこぶるいい感じで家事が進んでいる。
洗濯は完璧。部屋も綺麗。夫の布団も洗濯した。これなら夫も満足だろうよ。
てか、これで許して。
なんか美味しいごはんやおやつ、つくって待ってるからさ。