たとえ死んでも見ない 「ダチョウ効果」
皆さんは、ダチョウの習性についてどれだけご存じでしょうか?
ダチョウって日本ではあまり見かけないので、馴染みのない動物かもしれませんが、実は人間と似たような性格をしています。
それは、
「知らぬが仏」、「見て見ぬふり」を実践してしまうところです。
ダチョウ効果(ostrich effect)とは
ダチョウ効果とは、認知心理学や経済学的な概念の一つであり、「自分が不快だと思う情報は、例え、死ぬような危機が迫っていたとしても、見ようとはしない」現象のことを言います。
画像のように、砂漠で遭難しているという危機的な状況を自分の視界から消すために、穴を掘ってその中に顔をうずめることで、認識しないようにする人間の行動を意味します。
とはいえ、注意しなければならないのは「本物のダチョウはそんなことをしない」ということです。
人はダチョウ以上に合理性に欠ける動物であることが分かります。
chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://www.cmu.edu/dietrich/sds/docs/loewenstein/OstrichEffect.pdf
もう少し詳しくダチョウ効果が知りたい人は上のURLから論文を見てみることをお勧めします。
英語ですがね。
ダチョウ効果の影響
では、ダチョウ効果の何が問題なのかといいますと。
ニコラス・カールソンとデュエイン・セッピの二人は、投資家が自分のポートフォリオをどの程度接触するかの頻度を調査しました。
すると、市場が悪化したときよりも、好転したときの方が、ポートフォリオのチェック頻度が多い傾向にありました。
つまり、投資家たちは自分のポートフォリオをチェックする際、市場が悪化していた危機的状況ではなく、好転したときを意図的に狙ったのです。
さて、これが以下のような状況であれば、より深刻さがわかるかもしれません。
あなたに、ガンの疑いがあるとき、検査を受けるかどうか。
恐らく、ガンの疑いが微塵もない時の方が、検査を受けるのではないでしょうか?
新型コロナウイルスの対策も似たようなことが起きていたかもしれません。
あなたは、「感染者が増加しています」という情報よりも、「感染者が減少しています」という情報の方がポジティブですので、それを見て外出頻度を判断していたのではないでしょうか?
さらに言えば「感染者が増加しています」という情報を全く見なかったりしたのではないでしょうか?
それがダチョウ効果です。
「いやいや、私はそんなことない」と思っているあなたも、臭いものには蓋をするように、見て見ぬふりをするのではないでしょうか?
いじめもそうです。
いじめは目の前で起きているのに、誰しもが知らんふりをする。
もしかしたら、いじめを苦にして自殺した生徒がいたとしても、いじめを事実認定しないかもしれない。
それがダチョウ効果の恐ろしいところなのです。
ダチョウ効果はなぜ起こるのか?
ダチョウ効果は認知心理学や経済学的な概念ですので、「バイアス」の一種となります。
このバイアスが起こる最大の理由は、人が損失を回避したいという「損失回避性」を持つからです。
例えば、人は利得があると大喜びしますが、大損失にはしょんぼりしてしまいます。
大喜びしたときとは倍の喪失感に陥りやすいのではないでしょうか?
宝くじが当たって喜んでいたら、数字を見間違えていた時のことを想像してみてください。
「コロナ」、「戦争」など明らかに知るだけで大損しそうな情報が世の中にあふれかえっています。
その大損を回避したいからこそ、ダチョウ効果を発揮してしまう人がいるのです。
あるいは「長く待つのは嫌だ」と感じる人も、ダチョウ効果に陥りやすいです。
役所の手続きに時間がかかるとき「おい!早くしろよ!」と怒鳴るそこのあなた。
あなたはダチョウ効果の危険があります。
ダチョウ効果の原因の一つには、長期的な視野がないことが挙げられます。
投資活動や企業経営はその最たるものでしょう。経営や投資は目先の利益に溺れる人間には向きません。
先ほどのガン検査もそうです。
ガンは早期発見が大事であるにもかかわらず、ガンであると申告されることを恐れて検査を回避してしまえば、長期的に考えて寿命は縮んでしまいます。
長期的に考えれば、検査を行うことで治療することもできるのです。
ダチョウ効果とメディア
メディアを見ていると、新聞やテレビのニュースは嫌なことばかり教えてくる、と感じる人も多いかもしれません。
しかし、嫌な情報があなたの身を守ってくれる救世主なのです。
何より、自分にとって不都合な情報ばかりに接していたら、世間知らずとなり、後々、大きな恥をかくかもしれません。
戦前日本の大本営発表がそれです。
あなたは、ダチョウ効果によって「裸の王様」になってしまいます。
それを防ぐためにも、きちんと新聞やテレビをチェックすることを忘れないようにしてください。
それが賢く生きていくというコツです。
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