テレ東ドラマシナリオ/majiでキスする5秒前 #100文字ドラマ
あらすじ
2月14日、バレンタインデー。
チョコレート専門店を見向きもせず、赤いピンヒールで颯爽と通り過ぎていく美琴(21)。 いつもはメイクも怠るひどい彼女が行き着いた先は、大学の同級生、功太(21)の家。
功太の家はシェアハウス。 しかし今日は運よく誰もいない。 いつもと雰囲気が違う可愛い美琴と、美琴が大好きなのに奥手な功太。 良い感じのムードの最中、大学の先輩で功太の元カノ、星南(22)が酔っぱらって帰ってくる。
シェアハウスの住人であり、年長者の深雪(30)は、玄関外で友人の野田(32)と話している。 そこにシェアハウスの最年少住人の柊人(20)がテンション高くスキップで帰ってくる。
深雪に野田が突然の告白。 それを目撃し、自身も深雪が好きだと告白する柊人。 シェアハウス内では、酔っ払い星南が功太にいちゃつく。 それを阻止することなく傍からみている美琴。
刻一刻とバレンタインデーが終わっていく。
それぞれの複雑な時間。 10分前、そしてあと5秒。
告白に応える深雪に待ったをかけた柊人。 思わぬ展開に戸惑う深雪と野田。 初めて入る功太の部屋に戸惑う美琴、酔っ払いの星南が寝ている横に座る功太。 残された時間で……誰とmajiでkissをする?
登場人物
美琴(21)女子大生
功太(21)美琴の同級生
星南(22)功太の元カノ
深雪(30)?
野田(32)深雪の友人
柊人(20)大学生
シナリオ
◯チョコレート専門店・前(夜)
巻き髪に、白いふわふわのコート、赤いピンヒールを履いた美琴が颯 爽と通り過ぎる。
◯シェアハウス・リビング(夜)
美琴がソファーに座り、携帯の画面をちらっとみる。画面には2月14日と表記されている。 そこに功太がココアを持って美琴の横に座る。
功太「あのさ」
美琴「ん?」
功太「今日なんかいつもと違くね?」
美琴「そ、そう?」
功太「うん」
功太、ココアを一気に飲み、むせる。
美琴「大丈夫?」
功太「あ、う、うん。 今日さ、誰も居なくて。 あんまこういうことないんだけどさ」
美琴「そ、そうなんだ……」
美琴と功太、恐る恐るお互いをみる。 美琴、功太のほうをみて、目をつむる。 半目になっていて、功太が若干笑っている。
扉を強く閉める音。 動揺して美琴が髪を直す。
酔っぱらった星南が入ってくる。
星南「ただいまぁー」
功太「星南、また酔ってんのか?」
星南「んー?」
功太「もうオレの部屋で寝るのやめろよ?」
星南「はーい」
星南、ふらふらと功太の部屋のほうへ歩いていく。
功太「(星南をみながら)ったく……」
美琴「(功太のほうをみて)……」
功太「(美琴をチラッとみて)あ、ゴメン」
美琴「あ、ううん」
◯同・玄関外(夜)
深雪と野田が向かい合って話をしている。
深雪「じゃあね」
野田「あ、あのさ」
深雪「何?」
そこにスキップをして帰ってきた柊人、スキップを止めて2人を隠れて見ている。
野田「付き合わないか?」
深雪「え?」
野田「あ、いや、ゴメン」
深雪「何で謝んの」
野田「あ、いや、うーん」
そこに高速スキップで柊人が入り込む。
柊人「あのー!」
深雪「あっ」
柊人「僕も好きなんですけどー?」
深雪・野田「えっ?」
柊人「深雪さん、付き合ってくれますよね?」
深雪「ちょ、ちょっと待ってよ!」
◯同・内(夜)
美琴の横で功太にいちゃつく星南。
功太「おい、早く部屋で寝ろ」
星南「えーいいじゃーん」
功太「(美琴に)なんかごめんな」
美琴「う、うん」
美琴が携帯をみる。携帯の画面は、2月14日23:50と表記されている。
美琴「あ、あのさ」
功太「ん?」
美琴「こ、功太の部屋、みてみたいなぁ」
功太「あれ? 入ったことなかった?」
美琴「うん」
功太「そっか、じゃあコイツ(星南)置いて行こ」
美琴「いいの?」
功太「うん」
◯同・玄関外(夜)
深雪が頭を抱えている。 それを不安そうに見守る野田、笑顔で見守る柊人。
深雪「ゴメン、私さ……」
野田「え?」
柊人「そうなんすか?」
深雪「うん」
◯同・功太の部屋(夜)
美琴、功太が入ってくる。
美琴「結構広いんだね」
功太「まぁな」
置き時計の秒針の音だけが聞こえる。時刻は23:55を指している。
美琴「あのさ」
功太「うん」
美琴「私と……」
ドアをドンドンと叩く音。 酔っ払いの星南が入ってくる。 と、ベッドに転がり込む。
星南「(ニヤニヤしながら)うーん」
功太「おい、寝るなって言ったろ?」
星南「いいじゃーん」
星南の横に功太が座る。
功太「で、なんだっけ?」
美琴「えっ?」
……続く