羊は数えられるのか数えられないのか
眠れない時は羊を数えるとよい。
一度は誰しもこの突拍子もない寓話を信じ、実際にやってみたことがあるのではないでしょうか?
でも、大体寝れません(笑)
私も寝れない時、どなたか顔も知らぬ人が、羊を数えてくれる音声を聞くことがあります。
でもそれって、単純作業をしているとついつい眠くなってしまう、というよりかは、その人のささやき声が心地よくって眠りに誘われるんじゃないかなーと思います。(頑固)
ちなみに、眠れない時に羊を数えるという文化は、日本で始まったものではないみたいです。
考えてみれば当たり前ですよね。
日本には元々羊はいなかったそうですから。
そういった寓話の中に羊がでてくること事態、ちょっと違和感があります。
では、もしもそういう文化が日本発祥だとしたら、いったい何を数えていたんでしょうねえ。
そういった妄想をしているうちに、私はつぎの朝をむかえます。
さて、今回からは英語の『名詞』について話をしていきたいと思います。
日本語では猫は猫ですし、ビールはビール、愛は愛、のように、数えられるものなのか、数えられないものなのか、について特にセンシティブになる必要はないですね。
いっぽう英語では『a cat / five cats』、『a bottle of beer / two bottles of beer』、『love / love』のように、これらが数えられるものなのか、数えられないものなのか、をいちいち考える必要があります。
あっ、いま少し面倒だと思いましたでしょ?
ですよね、ハッキリ言って面倒くさいルールです。
だって日本語にはないルールですからね。
でもポジティブに考えるとシンプルで、合理的なルールでもあります。
次の事実を知れば、あなたは自分が日本語話者であることに、感謝することになるかもしれません。
猫を一匹、二匹。
牛を一頭、二頭。
ビールを一本、二本。
カクテルを一杯、二杯。
愛を一つ、二つなどなど。
日本語を勉強している外国人にとっては、モノを数えるときにそれぞれに対応するすべての単位を憶える、という気の遠くなるような作業が必要になるんですね。
私の知り合いのアメリカ人も、日本語のこのルールを耳にしたとたん、日本語習得を諦めました(笑)
その点英語は、少なくとも数えられるか、数えられないかさえ考えればいい。
そう考えると、なんだか出来そうな気がしてきませんか。
もちろん、そんな単純な話で終わらないこともあります。
数えているか、数えていないかで異なった意味を表わす、といった場合もあるからです。
それは段階を踏んでお話していくとして、まずは基本の数えられるか、数えられないか、からはじめましょう!
【具体的に決まったカタチがあるのか、ないのか】
数えられるか、数えられないかは通常、人間的な感覚を信じればだいたい区別することが出来るでしょう。
ここでは、数えられる、数えられないをタイプするのがいちいち面倒なので、これからは『数えられる=可算』、『数えられない=不可算』として、お話を進めていきます。
はじめに取り上げた cat (猫) や cows (牛) には具体的なカタチがあり、くわえて、きちんとした境界線があるので、可算名詞だと言えます。
一方、beer (ビール) や love (愛) にはそういった具体的に決まったカタチがありません。
ビールや水などの液体は、流動的なもので、カタチが決まっていません。
他にも paper (紙) や copper (銅) などの素材は、ある一定のカタチが頭に思い浮かんでくるワケではないでしょう。
sand (砂)、rice (お米) などのつぶつぶのものは、どうして数えないのかというと、基本的には数えるのが大変だからです!(笑)
そして、love (愛)や beauty (美) などの概念、happiness (幸福) や fear (恐れ) などの感情的なものは、目に見えないもの。
これらはすべて不可算の名詞、と呼ばれるものです。
ここでは日本人が数えてしまいがちな、不可算の名詞を pick up しておきましょう。
【何かの総称として使われるもの】
furniture (家具) ⇒ chair (椅子)、desk (机)、shelf (棚)
clothing (衣料品) ⇒ jacket (ジャケット)、pants (パンツ)、shirt (シャツ)
jewelry (宝飾品) ⇒ jewel / gem (宝石)
machinery (機械類) ⇒ machine (機械)
money / cash (お金 / 現金) ⇒ bill / note (お札)、coin (硬貨)
(お金、現金は総称。お札や硬貨は物質なので可算。)
baggage / luggage (手荷物) ⇒ suitcase (スーツケース)、bag (バッグ)
food / fruit (食べ物 / 果物) ⇒ apple (りんご)、cherry (さくらんぼ)
このカテゴリーでは矢印の左側が総称、で右側が具体的なものになっています。
左側が不可算、右側が可算になるわけです。
【具体的なカタチを持たないもの、指さしで数えられないもの (抽象的)】
insurance (保険)、software (ソフトウェア)、homework (宿題)、help (助け)
knowledge (知識)、information (情報)、advice (助言)、evidence (証拠)、news (ニュース)
behavior (振る舞い)、health (健康) 、progress (進歩)、fun (楽しみ)、weather (天気)
ほら、どれも掴みどころのない、漠然とした言葉でしょう?
