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宛名のない手紙

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2024年9月の記事一覧

少しずつ、落ちた葉が増えていく。昨日は5枚だったのに、今日は7枚も無意識に踏んでカサッと音が鳴る。秋はもうすぐそこで、彼はもう終わる。 体育館に響くドリブルの音が好きだった。ランダムに流れるバッシュの音が心地よくて、その音の正体に気づいた時にはもう手遅れだった。そのあとの記憶はもうほとんどない。5年後、「きみはいつも正しい。だから敵わなくてつらいんだ」と言われたあの日から何年経っても、ずっと分からないままでいる。かっこいいと思うことを無意識にできることこそ大人なのだと真剣に