『Dragon's Dogma(ドラゴンズドグマ) / NETFLIX』復讐の末に得たものは絶望
かつてブログに書きなぐってそのまま下書きにぶちこまれた記事があったので、それをここに書き連ねておこう。
NETFLIXオリジナルの『Dragon's Dogma / ドラゴンズドグマ)』を全話観たので感想を書いていきます。
本編のネタバレを含むのでまだ観ていない人は注意してください。
ちなみに原作は未プレイです。
Dragon's Dogma / ドラゴンズドグマってなに?
ドラゴンズドグマはカプコンから発売されたゲームシリーズで、シリーズ累計530万本を誇る大人気作品です(2020年6月30日時点)。
自分はやったことがないですが、剣や魔法などが主となるファンタジーの世界を楽しむオープンワールドゲームで、俗にいうハイファンタジーというジャンルですね。
それをもとに作られたのが今回のネットフリックス版ドラゴンズドグマです。
ゲーム版とは世界観などの設定は同じだが、キャラとストーリー展開はオリジナルになっています。
原作未プレイなので調べたところ、おおむねそうみたいです。
あらすじ
下に公式Xを載せましたが、右側の男性が主人公イーサンで、左側の女性がイーサンに付き従うポーン(従者のようなもの)であるハンナです。
ストーリー展開は上のあらすじのとおりですが、もう少し詳しくまとめておきました。
全話観た感想
世界観について
世界観についてですが、結構がっつりモンスターが出るんだなと思いましたね。
最初は、ドラゴンなんて100年くらい出たことないとか、イーサンが狼に囲まれて大ピンチとかやっていたのでてっきり人間とドラゴンくらいしか出ないものだと思っていました。
実際は、めちゃくちゃモンスターがありふれた世界のようですね。
冒頭にドラゴンが出てきますが、それを皮切りにゴブリン、サイクロプス、ハイドラなどがもりもり出てくる。それに臆することなく立ち向かっていくイーサン。
勇気ありすぎじゃないか?
序盤は狼くらいしか強敵出なかったのに、全然イーサンビビらないもん。
ということでこの世界はこういうモンスターで溢れてるんだろうなという考えに至りました。
剣と魔法のファンタジー世界ではあるもののとても暗い。まさしくダークファンタジーです。
ストーリーについて
どうやら七つの大罪がテーマになっているようで、全体的に暗い話が多かったです。
結末に関してはせつない希望を感じながらのBADエンド、ビターエンドですね。
ドラゴンへ復讐するために旅に出るイーサン。道中、モンスターを倒しながら人間の醜さをたくさん見ることになります。
この街はきっと互いに奪い合った結果、殺し合っていく結末になるんでしょうね。救いのないお話です。
こんな感じのストーリーが展開されていきます。どこにも救いはないです。基本的に後味が悪い話が多いです。
主人公イーサンとドラゴンについて
さて、そんな重く暗い話が続く中、唯一救いのあったのは主人公イーサンの優しい性格でした。人の醜い面を見ながらも人間は厄介な生き物だから面白いという考えを持ち、いい人たちだから助けたいといい、ドラゴンへの復讐を後回しにしてもモンスター退治を他人のためにする善人でした。
しかし、徐々にイーサンの心は荒れていきます。
例えばハンナが人間は厄介な生き物だから面白いんですねと言ったときに、これはもともとイーサンから言い出したことなのに、「何を言ってるんだ」とハンナに舌打ち混じりで返事をします。他人を助けるためならドラゴンよりモンスター退治を優先していたのに、ドラゴンへの復讐を最優先とし、モンスター退治を依頼されてもメリットがないと断るようになります。
そして、いよいよドラゴンの前にたどり着いた時、ドラゴンの前でイーサンは、ドラゴンは自らの楽しみのために人々をいたずらに苦しめている卑しい存在。それにオレの家族を未来をすべてを奪ったと復讐心を露わにします。
そんなイーサンをドラゴンは見下し、こう言います。
ドラゴンが人を殺すのは戯れではない。人の死も望んでもいない。人を食料としているわけでもない。ただ、それがドラゴンの性なのだと。人が呼吸をすることと同じだと。
ドラゴンは倒されたときにもイーサンに対して、自分を倒しても家族が戻ってくるわけでもなく、自分の怒りを発散させるためだけに他者を殺したのだ、と言います。その傲慢な欲望に身を任せた代償を払う必要があると。
そして、ドラゴンは衝撃的な真実を告げます。
