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フジテレビのコンプライアンス機能不全
フジテレビのコンプライアンス推進室の室長が以下のような発言をしました。
「なぜ、相談してくれなかったのか?」
つまりフジテレビの上層部はコンプライアンス推進室に相談せず、あの「なんちゃって記者会見」に臨んだのです。
さて、そんなわけでフジテレビのコンプライアンス問題についてです。
重役のコンプライアンス不在システム:重役にあらざれば人にあらずの精神
フジテレビは以下の画像のようなコンプライアンス制度を構築している。
![](https://assets.st-note.com/img/1737822625-tGSTKgz8MZLuNd312XC5U7JI.png?width=1200)
ここではコンプライアンスの相談窓口が存在すること、フジテレビで働く社員・スタッフを対象に毎年、eラーニング研修を実施していること、ハラスメント防止研修を「局長職社員」を対象に行っている
としている。
それで、重役や上役にはしたの?
これに突きます。
社員にはコンプライアンスを求めておいて、当の代表者たちには「何も求められていなかった」ことがわかります。
自民党と繋がりの深い日枝
渦中の登場人物を今一度整理してみましょう
日枝 久
(ひえだ ひさし):フジサンケイグループ代表、株式会社フジテレビジョン取締役相談役、株式会社フジ・メディア・ホールディングス取締役相談役。安倍晋三とは度々会食し、夏季休暇には連日共に山梨県でゴルフをするなど緊密な関係にあった。安倍はフジテレビやニッポン放送の番組に多数出演し、産経新聞本紙・僚紙の独占インタビューにも積極的に応じていた。安倍の甥にあたる岸信千世は、フジテレビ報道局員として勤務していた。他にも加藤六月、産経新聞社出身の森喜朗とは盟友関係にあるなど、政財界に幅広い人脈を有している。
→政界との繋がりが強固である。自民党や総務省がフジテレビ停波に消極的な理由であると推察される
港 浩一
(みなと こういち):フジテレビジョン代表取締役社長。『週刊文春』によると、1980~90年代にバラエティー番組の制作を担当していた頃、女性アナが同席する食事会を定番化させたという。社長に就任した2022年より、年一回の社内表彰として「フジテレビ港賞」を設けており、優れた企画を提案した社員に対して贈られている。「最優秀賞」を始めとして、社長と食事を共にする「ディナー賞」もある。
→上納システムが存在した場合、港氏が率先してシンジケートを構築した可能性がある。
嘉納 修治
(かのう しゅうじ):フジ・メディア・ホールディングス代表取締役会長、フジテレビジョン代表取締役会長。前関西テレビ放送代表取締役会長。
→現状、関与の度合いが不明である
金光 修
(かねみつ おさむ):フジ・メディア・ホールディングス代表取締役社長、フジテレビジョン取締役。2021年4月、フジ・メディア・ホールディングスの外資規制法問題で、金光は衆議院総務委員会に参考人として出席し、「多くの方々にご心配をおかけしたことを深くおわび申し上げる」と謝罪している。2022年6月、フジテレビ社長を港浩一に譲り、フジ・メディア・ホールディングス社長に専念。フジテレビには取締役として留任。
→つまり、フジテレビの体制構築の一役を担っていた。
→港のシンジケートシステムの土台になった可能性がある。
フジテレビのコンプライアンス規約
さて、そんなフジテレビのコンプライアンスをつぶさにチェックしてみましょう。
基本理念違反
<基本理念>
(1) 私たちは、メディアの持つ社会的な影響力の大きさを自覚し、社会や視聴者の信頼を広く得られるように、社会情勢の変化にも適時に対応してその責任を果たしていきます。
(2) 私たちは、適確で信頼できる情報の発信と健全で良識ある番組・コンテンツの提供を行い、誰もが安全で心身ともに豊かな生活を送ることができる社会の実現に努めます。
(3) 私たちは、すべての人の人権を尊重し、法令を遵守し、高い倫理観の下、本ガイドラインに基づいた事業活動を行うことで、公平で平和な自由社会を守り、人それぞれの価値観を大切にする、人にやさしい企業であることに努めます。
皮肉かな?
