将来の夢みたいなやつ

幼稚園の誕生日会、小学校の作文や卒業文集。「大人になったら になりたい」と言わされる場面はけっこうあって、私はそれが毎回毎回嫌だった。

本音をいえば「お母さん」になりたいのだが、およめさんとかお母さんとか言うと物議を醸しかねないのは子供ながらに気づいていた。賛否を巻き起すまではいかずとも、そんなことを子供に言わせた社会について誰かが「モヤる」のが想像できる。私のお母さんは専業主婦だったけど、学校の先生が女なら先生は働く女なわけで、母との間に溝があることは薄々わかるものだ。実際5年生の時の担任は、誰かが「しゅふ」というたびに「ふ」が「婦」か「夫」かわからないと注釈をつけていた。

あれからまあ色々あって、子供を持つ可能性も潰えて、第二希望は探せど試せどしっくりこなくて、まあ人生どうにかなるよ、どれだけ生き延びても最後は死ぬしって割り切った。そういえばお母さんになりたいって書けなくて、私はなんて書いたのだったかな、と母と電話で話したら、「アンタ、うさぎになりたいって言って笑われてたよ」だって。

確かに、うさぎにはなりたい。

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