シェア
ミニシアターの小さな入り口で、いくつもパンフレットを取って眺めた。よく知らない演者が、何かを表現している。その「よくわからないもの」と対峙する感覚だけで充分だった。ビデオショップで100円レンタルを何度も繰り返した田舎の高校生あがりの上京なんて、それぐらいの変化で十分なほどに新鮮である。 「しぶといんだよなあ、この街」 いつも行っていた喫茶店のカウンターで、職人のおじさんがつぶやいたその一言がすべてだと、今では思う。人口150万人にも満たないこの小さな都市にこれだけミニシア