シェア
B7のエスカレーターをのぼる。綺麗だった、としか言いようがない。いちばん叶えたくて、いちばん叶ってほしくないことだった。寒さが明け始めた頃、夕方の真風が体温をちょうど下げてくれる。当たり前に前に立ったし、後ろを歩いた。地図アプリを開かなくて済むから、携帯の電池なんか要らなかった。何の話をしていたんだろう。気づいた時には夕日が髪の毛を綺麗に茶色に染めて、わたしの巻いてあげた髪が可愛くてつい手を伸ばしていたし、あの頃にはすでに白シャツが好きだった。あの出口を、わたしはいまだに避け