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きみはなんにでもなれるよ、ぜったい。
私だけの、ってなんだろう。久しぶりに手紙を書きたくなって、言いたいことを口でうまくいえない私だから、宛名のない手紙として、でもこっそり誰かにあてて、何通かしたためてみた。
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あのね、
大丈夫といわれても「なにが?」と聞きたくなる私たちだと思うので、一度だけ、それを残しておこうと思う。
きみは、だれよりも「聞く力」がある。心地よい頷きと、乱れてしまった会話のリズムを整える力がある。
聞く力があると、なにが大丈夫なのか。
聞く力があると、たくさんの物語に出会えるよ。たくさんの話を、人の何倍も知ることができる。いろんな生き方があることをそこから知って、ちゃんと選び取れる。
いいこと、きれいなもの、素敵なものがたり。出会うといつもきみに話したくなる。それはきみの聞く力ゆえだと思う。あたらしい出会いをそのままきみに繋げたくなる、そんな感覚かもしれない。
そしてこれは、きみにだから言えることかもしれないけど、変わらなくちゃいけないなんて思わなくていい。いろんな人に触れれば触れるほど、きっと「自分にはこれだ」が見えてくると思う。数ある選択肢の中で選びとったそれを、自信を持って肯定しているきみはかっこいい。
幸せに向かってどう進んでいくかは人によってちがう。でもなんとなく私たちのような人は、身を削って努力をするのではなくて、自分の直感を信じて勇気を持って進んでいくべきじゃないのか、私はそう思う。
そして多分、がんばったけど、努力はしたけど、苦しすぎるわけでも、もがいたわけでもない、そんな感覚を才能と呼ぶんだと思う。呼びたいな、私は。
話したら考えていることが整理されていく、なんて言う人がたくさんいる。でも私は違っていて、話しても何もまとまらない。でも、書けば整理された。だから私には “書く” しかなかったんだと思う。
誰と話してもそうだったけど、きみは違った。きみと話すのは、私にとって “書くこと” に近い。だから自信をもっていいたい。きみの聞く力はだれよりも、つよい。
それに、きみの笑顔は最高だ。“笑顔でいれば、そこに私の価値はある” なんて言葉があって。高校二年生の私が紡いだ言葉。今でも私のバイブル。きみの笑顔が、ちゃんときみの居場所をつくってる。
きみはぜったい負けない。私はしゃべるのが苦手だし恥ずかしいので、こうしてここに一度だけ。
大丈夫。私がいつもそう口にする理由は、ちゃんとこうしてここにある。
きみはなんにでもなれるよ、ぜったい。
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