日常
暗黒と呼ぶ学生時代を今、思い出してみても、ロクな思い出がない。勉強も、部活も、何も打ち込んでこなかった。おかげさまで今もその名残が残っていて、何をやっても中途半端です。日本社会にこんな大人が、申し訳が立ちません。
そんなわたしが高校の時、一緒に過ごしていたある人の話をします。その人は、唯一同じ中学だったということしか共通点がなく、そこまで深い関係ではなかったけど。あるクラスメイトを介して、いわば一人挟んでの関係というか。仲が良いとか、そんな風じゃなく、まぁ同中だしみたいな。
その人をBさんと呼びましょう。
Bさんは、おとなしい人で。まぁわたしもその雰囲気の人間だったので、波長が合うなというか。とにかく友達の友達感は否めないですけど。でも今となっては、こんなヤツと距離を縮めてくれた良い人だったなと。向こうがどう思ってたかは分かりませんけど、嫌だったらノートを貸してくれたりしなかっただろうな、と、そう思ってます。
Bさんと同中という話もしましたが、もちろん帰りのバスも一緒で。静かに黙って何にも話さず、ふたりで髪をいじって待ちながら、たまにBさんがふいにくれる小さなお菓子が美味しくて、あのお菓子をみると、未だに思い出します。(あ、貧乏少女ではないので、ちゃんと買えますけど。)ひとつだけ分けてくれるそのお菓子が、とても嬉しいというか。
イルカが餌もらえるみたいな……認められた感じがしてました。
今までBさんの話をしていましたが、Bさんのお友達であるAさん。この方がBさんとも、わたしとも繋がっているので、すべてのはじまりの意味で、Aさんとここでは呼ばせていただきます。もとはといえばAさんが声をかけてくれたことが、わたしの高校生活のはじまりでした。そこから一緒に昼食をとか、グループ行動したりとか、とにかくAさんからスタートしたことばかりで、今となっては感謝しかないですね。
とにもかくにも、Aさん、Bさんとは穏やかな関係が、静かな日常が続いていたんです。ところが、わたしがあまりに酷すぎたんですね。他のクラスメイトとトラブルになってしまい、もう学校行きたくないみたいになって、不登校になり、最終的に転校を選び、手紙でしたためて終わりました。
たまにAさん、Bさんどうしているかなぁと。そして、あの時のまま、あの関係が続いていたら……転校しなければ……と、思うこともあります。
じゃあなんで転校したの?って話になりますが、それは色々あって、とても2000字の表現では難しいので省かせていただきます。
よく学生時代のお友達、なんて言ったりしていますが、わたしにそのような友達があまり居ません。というか、自分から切り捨ててしまったんだなと思います。AさんBさん以外にも、たくさんいい人が居て、今でも話せたんじゃないかと後悔もします。ですけど、今まで来てしまったので、もう取り戻せないですね。
転校してしばらくした頃、実はBさんとある場所でばったり会ったことがあります。近くに住んでいるのでいつかは会うかなと思っていたし、場所も場所でしたが、そのときの表情があの時と変わってなくて、あー今からでも話せるかなと思ったんですが、何故か引け目があって、話せませんでした。向こうもなんて話して良いのか、わかんないと思うので、今となってはよかったのかなって思いますけど。
友達はたくさん居なくて良いとか、居た方がいいとか、色々価値観はありますけど、個人的には友達でなくても、何でも話せる相手ができればいいのかなって人なので……っていう間に思うのが、やはり友達ほしかったんだなと。
ずーっと友達は居たとは思うんです。でも、誰とも話せない高校生活を送るはずが、AさんやBさんのおかげで開けたことが嬉しかったし、ちゃんとそれに応えたかった従順な自分がいて。それを自分から何も言わずに行ってしまったのがやっぱり引っかかってるのか、それとも、離れてみて単純に興味が出たからなのか、まぁその辺はこういうひねくれ者なので分かりませんが。少なからず、あの関係は続けたかったのかもしれません。
現在、それなりに人とメールとかをし合ってはいますが、これも相手がどう思っているかは聞いたことないので分かりませんけど、多分嫌だったらメールしてくれないだろうなと思っています。
短い、ほんの少しですけどね。帰りのバスの待ち時間とか、昼食の時間とか、何でも無い時間って今もあるにはあるんですけど、あの時の、学生というフィルターをかざした状態の時間って、とても貴重だったなと思います。
日常って振り返ると、すごくサーッと風みたく過ぎ去っていくんですが、よーく思い出してみると意外と海のように深くて驚きます。その中で、時間を共有できる人が、共有してくれた人が居たって言うのは、紛れもない事実で、その時をもっと感じて生きたかったなと思うほど、今流行の言葉で言う「エモい」瞬間だったなと思います。(使い方は合ってないかもですが。)
#2000字のドラマ