1 七曜工房の笛~その4(塗り)
笛の表面には塗りを施して、汚れ防止や耐久性、美観性を持たせます。
塗り素材としては、漆を使います。本漆の生漆や色漆を使います。
演奏するときに手や唇に触れる心地良い感触や色艶、耐久性の上から漆に勝るものはないと考えています。またこの漆塗りのもう一つの大切な役割は、管内の塗りにあります。前にも述べたように、塗りによる管内の平滑性が音色等に大きく影響します。
木で作る笛は、竹よりも材表面の平滑性が劣るため、ペーパーがけしただけでは竹のようにはうまく鳴ってくれません。管内に漆を塗り、水研ぎをして、塗り重ねていくにつれ、音が大きく良くなっていきます。
ぼやけていた音色の輪郭がはっきりとし、艶と張りが出てきます。
木管楽器に黒檀や紫檀などの硬質の材が使われるようになってきたのは、
重いキーを装着するための材の強度の必要性からもあるでしょうが、この材表面の平滑性(硬くて重い材程磨けば平滑性が出る)を求めていたからだと思います。当工房ではこの平滑性を漆を使って出せるので、加工し易い少し軟らかめの材が使えているのだと思います。
塗装材の種類としては、漆の他にはカシュ―や植物性オイル、蜜ろうを使います。どれも、素材の色あいをそのまま生かしたい時に使います。