ドラゴンはもともと覚者であり、傲慢な欲望に駆られてドラゴンを倒した覚者は次のドラゴンになるのだと。覚者はドラゴンになると自我を失い、殺戮の性ゆえに人々を殺します。そして、そんな性からふと正気に返るときがあり、そのときはまるで地獄だと。そんな日々には疲れて死にたくなった。だからイーサンを復讐に駆り立てた。自分を殺してくれると思ったから。
そしてドラゴンは死に、イーサンは代償を払ってドラゴンになってしまいます。ハンナに最後の頼みとして愚かな人間を守るように告げてどこかへ飛び去ります。
要はドラゴンにハメられたわけですね。ドラゴンは勝ち逃げし、イーサンはこれからつらい人生を送らないといけません。
傲慢な欲望に駆られてドラゴンを倒したとありますが、じゃあどのようにドラゴンを倒せばよいのでしょうか。ドラゴンにとって人を殺すことは当たり前だと認識し、家族を殺されても復讐心を抱かない。ただ人々のためにこれ以上犠牲が出ないようにと願って戦うことができる人。
こういう人ならドラゴンを倒してもドラゴンになることはないのでしょうか。ドラゴンの行いをすべて許容したうえでドラゴンに許し=死を与えることができるとドラゴンになる輪廻から解き放たれるんでしょうか。
ただ、人間のためにドラゴンを倒すこと自体が傲慢ということにはならないのかなとは思います。ドラゴンに抗うことがもはや罪になるのでしょうか。
これに関しては、現時点で自分の知識が不足しているので、原作と宗教観について知識を深めないと正解が見つかりそうにないです。
ハンナについて
かわいい、以上。
嘘です。最初は感情が表に現れず、合理的な判断ゆえに冷たい印象を抱きました。
しかし、ハンナはイーサンとは対象的にどんどん人間性を獲得していきました。もともと感情を持っているようには見えたので単純に感情を表現できるようになったのかなと思います。最終的には泣いたり笑ったりしていたので。
イーサンの最後の頼みとかブレスレットをはめるシーンから、人々を守るために戦っていたイーサンの精神はハンナに受け継がれたんだなと感じました。原作では、ポーンは覚者に似ていくという設定があるようなのでそれを表現したのかなと思います。
気になったところ
・イーサンの心境の変化について
イーサンは物語中盤で心が荒み、人間性を失うのですがこの心境の変化が急だったかなと感じました。話数が7話なので後半駆け足気味なのが影響しているとは思うんですが、ここをもう少しゆっくり話として描いてもらえたらもっと面白かったかなと思いました。
観ていたときは急にどうしちゃったんだイーサン、という感じになったので。
イーサンが中盤初めて暴走状態になってからこの心境の変化が始まったので、もしかして自分が知らないだけで原作には覚者が暴走状態になると徐々に人間性を失うみたいな設定があるんでしょうか。
・イーサンが持つ剣について
イーサンの剣はただの金属製の剣だと思うのですが、やたらと頑丈で切れ味も突然よくなります。モンスターに弾かれてばかりだったのに急にモンスターを切れるようになることがあります。
切れ味はイーサンが薄い部位を狙ったとか力を込めたとかが理由でしょうが、あの頑丈さは何なんでしょうか。
モンスターの強烈な一撃を何回か受け止めても折れないんですよね。
これに関しては実際、剣はボロボロになっていて街に寄るたび剣を定期的に交換しているんだと考えています。
・イーサン本人の頑丈さについて
剣と同じですが、イーサン本人もモンスターにすごい勢いで壁に叩きつけられた割には死にません。
ただボロボロにはなっているので、ハンナが魔法で治療しているのかなと思っています。
それか物理的衝撃に対してバフをかけているとか。
・ドラゴンの倒し方について
最後ドラゴンを倒すときにハンナから短剣を投げ渡され、それでドラゴンを倒します。
ただ短剣の長さ(ぱっと見はイーサンの前腕よりも短い)とドラゴンの図体があまりにも差があるので、なんでこの短剣を刺しただけでドラゴンは死んだんだ。
心臓を一突きしたとしても心臓が皮膚に近すぎではと思いました。
まあ、ハンナが渡したので何らかの魔法効果がかかっていたのかもしれません。覚者だけがドラゴンを倒すことができる存在らしいのでその効果もあったのかもしれません。
さいごに
こういうダークな世界観もいいな、と楽しむことができました。
ただ、自分の知識不足でストーリーを完全に理解することができなかったので個人的にそこが残念でした。今後はもっと知識を深めようと思います。
アニメとしては各話30分程度でさくっと観ることができるのでおすすめです。