クライストチャーチの銃乱射事件が起きて思うこと 20190316
昨日、ニュージーランドにとって衝撃的で悲惨な事件が起きた。
南島のクライストチャーチにある2箇所のモスクにおける、銃乱射事件。
これまでに49名の方がその尊い命を落とし、ほかにも40名以上の方が重軽傷を負った。
ニュージーランド開国して以来、初めてといえる大きな残酷なテロ事件。
これまで「テロが起きない安全な国」「平穏平和な小さな島国」と呼ばれてきたニュージーランド。
そしてそれを誇りに思っていたニュージーランドに住むみんなとニュージーランドを愛する人たちにとって、非常にショックが大きい出来事だ。
ひとりの移民として思うこと。
「怖い」というのが率直な思い。
自分自身に直接の被害がなかったとはいえ、悲しみが深くなってゆく。
亡くなられた方や負傷された方、そのご家族やお友だち。
その場にいた方が受けた精神的苦痛。
ニュージーランドに住むみんなの混乱。
そんなことを想うと、なんだか頭の中がグチャグチャになって、悲しみで埋め尽くされそうになる。
そんなときにニュージーランドのジャシンダ首相の言葉が届いた。
クライストチャーチで起きたこの事件は、過去に例のない非常に悲惨な暴力事件です。ニュージーランドにふさわしくないことです。
この事件の影響を受けた多くの人は、移民だったかもしれません。ここは、彼らにとっての家なんです。わたしたちと同じです。
ジャシンダ首相が発する言葉はとも優しくてあたたかくて、そして強い。
わたしたち移民がこの事件を受けて怖いと思ってしまったことも、ニュージーランドを好きで移住してきたことも、全部受け入れてくれている。
移民の彼らも、わたしたちと同じようにニュージーランドが家である。
この言葉で、どれだけ多くの移民がホッとしただろう。
ニュージーランドに来て3年半が経つ。
この国へのこだわりは正直そこまで強くなかったけれど、この首相のスピーチを聴いて、なんて素敵なリーダーが率いる国に住まわせてもらっているんだろうと気がついた。
ジャシンダ首相自身、深い悲しみと大きな衝撃を受けているに違いない。
でも国の先頭を切るリーダーとして、ニュージーランドに住むみんなを心から想ってくれているし、既に今後の対策も考慮している。
彼女は本当に、リーダーにふさわしい人物だと思う。
わたしの友人のひとりが、Facebookにこのようなコメントをしていた。(掲載については、本人から匿名ならOKとの許可を得ています。)
あたたかい人々と自然に包まれ、ゆっくりと時間が流れる平穏な国、それがNZ。
私も自分の想いを信じ、心強くいようと思います。
最後のこの部分が彼女のニュージーランドへの愛に溢れ、怖い気持ちがありつつもしっかりと芯を持ってブレずにいる決心が伝わってくる。
自分を信じる彼女の強さは、きっとほかの移民にも通ずる部分があるんだと思う。
この部分をどうしてもシェアしたくて、ここに載せています。
わたしは、周りの人や環境や空気にとても影響を受けやすい人間だ。
好きな人の好きなものを好きになったり、毎日顔を合わす人の口癖が移ったり、本や映画・音楽のPVにも感情移入して泣いたり、それほどに入り込んでしまう。
だから今回もひどく悲しい気持ちになった。
すっかり落ち込んで悲しんでいるとき、パートナーがわたしに言った言葉がある。
...それでも、楽しみにしていることとか、やりたいことをやらなきゃね。
そうだね、落ち込んでるだけじゃなんにもない。
どんなに悲しみに暮れていても、残酷なことに時は変わらずに刻まれる。
クライストチャーチから離れた街に住むわたしの周りは、昨日までと同じように平穏な時間が流れていく。
2011年の東北大震災のときにも似たような気持ちになった。
悲しさや苦しさを直に抱えている人がいるのに、自分はこうして今までと変わらない日常を送り、笑ったり、あたたかいごはんを食べたりしている…
そんなふうに思うと、心が痛むことがあった。
「楽しいとか嬉しいとかしあわせとか思っているわたし」がなんだかひどい奴のように見えた。
だけどそれはちがう。
世の中で悲しい事件や事故が起きても、そこに心を痛めても。
わたしの生活には、変化はない。
わたしの気持ちに、変化はあっても。
落ち込むこと・悲しむことがいけないわけじゃないけど、自分の生活を楽しむことは大事なこと。
それを忘れちゃいけない。
影響を受けやすいわたしに、ジャシンダ首相・友人・パートナーがそっとあたたかい声をかけてくれたことで、わたしは救われた。
ありがとう。
しばらくのあいだは、きっと悲しい気持ちが浮上してしまうだろう。
けれどしっかり前を向いて、今生きているこの瞬間を感じて、嬉しいことも楽しいことも、その感情を素直にわたし自身が受け止めていきたい。
ニュージーランドが再び平和を取り戻すその日が早く来ることを願って。
with LOVE, nana
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