具体的なカタチを想像してみてちょうだい、と言われても中々難しいです。
【可算名詞、不可算名詞の記号的特徴】
では可算名詞、不可算名詞を使うときに注意しなければならないことを、以下にまとめてみました。
単純ですが、慣れるまでは雰囲気でやらず、文章を書くときは一個一個丁寧に考えてあげてください。
①可算名詞 (具体的なカタチを持っていて、数えられるモノ) は a[an] が付いたり、複数形になる。
I have hedgehogs. (ハリネズミ飼ってる) *おそらく彼はブリーダー。理由は後日。
I have a hedgehog. (ハリネズミ一匹飼ってる)
いっぽう、不可算名詞 (具体的なカタチを持たず、数えられないモノ) には付かないし、複数形にはなりません。
☓I need to drink waters.
☓I need to drink a water.
②可算名詞は個数、不可算名詞は量を意識するので、多い、少ないの表し方が違います。
I have many hedgehogs. (ハリネズミたくさん飼ってる) *数がたくさん
I have a few hedgehogs. (ハリネズミ数匹飼ってる) *数が少し
I want to drink much water. (たくさん水飲みたい) *量がたくさん
I want to drink a little water. (少し水が飲みたい) *量が少し
③カタチをはっきりしなければならず、可算名詞は一個のとき、a や the、some などの限定詞と一緒に使わなければならない。
☓I have hedgehog. (ハリネズミの肉を持っている) *これについては後で解説
I have water. (水あるよ)
ここらへんは少しルールを紹介しただけなので、退屈だったでしょう。
でも大切なルールです。
だから英語をスマートに使いたいと願うならば必須なので、頑張って私と一緒に覚えましょう☆
では、冒頭の『羊は数えられるのか数えられないのか』について触れ、今回のレッスンを終わりにしたいと思います。
【数えられるのに羊がSをもたない草食系ドMな理由】
さて、英語で羊を数えるときは、実際にはこうなるのを知っていましたか。
one sheep, two sheep, three sheep, four sheep...
ninety-eight sheep, ninety-nine sheep, a hundred sheep...zzz...
「あれ?ちょっとまってななびさん!どうして sheep は数えられるのに、sheeps にならないの!?」
ふふふ、よく気づきました。
そうなんです、英語では sheep の複数形は、単数形と一緒なんですよ。
この違和感はあって当然だと思います。
なにしろ、大元のルールに真っ向から背いていますからね。
ここで私が今日のレッスンの冒頭に立てた、隠れフラグに戻りましょう。
『羊を数える風習は、日本には無かった。』
これがヒントになります。
言語と文化は、とても密接に結びついています。
オーストラリアやニュージーランドでは、羊の数のほうがむしろ人口よりも多いくらいです。
私たち日本人よりも、羊はもっともっと身近な存在です。
羊は群れを作る動物なのは知っていますよね。
いつも何かとゴチャゴチャと集まっていて、生活している。
それを英語話者は「ええい!もうまとめて考えてしまえ!」としてしまったのです。
同じように fish (魚) も「ええい!もうまと(以下略)」となってしまったので、fish の複数形も、fishになってしまいました。(deerも一緒です。)
反対に、私達にとって一粒一粒数えられるハズのお米は、どうして英語だと基本的には不可算名詞になるのでしょう?
きっとお米と文化の関係性が、言語にあらわれたのではないかと思います。
外国でも今ではポピュラーですが、昔はお米と言えば、身近な食べ物ではなかったでしょう。
そんな彼ら、彼女らにしてみれば、お米を一粒単位で考える習慣は無かったといえます。
一方、日本人はお米を主食として、文化を育んできました。
大事な食料でしたし「一粒一粒残さず食べなさい!」などと、私は両親にしかられたりすることもありました。
お米は日本人の文化と密接に結びついています。
そのため、稲 (作物の状態)、米、ご飯 (炊いて食べれるようになった状態)など、お米を表わす単語は無数にあります。
でも、英語ではそれらを表わす単語はただ一つ、『rice』のみです。
面白いですよね。
そのモノが、その国や文化にどのくらい根付いたものなのか、で言語の様式やルールもさまざまに変わっていくのです。
このように、言語を知るとその国の風土や習慣が、すこしですが、見えてくる時があります。
そういう時間は、私にとってかけがえのない瞬間だと言えます。
私の文章を通し、その国で暮らしている人達の感覚に触れることが出来て、みなさんも、ちょっぴりぞくぞくしていただけたのなら、この上なき『happiness』です。
次回のテーマは……続いて可算・不可算を考えるための臨機応変さ、についてお話いたしましょう。
では、Now very thirsty. I gotta drink much water!
See you very soon, my sheep!☆ (またね、私のひつじちゃんたち!)
ななびでした!
―――ななびのちっちゃなあとがき―――
今日はこれから、執筆についてのクラスがありまして……それに間に合うように今日のレッスンを一生懸命書き下ろしました(*´ェ`*)
執筆クラスは長丁場ですが、みなさんにもっと読みやすい文章を提供したいと思っていますので、ひとがんばりしてきますね☆
さて英語に関してのご質問があれば、スキをポチッと押していただいて、コメント欄へ情熱的に書き込んでください!もちろん、何気ない雑談でもOKです☆
なぜなら新しい課題が見つかること、すなわち、みなさんの困っていることにお役に立てるのが、私にとって一番の喜びだからです!(*´ェ`*)
最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。この記事は投げ銭制です。もしもこの記事を読んで、何かひとつでも得るものがありましたら、心ばかりのお気持ちを。