ぬくもり
天女が落としていく羽衣が陽に透かされて流れる風を越え木へと落ちる景色を見ていた
ぬくもりがまだ ある日々のことだった
天女は現れず私はじっとそれを見つめている
夏が過ぎ去りぬくもりさえ脱ぎ去った月が夜を支配し始めると寒くて家へと帰った
蝋燭に火を灯すとあの日々に見た羽衣が舞う姿を思い出しクスクス笑いながら眠りに落ちた
天女がどうやら探し当てたようでその朝私が川辺へ歩けば羽衣の色だけがその森にはなかった
ぬくもりごと脱ぎ去った天女はさぞ寒い思いをし
ぬくもりごと落ちてきた羽衣の日々は暖かく私を吸い込むほどに魅了した
だからいまだに
───────────────────
海月さんへのお題「ハンカチ」よろしく♡
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?