古代メキシコ展 テオティワカンとはなんぞや
今回は古く謎に包まれた都市テオティワカンについてです。マヤ、アステカは日本でも耳にしますがテオティワカンは馴染みがないですよね?
しかしながら造形物のセンスの高さは圧倒的でした。見えないものを形にする力が飛び抜けて高く、世界観を強く明確に共有していたことが伝わります。それではまずテオティワカンについて簡単に説明していきましょう。
最盛期にはメソアメリカ全域に影響力のあった巨大宗教都市とされ、発見したアステカ人により神々の都市(テオティワカン)と名付けられました。
都市の中心には長さ2.5km、幅40mにも及ぶ大通りと巨大な3つのピラミッドが配置されています。全体像はこんな感じですね。
大通りやピラミッドの名称はアステカ人が発見したときにつけられたもので、何らかの神を祀っていたとされていますが詳しいことはわかっていません。なかでも太陽のピラミッドは世界で3番目の大きさで、登れるピラミッドとしては世界最大となっています。
都市全体のサイズ感でいくと20㎢、渋谷区が15㎢なのでめちゃめちゃ広いです。巨大なピラミッドが三つもあり祭儀用に使われていたことから、確固たる世界観を持った宗教都市というのがわかります。
この世界観を共有して協力し合う行為は、人間が持つ最も根源的かつ特徴的な能力のひとつとされており、ユヴァル・ノア・ハラリの著書を代表に様々な書籍で触れられています。答えのない脅威を目の前にするとそれらを解釈する物語を作り、みんなで信じて大多数の協力関係を作ることができるというわけですね。この能力のおかげで我々サピエンスは他の人類種のなかで唯一生き残り発展することができたそうです。
はてさて、そんな太陽のピラミッドから発掘されたのがこの「死のディスク」となります。この展示物はかなり大きいので目の当たりにすると驚かれるかと思います。
モチーフは太陽の死つまり日没を表しているとされています。テオティワカンの世界観では日没は太陽の死、日の出は再生と考えられていたそうな。
個人的には骸骨のデザインにやられてしまいました。洗練されたブランドロゴにもみえますね。
続いて巨大な宗教都市ならではの展示物をご紹介します。ピラミッドに祀られていた神は残念ながら分かっていませんが、多神教であったテオティワカンには様々なバリエーションが存在しています。なかでも重要視されている神がこちら。嵐の神です。
メソアメリカ文明は四大文明と異なり、近くに大河がありませんでした。そのため大地に溜まった雨水の利用は生命維持や主食のトウモロコシを育てる農業を営む上で重要だったのでしょう。2枚目の壁画にもトウモロコシを持った様子が描かれていました。嵐の神以外にも様々なバリエーションの神様がいるのでぜひ会場でご覧になってください。
最後に、テオティワカン関連の展示物はその造形センスに圧倒されてしまうのですが、なかでもこいつは凄いと思ったのが香炉です。
儀式用のものと推察されますが単に香りを漂わせていたのか、他の古代文化にあるように幻覚作用を用いて神託としたのかは謎です。しかし一つの造形物に様々な要素が盛り込まれ、何かの物語を伝えているようにも見える佇まいや、細部まで行き届いた造形の繊細さは一見の価値ありです。
以上が謎が謎を呼ぶテオティワカンの紹介となります。他にもたくさんの素晴らしい展示物が並んでいるのでぜひ直接観て楽しんでください!
最後まで読んでいただきありがとうございました!