基本理念は何一つ守られていないことが分かります。
まず「メディアの持つ社会的な影響力の大きさ」を自覚できていません。テレビの威力は大きく、週刊誌報道に追認するような形での報道を繰り返したマスコミ全体の責任でもあります。
「社会や視聴者の信頼を広く得られる」ということも、今回のような視聴者を侮辱した「無責任な」記者会見を実施した時点で失っている。
「適確で信頼できる情報の発信と健全で良識ある番組・コンテンツの提供」も全くできていない。そもそも情報番組という物見遊山な番組を提供している時点で適格でもなければ信頼性も、健全でも良識もない。
「誰もが安全で心身ともに豊かな生活を送ることができる社会の実現」ではなく、人々を分断に追いやる一役を担った。
「すべての人の人権を尊重」は、できていません。女性の人権に配慮できない企業がすべての人の人権を尊重できているはずがありません。
ゆえに「高い倫理観」もありません。
規則や制度は「基本理念」に基づいてその後の指針や規則、罰則を規定します。こうした基本理念が「皮肉」に聞こえるようでは、その企業のコンプライアンスは推進できていません。
行動指針違反
<行動指針>
1.社会的責任
(1) 私たちは、社会の公器としての自覚及び放送人としての使命を胸に、国民の知る権利に応え、言論・表現の自由を守り、公平公正で信頼できる情報を発信し、社会に求められる責任を果たします。
(2) 私たちは、事業活動を通じて、誰一人取り残されない包摂的な社会の実現を目指し、ジェンダー平等の実現や、その他のダイバーシティに関する施策についても積極的に進めていきます。
(3) 私たちは、持続可能な社会の実現のために、事業活動による環境への負荷を低減するよう自ら積極的に取り組むとともに、地球環境保全のための啓発活動を支援します。
(4) 私たちは、事業活動を通じて、文化、スポーツ、教育の発展を図るとともに、その他の社会貢献活動にも積極的に取り組み、健全な社会の実現に努めます。
2.人権の尊重
(1) 私たちは、放送する番組及び事業活動を通じて、多様な価値観を重んじ、人権を尊重します。
(2) 私たちは、人権侵害行為や不当な差別を許さず、フジテレビの事業活動により影響を受けるすべてのステークホルダー(取引先をはじめとする関係者、取材対象者等を含む。以下同じ。)の人権が侵害されることがないよう、最善を尽くします。
(3) 私たちは、従業員やその他のステークホルダーから、人権侵害に関する情報提供や相談を受けた場合には、真摯に耳を傾け、適切に調査し、必要な対策を速やかに講じます。
(4) 私たちは、自らの事業活動において、何らかの人権侵害行為が行われた可能性のあることが判明した場合には、速やかに誠実に対応し、必要な検証と対策を行います。
(5) 私たちは、働く者ひとりひとりの人権を尊重し、不当な差別やハラスメントのない、安全で自由闊達な職場環境を大切にします。また、ひとりひとりが生き生きと働くことのできる企業であることで、個人やチームが最大限のパフォーマンスを上げられる状態を目指します。
社会的責任の中では、「事業活動を通じて、誰一人取り残されない包摂的な社会の実現を目指し、ジェンダー平等の実現や、その他のダイバーシティに関する施策についても積極的に進めていきます」を守れていません。
女性社員に対しての態度が人権侵害であるならば、このような責任を果たせる企業あるとはいえません。
「事業活動を通じて、文化、スポーツ、教育の発展を図るとともに、その他の社会貢献活動にも積極的に取り組み、健全な社会の実現に努めます」も守れていません。
そもそも社が不健全な状態であれば、どの口が云うのでしょうか?問われます。
人権の尊重の中ではすべてが現状とひどく乖離しています。
ステークホルダーとの不健全な関係?
4.ステークホルダーとの健全な関係
(1) 私たちは、すべてのステークホルダーと適切な意思疎通を図りながら健全な関係を構築します。
(2) 私たちは、独占禁止法、下請法などの法令並びに取引先との契約を遵守し、公正、透明、自由な取引を行います。
(3) 私たちは、取引先との間で、社会通念上不適切な接待、贈答、その他経済的利益の授受を行わず、常に社会規範に即した行動に努めます。
(4) 私たちは、公務員またはこれに準ずる立場の人たちに対して不正な接待や贈答、利益供与を行いません。
(5) 私たちは、反社会的な団体及び個人に対していかなる名目での利益供与も行いません。
このルールに関して、日枝氏はあてはまらない可能性があります。彼は自民党議員、とりわけ清話会系の議員との密接なつながりがあり、特に安部一族の中に社員がいるという点も非常に気がかりな点です。
日枝氏並びにフジテレビには、これらステークホルダーとの関係性についても説明責任が求められます。
総務省OBとの蜜月
総務省の天下り先の一つが、フジテレビだからです😰
— 澁井 幸平(K-SHIBUI) (@koheinet608) January 15, 2025
菅政権の時の内閣広報官を務めていた山田真貴子氏/総務官僚は、
今、フジ・メディア・ホールディングス社外取締役/フジテレビジョン社外取締役です。
旧姓/戸籍名の吉田真貴子に変えている所が、さすが元官僚だなと思う。… https://t.co/01ygiI5jv9 pic.twitter.com/ZgZDioF05P
菅政権の時、内閣広報官を務め、自身は「飲み会を絶対に断らない女」だとアピっていた山田真貴子氏が、フジ・メディア・ホールディングスの取締役に就任することが分かりました。高額接待で批判を浴びた総務官僚が所管先のテレビ局に天下り。https://t.co/NJwygrnmLM #日刊ゲンダイDIGITAL #山田真貴子
— 日刊ゲンダイDIGITAL (@nikkan_gendai) May 17, 2024
この総務省官僚のフジテレビ再就職にあたっては、自らの地位を乱用して自身の未来予想図を着々と描いていったという実態があります。
つまり、総務省は「フジテレビに限っては停波を騙れない」という呆れた事情があります。再就職がなくなりますからね。
また、以下のフローも可能性として挙げられます。つまり「天下りではない」と言い張れる実績作りをする狡猾な官僚の実体があります。
![](https://assets.st-note.com/img/1737825377-GdYLENK8Rs91hnvcCpOeD5H6.png?width=1200)
第一に、関連企業に再就職し、一定期間そこに籍を置くと、天下りには見えません。なぜならテレビ局大手C企業よりも規模が小さく、影響力がないからです。そしてその後、転職してテレビ局Cに転職すると、天下りのようには見えません。
従来はテレビ局に直接就職し、テレビ局関連企業Dに出向させる、あるいは重役に据えるというケースが多い?ように思えます。
以上のようにテレビ局はもはや悪徳官僚の巣窟になっている可能性もあるのです。今回のフジテレビを機会に、テレビ局の官僚化を破壊しなければなりません。
また、この問題は単純に日枝氏に退任を求める話には止まりません。フジテレビという組織体の問題です。
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